照明器具を前に、シェルフは後ろに、「位置はこのくらい?」2010年6月14日月曜日
キッチン取り付け
本日から、キッチンを組み立てて取り付けてゆきます。20年以上前は流しメーカーの人間が現場で組み立てて取り付けていましたが、今では規格品ならほとんどが大工さんが組み立てと取り付けを行ないます。こんなところも北海道の大工さんが重宝がられるところなんですよ。本州ではいまだに職種間の領分意識が高く、こちらでは大工さんがやる仕事がとび職の領分だったりとむしろ仕事の区切りは明解です。反面広い知識が求められる現在の現場ではすこし縦割り過ぎるかな?とも感じます。今日も電気の線を出しながら、電気屋さんの仕事がやりよいようにとか、照明器具の大きさがこうだから棚の位置はここ!といったように全体に目を配りながら進めていました。
照明器具を前に、シェルフは後ろに、「位置はこのくらい?」
照明器具を前に、シェルフは後ろに、「位置はこのくらい?」2010年6月11日金曜日
床貼り
昨日より、ナラの無垢フロアーを貼り始めています。残念ながら道産材ではありませんが、12mm厚で定尺(1.82m)のこの材料はたいへん費用対効果の高いものです。床材の価値は1:巾広であること、2:長さがあること、3:厚いこと、4:節が少ないこと、5:狂いの少ないこと。ですが工期のない現場では、2:長さがあることがとても大切です。巾があっても短ければたくさんの枚数が必要ですし、無垢の木なのでそれぞれの癖(狂いや反りの程度)も違います。そこである程度長さがある材だと、一回で広い面積が貼れるので、結果的に手間の掛かる無垢の床材を貼っても時間の節約になるのです。
下に見えるのは、36年前(竣功当時)の桜の化粧フロアー(無垢ではなく張り物)です。その上に糊とフロアータッカーで留めてゆきます。
下に見えるのは、36年前(竣功当時)の桜の化粧フロアー(無垢ではなく張り物)です。その上に糊とフロアータッカーで留めてゆきます。2010年6月10日木曜日
マンションリフォーム
今年も、現場が始まりました。まず最初は築36年のマンションリフォームです。リクエストは「高齢化に備えながら住んでいて楽しい提案をお願いします。」でした。床の段差を極力解消し、着座のライフスタイルを椅子掛けに変更し室内を使いよくレイアウトするつもりです。またこの現場は週2日間だけお手伝いに来てくれる松ちゃん初参加物件。普段は市内のショールーム務めの彼女。将来の夢のために休みの日は設計事務所の見習いとして頑張っています。まずは現地調査からはじまり、①現況の写真撮影、②室内の採寸、③現況の間取り図の作成、④現況の問題点の整理、⑤プランニング、⑥打ち合わせ、⑦訂正、⑧積算、⑨VE、⑩契約。その後は⑪工程表確認、⑫現場監理、⑬工場検品。と学校では体験できないものづくりの現場にとまどいながらも楽しそうな様子。所長は厳しいおじさんできっとたいへんでしょうが、これをよい機会にものづくりの楽しさを分かってほしいと思います。

施主の要望により敷居を外しバリアフリーにします。

巾木の下地がろくに入っていない。どうやって留めていたのでしょう??

施主とともに、時を刻んだ愛用の文机、座るのがすこし億劫になってきたのでテーブルに生まれ変わらせようと思います。

いつも、弊社の家具や什器を作ってくれる工場に検品に来ました。長年お互いの好みを知り尽くした仲間です。工期が2週間(解体も含めて)なので、決断や段取りは先先を読んで遅滞なくこなさねばなりません。

よい家具屋さんの条件は、図面がしっかり書けることです。実物と照らし合わせながら細かな打合せが続きます。
天井裏の様子、換気扇のパイプもぎりぎりです。特に日本のマンションは、ほとんど後から直すことを考えて作られていません。人も入れないのでパイプの寿命がきても、これでは天井ごと解体するしかありません。

施主の要望により敷居を外しバリアフリーにします。

巾木の下地がろくに入っていない。どうやって留めていたのでしょう??

施主とともに、時を刻んだ愛用の文机、座るのがすこし億劫になってきたのでテーブルに生まれ変わらせようと思います。

いつも、弊社の家具や什器を作ってくれる工場に検品に来ました。長年お互いの好みを知り尽くした仲間です。工期が2週間(解体も含めて)なので、決断や段取りは先先を読んで遅滞なくこなさねばなりません。

よい家具屋さんの条件は、図面がしっかり書けることです。実物と照らし合わせながら細かな打合せが続きます。
天井裏の様子、換気扇のパイプもぎりぎりです。特に日本のマンションは、ほとんど後から直すことを考えて作られていません。人も入れないのでパイプの寿命がきても、これでは天井ごと解体するしかありません。2010年6月1日火曜日
小樽散策
本日は、久方ぶりのお休み。最近は建築シーズンなので日曜も仕事が多いです。でも今日は久しぶりに大好きな小樽を歩いて見ました。四季折々の小樽も素適ですが、初夏の少し前。畑作業が一段楽した、今の時期もたいへんよいですよ~。

JR小樽築港駅で降りて、勝納川へ。お勧めはこの川原を、潮見、若竹方面に散策しながら歩くコースです。街が古い小樽は、思いがけない路地や庭と建物と街路が一体になった美しい景観が楽しめます。札幌ではこの3点セットの美しい街の風景は今ではなかなか見れなくなりました。

こんな感じで川のすぐ横を海から山側に向けて歩きます。

土手の上の家の庭のチューリップ。朝日を受けてとてもきれいでした。
菜の花もいいでしょ?

JR小樽築港駅で降りて、勝納川へ。お勧めはこの川原を、潮見、若竹方面に散策しながら歩くコースです。街が古い小樽は、思いがけない路地や庭と建物と街路が一体になった美しい景観が楽しめます。札幌ではこの3点セットの美しい街の風景は今ではなかなか見れなくなりました。

こんな感じで川のすぐ横を海から山側に向けて歩きます。

土手の上の家の庭のチューリップ。朝日を受けてとてもきれいでした。
菜の花もいいでしょ?2010年5月24日月曜日
月例住宅講座のご案内
6/25(金)14:00~16:00まで、月例住宅講座に講師として出演いたします。マイホームをお考えの方は、ぜひご覧下さい。当日は築32年の住宅を北海道R住宅基準により新築以上に再生した「西岡の家」の例を中心に、リフォームと新築の最先端、また新築.リフォームを考える上で大切な事柄を豊富なスライドとともに解説します。また0エネルギー住宅として設計した「銭函の家」の一冬の温熱データーの公開や今後、北海道で主流となるであろうパッシブハウス(ほとんど暖房を必要としない家)についてもお話したいと考えています。
詳しくは 北海道建築指導センターHP http://www.hokkaido-ksc.or.jp/

詳しくは 北海道建築指導センターHP http://www.hokkaido-ksc.or.jp/

2010年5月21日金曜日
2010年5月15日土曜日
西岡の家 庭園工事
本日、西岡の家の庭園工事が完了いたしました。5月晴れの空の下できれいに手入れされた庭木たち、札幌軟石と枕木の土留めや植え枡、素朴でありながら本物の材料のもつ正直さ、時を刻む味わい深さに期待しています。これから初夏を迎え緑溢れる夏にかけてどんな表情を見せてくれるのでしょう?今回一緒にコラボレーションさせていただいた(有)ガーデンジャパンのKさんは、才能豊かな女性ガーデナーです。本人曰く、「若い世代のクライアントさんにもぜひ庭の楽しみをわかってほしい。」とのこと。そのためには普段着で付き合える素適な庭を提案したいのだそうです。確かに庭というと手間が掛かる、お金も掛かる、デザインが難しそう...とかなりネガな印象もよく聞きます。しかし一度その楽しさにはまると、魅力はある意味建築をしのぐかも知れません。建築と異なり、季節季節で異なる表情を楽しめる。完成後も自由にいじる楽しみがある。お花を上手に咲かせると周りの人がほめてくれる。自らの上達の度合いが分かる。さて来年はどうしようかな?と想像する楽しさに事欠かない。等々、私の畑作りと同様、何度でも楽しめます。実のなるものなら食べる楽しみもおまけで付いてくるし。あっそうだ、私もそろそろ苗を植えなくちゃ!(笑)
(有)ガーデンジャパン HP http://www.gardenjapan.co.jp/
きれいに剪定された五葉松(ゴヨウマツ)、足元の土留めは札幌軟石。
軟石は松類が多くても、和風くさくなりすぎず、背景の四角い建物にも合います。
(有)ガーデンジャパン HP http://www.gardenjapan.co.jp/
きれいに剪定された五葉松(ゴヨウマツ)、足元の土留めは札幌軟石。
軟石は松類が多くても、和風くさくなりすぎず、背景の四角い建物にも合います。2010年5月13日木曜日
石の産地札幌
「札幌はすばらしい石の産地です」と聞くとけげんそうな顔をする人がほとんどでしょう。確かに今北海道札幌と言えばメジャーな特産品は近郊で採れる農作物だったり、味噌ラーメンやとうもろこしに最近ではなんといってもスープカレーでしょうか?(笑)/ちなみに私は幌平橋のサヴォイというお店のスープカレーに目がアリマセン。話が横にそれましたが、そうかつて札幌は軟石の特産地として全道的にも有名でした。石山通の石山は軟石の石切り場を指しています。用途は主に倉庫や畜舎、サイロその他の建築物に用いられ多孔質で断熱性に富み軽量で加工性に優れた外壁の材料として大いに使われたものでした。その明るい灰色は穏やかで主張が少なくなんにでも合います。こけが生えやすく味わいを増してゆく様子は、ほんとうにすばらしい材料のみがもつよさでしょうか。小樽の運河沿いに建つ倉庫群も産地はさまざまですが軟石を用いていますよね。昨年32年ぶりにフルリフォームを行なった西岡の家。今年はお庭のデザインをお願いされました。お庭屋さんと考えたのが札幌軟石の庭。気取りすぎず、リーズナブルながら穏やかで建物ともけんかしないそんな庭。最近若い世代のクライアントさんは「お庭?いりませんよ面倒だから~」なんて方も多いのですが、ぜひこれを機会に土いじりを始めてはみませんか?
素朴なのに、醤油くさくなりすぎることもなく、和風の松にも薔薇にも合います。
素朴なのに、醤油くさくなりすぎることもなく、和風の松にも薔薇にも合います。2010年5月11日火曜日
アイラブ made in Hokkaido
みなさん!どうでしょうきれいな合板だと思いませんか?北海道の合板メーカーが開発した白樺の合板です。間伐材は今まで、新聞紙やトイレットペーパーの原材料になるチップに加工されるのがほとんどでした。しかしこの会社では、今まで紙にしかならなかった木を集成し着色することで美しい断面をもつ合板を開発したそうです。何気ない発想の転換でこんなによい材料が地元から生まれることに感心しながら、どう使おうか?とあれこれ思案しています。
滝澤ベニア株式会社 http://www.takizawaveneer.co.jp/
左上より板のお皿(トレイ)に箸置き、積み木、中央はエンピツ。
こんなエンピツほしくなりませんか?
滝澤ベニア株式会社 http://www.takizawaveneer.co.jp/
左上より板のお皿(トレイ)に箸置き、積み木、中央はエンピツ。
こんなエンピツほしくなりませんか?
今までの合板、ベニアの概念が変わります。もちろん有害な接着剤は一切使用していないとのこと。
2010年4月26日月曜日
これからの北海道の家って?
先日、銭函の家に温熱データーの回収にお伺いしました。ブログでも何回か書いている通り、設計の成果が出ているかどうか、クライアントの協力を得ながら確かめることにしているからです。床下をはじめ各所に置いた温湿度記録機によって月ごとの気温湿度のデーターを採取し設計にフィードバックさせるのが狙いです。もちろんその目的とは、燃費のよい設計ノウハウの確立にあることは言うまでもありません。弊社が取り組む燃費のよい設計とは、現在一般的な北海道の暖かい家とは少々異なります。では暖かくないのか?と聞かれるとけしてそんなことはありません。(笑い) 要は「エネルギー消費もしっかり設計できるようにしましょう。」ということにほかなりません。2010年4月14日の北海道新聞に、札幌市がドイツのパッシブハウス研究のための予算をつけた旨の記事が載っていますが、まさにこうした流れこそ今後の北海道の住宅の方向性を示す好例だと思います。
では今後、世界標準になりつつあるパッシブハウスとはどんなコンセプトの住宅か簡単に説明します。1:エネルギー消費量を明示できる。2:暖房設備にほとんど依存しない。そしてこれは性能以外の大切な点ですが3:現地生産できる事です。1に関しては、年間の暖房用燃料消費量が概ね2L/㎡以下、30坪(100㎡)程度の建物ならば100×2L=200L/年間(*:但し灯油換算)となります。暖房期間が半年にも及ぶ北海道で30坪の家とはいえ年間200L程度で暮らせる家があったら好いと思いませんか?ちなみに現在主流を占めている次世代省エネ基準の断熱性能(Q:1.6W/㎡k)で燃費13L/㎡程度ですから、同じ30坪の住宅だと年間約1300Lの灯油が必要な計算になります。最近少しだけ増えてきたQ1仕様といわれる住宅でさえ燃費5~6L/㎡程度ですから同じ条件なら500~600Lは必要になります。こう書くと世界のものづくりが目指す方向が透けて見えるとともに、暖かさ(エネルギー消費)をいまだに中心にした設計思想そのものが陳腐化しつつあることにきっと皆さんも気付いていただけると思います。今の時代暖かさと省燃費は両立させねばなりません。2に関しては特に注意が必要です。機械設備をエコなものに換えればECOな住宅になる!という考えが日本では支配的ですが、その前に建物の暖冷房負荷をしっかりと下げておくことが大前提です。暖冷房エネルギーが十分少なくて暮らせる家があるからこそ、自然エネルギーをはじめとする高効率の冷暖房設備が生きるのに、残念ながら建物本体の断熱強化はほとんど語られずに、とかくヒートポンプや燃料電池の話が主になってしまいます。(苦笑)これでは、大きな投資に対してほとんど効果が得られないばかりか、「ヒートポンプってすごく燃費悪いよね~」といった不幸な誤解を招くことにもつながります。この傾向は熱設計音痴の設計者に多いと思います。また数年前からかなり一般的になった、土壌蓄熱式の床暖房や蓄熱式暖房機を用いる方式も注意が必要です。両者とも深夜電力とその割引率を前提にした大きな電力量契約が前提となる点に根源的な不安があるからです。そもそも発電所にとっての難問は時間帯別にきめ細かく発電量を調整できないことです。夜間、仕事が終わり社会が電力を必要としなくなると電気は余ってきます。しかし発電所を止めることが出来ないために夜間の電力需要喚起の一環として深夜電力の利用が模索されました。今ではオール電化の普及により夜間の電力需要は昼間とほとんど変わらなくなっています。これは本来あまり必要なかった夜間の電力需要を作り出してしまった結果、エネルギー生産量全体が増え、結果としてCO2が増加していることを意味しています。昔よく耳にした営業トークにこんなのがありました。「深夜電力ですから一日8時間しか通電しません。24kw暖房契約しても×1/3の8kwの器具と同じです。」私も昔は信じていましたが、実態はこうです。仕事量(W/ワット)を速度に置き換えるとよく分かります。札幌から帯広まで平均時速60km/時で3時間ゆったりドライブして180km走るのは楽しいし小さなエンジンで十分です。しかし1時間しか時間がなければ、平均180km以上出せる大きなエンジンが必要です。夜5~8時間で一日分の暖房熱量をまかなおうとするとこのように、仕事量は同じなのに肝心の設備容量をおさえることが出来ないのです。今後さらに深夜の電力需要が増えればもともとサービス価格である深夜電力の料金値上げも考えねばなりません。昼間の1/4程度の価格で供給されている深夜電力であっても発電原価に差はないのですから。これからの設計者はここら辺を理解して広い視点でエネルギーの設計をしてほしいと思います。深夜電力に頼った結果、暖房のランニングコストを見かけ上抑えられても、それをしてECOな設計とはいえないのではないでしょうか。3は現地生産できることです。たとえばドイツやスウェーデンからパッシブハウスやその部品を輸入して日本で建てても、輸送に掛かるCO2を減らすことはできません。建物の場合は建設に際して大きな環境負荷を生じますので、部品は極力国内調達が原則です。また外国と日本の住宅製造における技術標準は異なりますから、同じ木造でも生産原価は大きく上がります。要は現在北海道で普通に行なわれている工法をさらに発展させてパッシブハウスと同じ性能を現地生産できてはじめて一応の問題が解決されると思います。若い建築家の皆さんの中にはたいへん研究熱心な方も多いと思いますしクライアントのみなさまにとってもこうしたお話は興味のあることと存じます。私は地域に生きる建築家としてこの点をテーマとした設計をみなさんと一緒に進めたいと思っています。
施主曰く:銭函の家では3月の半ばからほとんど暖房は要らなくなったそうです。
では今後、世界標準になりつつあるパッシブハウスとはどんなコンセプトの住宅か簡単に説明します。1:エネルギー消費量を明示できる。2:暖房設備にほとんど依存しない。そしてこれは性能以外の大切な点ですが3:現地生産できる事です。1に関しては、年間の暖房用燃料消費量が概ね2L/㎡以下、30坪(100㎡)程度の建物ならば100×2L=200L/年間(*:但し灯油換算)となります。暖房期間が半年にも及ぶ北海道で30坪の家とはいえ年間200L程度で暮らせる家があったら好いと思いませんか?ちなみに現在主流を占めている次世代省エネ基準の断熱性能(Q:1.6W/㎡k)で燃費13L/㎡程度ですから、同じ30坪の住宅だと年間約1300Lの灯油が必要な計算になります。最近少しだけ増えてきたQ1仕様といわれる住宅でさえ燃費5~6L/㎡程度ですから同じ条件なら500~600Lは必要になります。こう書くと世界のものづくりが目指す方向が透けて見えるとともに、暖かさ(エネルギー消費)をいまだに中心にした設計思想そのものが陳腐化しつつあることにきっと皆さんも気付いていただけると思います。今の時代暖かさと省燃費は両立させねばなりません。2に関しては特に注意が必要です。機械設備をエコなものに換えればECOな住宅になる!という考えが日本では支配的ですが、その前に建物の暖冷房負荷をしっかりと下げておくことが大前提です。暖冷房エネルギーが十分少なくて暮らせる家があるからこそ、自然エネルギーをはじめとする高効率の冷暖房設備が生きるのに、残念ながら建物本体の断熱強化はほとんど語られずに、とかくヒートポンプや燃料電池の話が主になってしまいます。(苦笑)これでは、大きな投資に対してほとんど効果が得られないばかりか、「ヒートポンプってすごく燃費悪いよね~」といった不幸な誤解を招くことにもつながります。この傾向は熱設計音痴の設計者に多いと思います。また数年前からかなり一般的になった、土壌蓄熱式の床暖房や蓄熱式暖房機を用いる方式も注意が必要です。両者とも深夜電力とその割引率を前提にした大きな電力量契約が前提となる点に根源的な不安があるからです。そもそも発電所にとっての難問は時間帯別にきめ細かく発電量を調整できないことです。夜間、仕事が終わり社会が電力を必要としなくなると電気は余ってきます。しかし発電所を止めることが出来ないために夜間の電力需要喚起の一環として深夜電力の利用が模索されました。今ではオール電化の普及により夜間の電力需要は昼間とほとんど変わらなくなっています。これは本来あまり必要なかった夜間の電力需要を作り出してしまった結果、エネルギー生産量全体が増え、結果としてCO2が増加していることを意味しています。昔よく耳にした営業トークにこんなのがありました。「深夜電力ですから一日8時間しか通電しません。24kw暖房契約しても×1/3の8kwの器具と同じです。」私も昔は信じていましたが、実態はこうです。仕事量(W/ワット)を速度に置き換えるとよく分かります。札幌から帯広まで平均時速60km/時で3時間ゆったりドライブして180km走るのは楽しいし小さなエンジンで十分です。しかし1時間しか時間がなければ、平均180km以上出せる大きなエンジンが必要です。夜5~8時間で一日分の暖房熱量をまかなおうとするとこのように、仕事量は同じなのに肝心の設備容量をおさえることが出来ないのです。今後さらに深夜の電力需要が増えればもともとサービス価格である深夜電力の料金値上げも考えねばなりません。昼間の1/4程度の価格で供給されている深夜電力であっても発電原価に差はないのですから。これからの設計者はここら辺を理解して広い視点でエネルギーの設計をしてほしいと思います。深夜電力に頼った結果、暖房のランニングコストを見かけ上抑えられても、それをしてECOな設計とはいえないのではないでしょうか。3は現地生産できることです。たとえばドイツやスウェーデンからパッシブハウスやその部品を輸入して日本で建てても、輸送に掛かるCO2を減らすことはできません。建物の場合は建設に際して大きな環境負荷を生じますので、部品は極力国内調達が原則です。また外国と日本の住宅製造における技術標準は異なりますから、同じ木造でも生産原価は大きく上がります。要は現在北海道で普通に行なわれている工法をさらに発展させてパッシブハウスと同じ性能を現地生産できてはじめて一応の問題が解決されると思います。若い建築家の皆さんの中にはたいへん研究熱心な方も多いと思いますしクライアントのみなさまにとってもこうしたお話は興味のあることと存じます。私は地域に生きる建築家としてこの点をテーマとした設計をみなさんと一緒に進めたいと思っています。
施主曰く:銭函の家では3月の半ばからほとんど暖房は要らなくなったそうです。2010年4月15日木曜日
ありがとうございます。イベントを終えて
イーアソシエの第一回イベントにお越しいただいたみなさま、会場をお貸しいただいたINAXさま、そして準備のためにいろいろご尽力いただいたショールームスタッフのみなさま、たいへん不慣れながらも無事イベントを終えることができました。これもみなさんのあたたかいご協力のたまものです。この場をお借りして御礼申し上げます。やはり!(思ったとおり..../苦笑)PR不足で来場していただいた方は少なかったものの、普段の仕事や地域活動を通して積極的に社会参加を目指す姿勢は伝わったものと存じます。個性は4人それぞれですが、社会の様々な関係性をデザインすることが建築家の本分である点は共通しています。環境性と経済性、見た目と性能、直接コストとランニングコストのように両立するためには高い技能が必要となる事柄を私たちは毎日扱っています。他との関係性はひとまず、漠然と作り続ける事に限界が見えてきた時代にこそ、そうした関係性のデザインは求められると信じています。今後ともさまざまな情報を発信してゆきますのでぜひ次回のイベントもよろしくお願いいたします。 イーアソシエ:山本亜耕
会場の展示の様子。
会場の展示の様子。
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