通気胴縁をあらかた取り去り、いよいよ雨水や室内水蒸気の浸入によって傷んだ部分の断熱材を取り外して躯体へのダメージを確認する工程に入った「帯広の家」です。
最初は、屋根面から通気層に流れ込んで通気胴縁を激しく腐食させていた部分の断熱材を解体して行きます。
外張り断熱材を全て取り去った写真がこちら。まだ当時は耐力面材ではなく筋交いによって耐力壁が作られていた様子が分る。壁の奥に見えるグレーの部分は内装の石膏ボードの裏側。カビの痕跡もなく一安心。
こちらは懸案の土台と柱脚廻り。蟻が残した木屑の下が気になります。
こちらが木屑をブロアーで吹き飛ばしたところ。打診検査でも土台が傷んでいる様子はなく、柱、土台共、継続使用が可能なことを確認しました。
こちらは浴室のサッシの下部。かなり湿気が回り窓台の約半分くらいまで木が腐っています。
こちらがその拡大写真。こうなると一端サッシを取り外し、新規の窓台に入れ替えねばなりません。
念のために窓下の土台のダメージを確認すると。こちらも継続使用が可能な状態でした。
今回もリフォーム特有の「解体」という工程を通して私たちが普段、何気なく使っている釘やビスに対する貴重な気付きを得ることが出来ました。写真中央に写っている釘は5寸(約15cm)のスクリュー釘です。100mm厚の外張り断熱材、18mmの通気胴縁、それに打ち込み深さを考慮するとこうした長さの釘が必要だったのだと思います。当時は打ち込むのにもずいぶんと手間が掛かったことでしょう。
今回の断熱リフォームで通気胴縁のみ取り外し、断熱材の表面をフラットにしたところで厚手のビニールを貼り、付加断熱50mmを加え、その上から新たな通気胴縁で押さえる予定でした。ところがこのスクリュー釘の頭が錆びて脆くなっており、釘抜きを掛けて抜こうとしても頭だけちぎれてしまうことが判明、仕方がないので急遽、釘抜きをセーバーソーに持ち替え、胴縁と断熱材の間に刃を入れて1本、1本釘を切断しながら胴縁をばらすという状況になりました。
実は、私たちが普段使う留めつけ用の釘やビスは簡単、確実に取り外せるという視点がもしかしたら・・不十分なのでは?と現場からの声を聞いて感じた次第です。
私たちが今後目指すべき、ストック型社会の実現のためにはこうしたマテリアルに限らず、総合的な解体可能性(実はそれこそ持続可能性?)を充分意識した頭が必要なのかもしれないと感じました。
今日はスティングなんていかが