屋根を先行させ、雨にも心配がなくなった2019年5月22日現時。少し振り返りも含めてブログを書いています。
写真は屋根のルーフィング(防水)を撤去し野地板から光が入った「桂岡の家」の小屋裏。棟札が見えているが、驚くべきはその小屋裏の広さです。
天井の上にはこんなに面白くて大きな空間があった訳で・・・天井断熱だとこの空間を全く生かすことはできません。建築のプロでなくても、この空間を使えるようにしたり、吹き抜けとして下から見上げられるようにしたいと思う人はきっと少なくないでしょう。
今回の工事で屋根面に沿った断熱に変更しますから、将来的に暖かな屋根裏部屋を作ることもできるようになります。
まさに断熱によって今まで長い間、使えなかった空間を取り戻している訳で、空間のボリュームに関して言えば、見た目は同じでも実態的には家の隅々まで使えるようになるのですからほとんど増築に等しいわけです。
天井裏に敷かれたGWを境に下側が室内、今見えている小屋裏は空間的には存在すれど気温としては外部(室内としては使えない空間)になります。
平たく言えば、断熱の知識が不十分だった時代は無駄の多い空間設計が当たり前。丸々部屋、数室分の空間が小屋裏として消えていたことになります。
上棟式は昭和45年(1970)の8月3日行われたようです。今年で築49年です。
宮司は地元(銭函)の豊足神社から。余談ですが同じ年には大阪万博が開催され、2年後の1972年には札幌五輪冬季大会が開かれました。
きっと家が寒かったのでしょう。壁を解体すると年代の新しいグラスウールで数回に渡って断熱改修されていることが伺えます。
上の写真の向かって右側がオリジナルのアルミサッシ、左側が初期のYKKプラマードです。窓が熱の逃げ道ということだったのでしょうが、この家でも樹脂サッシに交換されている部屋が比較的多く見られます。しかし窓の性能だけ上げても、その副作用で断熱の弱い部屋では逆に結露が増えたようです。
アルミ箔付のピンク色のグラスウールは比較的新しいものですが、湿気の通過した後に残る黒いシミ(ダスティング)が多く見られ、壁内結露が増加した様子が感じられます。
こちらの黄色いグラスウールが新築当時のものです。奥に見える壁はきれいな黄色のまま残っています。このようにほぼ当時のまま残っている部屋は基本的に暖房をしない部屋の場合が多いです。一方暖房をしていた部屋廻りに使われたグラスウールは気密シートがない場合、壁内気流にさらされてダスティングで真っ黒になり易いです。
サッシは既存の開口部下地を極力生かしながら、全てYKK430に変更します。
実際にお住いの家を極力外から断熱改修するために、一日の作業終わりにはこのように壁の養生が欠かせません。新築の場合は内装は一番後からですが、改修の場合は既に室内は出来上がっているからです。