今日は大安吉日、旭川で「春光の家」の上棟式です。上の写真は覆いの取れた旭川駅のガラスのカーテンウォール。ロビーから街並みが一望できます。開放的で明るくて素敵だな~と思って近づいてびっくり。というかがっかり。
この写真はカーテンウォール部のガラスの拡大写真ですがなんと5mmの単ガラスが使われています。足元の強力な暖房機で冷気流(ダウンドラフト)と曇り止めを力づくで片付けようとしているようですが、せっかく素敵なデザインもこうした部分を見ると悲しくなります。建物は床と壁と天井で構成されていますがこの基本的な部分のデザインもさることながらその断熱性(熱の移動速度)をしっかりデザインできなくては、気候の厳しい北国では建物は長持ちしません。残念ながらこうした見識のある無しは、技術の進歩や最近か昔か?といった事柄が原因ではないのです。
上の写真は小樽市市民会館、1963年竣工。モダニズムの影響を受け今見てもカッコイイ!しかし窓は...
薄いガラスが1層のみ。枠も断熱性には程遠い鉄製のサッシ。気密性はほとんど期待できない。さらに沿岸部のためにオリジナルのサッシはその多くが錆びて既に交換されている。
こちらは、日本郵船小樽支店、1906年竣工。実に小樽市市民会館の60年前の建物。
こちらの窓はペアガラスで断熱性に富む木製サッシ。当然当時のもので材質は磯舟に用いたシコロ材。
なんと開閉部分には当時高価だったビロードを用いた気密ガスケット(パッキン)が用いられている。北海道の公共建築は道外の建築家によるものも多い。もちろん優れたデザインや最新のインテリアのセンスには見習うべきことも多いが、地域の気候や風土にももう少し目を向けてはいかがだろうか?
雪の中で進行する「春光の家」。写真は屋根の上。
シート防水を用いることで屋根から自由に塔屋を突き出すことが可能となった。
外壁にほとんど窓がないために各部屋への採光は中庭と天窓で行う。
美しく組まれた、ホビールームのカラマツ天井。
祭壇が設えられて。
宮司さんが祝詞(ノリト)を朗々と読み上げる。奥に見えるのは棟札。工事店や棟梁、設計者の名前が書かれ、天井裏に納められる家のお守り。今度見られるのは、50年後か100年後か?未来の設計者や棟梁は棟札とこの家を見てどう思うのだろう?未来の人々に笑われぬようにしっかり勤めたいと思います。
雪の中、連日頑張るK棟梁とN所長にこの場からエールを送ります。
また無事上棟を迎えられた建て主さま、心よりお慶び申し上げます。
期待にこたえられますよう精一杯努力します。
夜もふけたので、エンリオモリコーネでもいかが?I LOVE 1900!!