2013年7月25日木曜日

屯田の家 天井根太組み

20cm間隔で組みあがった根太天井。光をどんな風に当てて陰影を引き出して等々、イメージは膨らみます。日本の家って、私の実家もそうでしたけど、なぜ部屋の中心に大光量の円盤型照明が好きなんでしょう?確かに効率は良いですけど...おまけに白色蛍光灯で「ぺら~っ」と上から照らすのはなぜ?雰囲気も何もないとは思わない?? 最近アンチ円盤型照明の運動の甲斐あって(笑)、かなり電球色の内照式照明が認められてきました。ただ「ムードはいいけど暗いっ!」って決め付けられるのが残念。分散型多灯配置を工夫して日本人の目に合った内照式照明をいつも意識しています。でも窓から漏れる照明や天井の美しさって夜の街並みの魅力だと思うんですがいかがでしょう?
 
2005年竣工の「星置の家」の夜景。
 
夜にはINCOGNITOなんてよく似合いますよね~(笑)
 
 



屯田の家 外壁仕上げ

さてさて...こちらは武田建設さんの土場(加工場)。というか..まあ最近は実験室と化しています。(笑) 写真は外壁の板を薬剤処理しているところ。
 
やっぱり北海道の家は木貼りの外壁が良い!こんな事を考えたのはよいのですが、すっかりサイディングが当たり前になった業界の風は意外に手強く...道南の杉材を使い始めたのが2009年の「銭函の家」から。やっぱり「銭函の家」って今にして思えば私にとって大きなターニングポイントだったと思います。それまでは耐候性の着色ステインを塗装するのが一般的な木の外壁の使い方でしたが、耐水性に優れた杉材を無塗装のまま使うのは中々にインパクトがありました。生成りの感じが好きな方々には好評で最近では「発寒の家」、「西野の家」なんてかなり人気があります。逆に塗らないことで木(きぃーっ!)とばかりに主張するので(笑)、何でも塗装してあるのが当たり前の街並みの中では、何もしていないのに一番目立つ!というありがたい立ち位置をいただきました。(大笑)
 
 反面、もう少しナチュラルに木の風合いを楽しみたいという人には少々キャラが立ちすぎるのが無塗装の杉板貼りの特徴でもあります。この風合いというものは中々にデリケートでして色を塗るのでもなく、木肌の色を変えるでもなく...まあ美しく枯れた○○...見たいに複雑なのです。
 
ステイン(塗料)で自由に色付け!も素敵なんですが~(笑)当然、良し悪しではなく個人の感性や趣向ということなんです。
 
 
写真は杉材の無垢板。これを秘密の薬剤で処理すると...
 

みるみる美しいグレーに味わいが増します。

左が半日置いたもの。右が処理仕立てのもの。昨年、松材の外壁を採用した「前田の家」では材種による変化の違いもあって味わい深く色変わりするまで半年くらい掛かりましたが、元色が赤めの杉材ではすぐに反応が現れます。やっぱり木って深いですよね~(笑)
 
 
写真は処理したての「前田の家」。松材だと淡いグレーという感じ。人によっては「塗ったの?」口の悪い人になると「山本さん大丈夫?ホント自信ある?」(笑)

半年でこんな感じに味わい深く変色する。板、一枚一枚 焼け方が異なりそれがかえって面白いと思いませんか~?
 
まあ~今日のお題は「やっぱ木って深いですよね~」でした。
 
最近はボサノバ!ぜひ一緒にいかが?
 
 


屯田の家 屋根防水工事

本日は、雨雲が広がる中、屋根の防水工事です。札幌で一般的な70坪の区画割りで南側敷地という「屯田の家」は、当初から無落雪であることが求められました。当然ながら南側にはエントランスや敷地内通路、駐車スペース等があるので落雪させることができないからです。こういった条件は道内の住宅街では珍しくないですよね~?ではどうやって雪の落ちない陸屋根をデザインするの?
 
一般にはスノーレーンと呼ばれる、屋根の中央に水を集めて排水する形式の屋根が今でも圧倒的に多いのですが、私の事務所では2009年からこのスノーレーンは作っていないのです。最近はもっぱら特種ビニル樹脂シートによるシート防水。屋根の勾配はナシでフラット(通称:小室屋根)。屋根に溜まった水は表面張力で盛り上がり風が吹くと風下へ流れて地面に落ちます。要は雨樋も勾配も雨樋を凍結から守るヒーターも集めた水を下水に流す配管も不要なシンプル屋根なのです。
写真は2009年竣工の「銭函の家」。この後、風が吹くと風下の軒から雨水は地面に落ちておしまい。 呆気ないほどの「これだけ感」...(笑)

北海道で一般的なスノーレーンによる陸屋根。水を屋根の中央に集めるために勾配が必用であり、集めた水を流すための樋も必用となる。おまけに凍らせないためにはヒーターと電源が必用であり、もちろん放流先である下水が整備された地域(要は田舎では難しい)でなくてはいけない。落ち葉やごみが詰まらないように定期的なメンテナンスが必用である。ということは屋根に上がるためのタラップが必用であり、電気代やetc.....(笑)
 
 
平たいだけで雪を落とさず溶けた雪水は都市のインフラ(下水、雨水)に頼ることなく敷地内で通常の屋根のごとく浸透させてしまいます。考案者は先輩建築家の小室さんなので、通称:小室屋根と呼んで愛用しているのです。こんな話をするとなんだか物足りなさを感じる人はいませんか~?(笑)
 
 実は建築ってあれもこれも付ければ付けるほどめんどくさくなって、メンテナンスや管理の工夫が必要になって結果的には維持費に跳ね返る!っていう悪循環の渦巻きに陥りやすいんです。特に床、壁、屋根みたいに基本的な部分は、後々、対処療法に陥らないように最初からシンプルに解決策を考えないといけません。そんな意味で考えると従来のスノーレーンの屋根をさらに発展させた究極の陸屋根がこのスタイルなのかもしれません。

このグレーのシート一枚で、北海道にぴったりの屋根が簡単に作れるなんて...単純にすることでむしろ根本的な解決に近づくのは、最近なんでも複雑化する日常にあって建築の面白いところではないでしょうか。でも物事って意外にそうなのかも知れません。既成概念から一旦離れてみるって建築に限らずとっても大切だと思いませんか。(笑)

さてもうすぐ上棟式!プロテック(屋根屋)さん頑張って!
 
今日はBENIのカバーなんていかがでしょう?