2015年11月30日月曜日

平和の家 気密測定 1回目

本日は「平和の家」の気密測定でした。開口部が多く、小さな「平和の家」はあまりC値の測定には有利ではありません。でも、大工さんや電気屋さんみなさんがんばっていただいて無事に完了。2009年以降、基本的に全ての建物を実測してきたので漏気しそうなところはだいたい分るようになりました。しかし予想と実態は必ず異なりますので基本的には全て測るようにしています。気密に関しては上手になったのでもう測らなくてよい。ということはありません。

室内の空気を減圧することで外気がどこかの隙間から入ろうとします。もしビニールに穴がなければ、ぱんぱんに室内側にふくれますし、穴があれば室内に空気の流れを感じます。どこが漏気部分なのかを見つけ出して手当てすることが必要です。写真はシール部分に手をかざしているところ。本日の外気は4℃もありませんから穴があれば冷たい気流を感じます。

こちらは室内の空気を吸い出している整流筒です。

携帯用のサーモカメラも使って漏気部を探します。ちなみに室温は約14℃、外気は約4℃なので10℃の温度差を熱画像で見付けようとしています。熱画像は温度差が大きいほど鮮明になりますからこれからの季節はより有利に働きます。

各人が家中の隙間チェッカーになります。

結果は最初C値が0.3cm2/㎡から改善して、いつものように0.2cm2/㎡で落ち着きました。今日のようにビニールが露出している段階で極力気密は上げておきましょう。人が暮らすと室内を負圧にする機会(換気扇を使用する等)が増えます。一方外で大風が吹いたりすれば風上は正圧、風下は負圧となります。要は室内のビニールは絶えず室内から引っ張られたり反対に押されたりして動いていて、長期的には気密性も疲労し減衰してゆきます。それを見越して今の内に気密をしっかり上げておくことはとても重要なのです。
 
 
 
 

2015年11月24日火曜日

まちの学校


今日は降りしきる雪の中、札幌市立大学の「建築環境学特論」へ。

 学生のみならず社会人参加もOKのいわば「まちの学校」だ。今年の会場は平成24年に閉校した旧真駒内緑小学校を再生したコミュニティー施設「まこまる」。そうはいってもこの旧緑小学校、地下鉄駅から歩いて3分の立地。こんなところにも急速な少子化を感じる今日この頃だ。

 授業は新鮮な気付きがあっていい。退屈な物理とは違う。自分は今年、再履修だ。(笑)担任は同大学の斉藤雅也先生、教科書は宿谷先生の「自然共生建築を求めて」。本日はエネルギー、エンタルピー、エクセルギーの概念の違いや、物事のふるまいをシステムという視点で眺めることの大切さを学んだ。

私を含めて7人の聴講生のうち5人が現役の建築家だったことは嬉しくもあり同時に凄く刺激になった。意匠の人間ながら、環境学の知見を新たな空間獲得につなげたい。という意識に北海道らしさを感じました。次回は12/1(火)9:00~。みなさんぜひ一度参加してみては?(笑)

詳しくは http://coc.scu.ac.jp/event/2015/11/20151117333.html

2015年11月23日月曜日

平和の家 建て主さんと一緒に

先週は遠路、建て主さんが現場見学に来られました。奥様やお子さんたちも全員お揃いのヘルメットを被り、現場をあちこち見て回ります。
子供たちは何を見ても興味津々!現場に嬉しそうな笑い声が響くすてきな週末となりました。想えば、私も子供の頃、工事現場はとっても楽しみな場所でした。大工さんたちが見る見る家を仕上げてゆく様子や工作に使えそうな木材がたくさんあって、何回か現場に通ううちに大工さんと仲良くなると、ちゃんと良さそうな木材の切れ端を取っておいてくれたりします。その他にも、見たこともない機械や道具の数々・・・子供心的にはたまらない場所でした。(笑)

建て主さんと久しぶりにお会いして、子供たちが家の完成を楽しみにしていることや図面を見ながら兄弟同士でどの部屋がよいのかもう決めている。というお話しを聞くと、とても嬉しい気持ちになりました。普段の現場は建て主さんがよく来られます。もちろん間取りを決めるまでにたくさんのお打ち合わせを重ねますし、そうやってできた間取りが出来上がる瞬間に立ち会うことは、誰あろう、建て主さんとご家族にとって、日々の大きな楽しみです。しかし「平和の家」は大切に作った図面が実物になる様子を勤務地の遠い、建て主さんは中々見ることができなかったのでした。
後日、丁寧にメールをいただいて「安心しました。」なんて言って頂いて、私も嬉しくなりました。それと同時に「現場にとって建て主さんの笑顔はなんて大切なんだろう。」と気付きました。現場の全員が同じ想いだったと思います。さて、あと一月頑張るぞ!(笑)

壁の押し縁も「平和の家」では間隔を変えて、新たな表現を狙います。開口部廻りも、サッシ本体の枠を見せずにスッキリと納めました。

もうすぐに足場は解体し、内部の仕事に移ります。足場のある内にあちこち外部をチェックしておきましょう。
 
今日はjazzなんていかが

2015年11月14日土曜日

申請前夜

本日は月曜日に提出する「東光の家」の書類作りでした。住宅ローンの老舗であるフラット35の大幅な金利引き下げや補助金の充実。果ては住まい取得後の税控除まで受けられるとあって近年は一般に比べて上級仕様に当たる「長期優良住宅」の設計が増えています。いわゆる住宅品確法の10項目の中から1:構造強度の25%割り増し、2:省エネ等級4つ星、3:高耐久性の確保、4:維持保全計画策定の4項目に対して指定されたグレードのクリアが求められます。もちろんこの他に300mm断熱やパッシブ換気も込みで設計するんですが・・・毎回増える書類や追加資料にはちょっと凹みそうになります。(笑) おそらく現在、巷を騒がせている杭の偽装問題の影響でまだまだ書類は増えるでしょう・・・・・ まあ~これも仕方ありませんが、仕事をしながら見たニュースによれば他社でも同じことが常態化していたそうで建築関係者としてはとても複雑な気分です。
 
想えば・・・建築業界でも世界標準規格の導入ということで約20年前から始まったISO化の流れ。企業ブランドの確立や品質向上を目指すとのことでしたが、同時に膨大な書類作業が増えたのも大きな変化でした。とにかく書類で残せ!そんな感じを受けてふと気付けば社会全体が書類至上主義に陥っているように感じてしまうのは私だけでしょうか?もちろん書類として残すことは大切なことですが、机上の事柄にばかり足をすくわれぬよう、これから始まる「東光の家」の現場をまとめて行きたいと思います。 
 
妻よ!手伝ってくれて今日は一日ありがとう!
 
 

2015年11月13日金曜日

平和の家 外壁工事

朝起きると、車のフロントガラスがびっしりと凍っていました。いよいよ冬の到来ですね~ぇ。
しかし、ありがたいのことは最近雨が少ないことと、現場が順調なことです。「平和の家」は工程をなんなく消化し外壁の木貼り工事に入りました。エゾ松やトド松の貫板をウッドロングエコに漬け込んで作る外壁は意外や大人気となり、最近はクライアントさんからのリクエストが急上昇。出来上がりはなんとも・・・まあ・・最初だけ少々ボケた(失礼/笑)感じなんですけど、日の光に当たると見る見る味わいを増す素敵な木の外壁に早変わりします。近年流行のエイジング仕上とも違って、すごく自然な風合い。昔から木製の外装は大好きだったんですけどカラーステインの塗装はどうしても経年で色が抜けてしまうのが気になっていました。しかしこのウッドロングエコという保護材は逆に経年や樹種で独特の色合いが増すとあってか、今やカラーステインを追い越す人気です。

これが現在の外壁の色、なんだかちょっとボーッとして見えませんか?(笑)
 
こちらは昨年完成した「宮の森の家」。西の外壁は早くも美しいシルバーグレイに変わりつつあります。

3年も経つとこんな感じ、けっこう枯れた味わいになります。



本日は紺碧の空。明日は二班に別れ外壁と室内の断熱工事です。
 
今日はMonday Michiruなんていかが
 
 


2015年11月9日月曜日

東光の家 地鎮祭

昨日は、もうすぐ始まる「東光の家」の地鎮祭で旭川まで出張しました。建て主さんとは昨年竣工した「澄川の家」の見学会でお会いし、その後お打ち合わせを重ねながら今日の日を迎えることができました。この場をお借りして御礼申し上げます。
旭川神社の宮司さんは若手ながら笛の名手。自ら横笛を吹き、大きな声で朗々と祝詞(ノリト)を読み上げる姿に、身が引き締まる思いがしました。

同じ北海道でも地鎮祭の作法や所作はその地域性が深く影響してたいへん興味深いものです。札幌圏では祭壇から供物までセット価格で神社側が用意するのに対し旭川は建て主が主催者として宮司を招き祭壇から供物まで用意するという伝統的なスタイルが主流です。

玉串の奉納が終る頃には、少し雪もちらついて冬の訪れを感じました。
 

現場を担当する㈱清水組の古川社長の挨拶。「ぜひ現場にお越しいただいて気が付いたことがあればなんでもお聞き下さい。みなさんで協力してよい家づくりにいたしましょう!」
ここしばらくは旭川通いが続きそうです。(笑)

今日は華やかにBachのブランデンブルグ協奏曲なんていかが
https://www.youtube.com/watch?v=4xWP4NvzWqU&index=1&list=PLAPetwAxS4N07bkSphyYFQG5QuQlcNFaZ

2015年11月6日金曜日

平和の家 板金工事

日射遮蔽のための庇も出来上がり、今日は板金屋さんのお仕事を見て行きます。北海道は板金大好き地域の筆頭と言ってもよいくらい、建築の各部に板金を使います。代表的なのはなんと言っても屋根ですが、近年は壁、さらには見えるところ全て板金なんていう現場も珍しくありません。「平和の家」では庇や袖壁、窓水切りや腰水切り破風廻りなんかに板金屋さんがピシッと成型したパーツを使います。

こちらは腰水切。0.35mmを上手に折り込んで強度と精度を出してもらいます。以前は大きな木下地に板金を巻いてもらっていましたが最近は上板と下板の二枚使いでピシッと直線を出して、見付寸法(正面に見えてくる厚さ方向の寸法)は15mmで精度よく加工してもらっています。大きいことはいいことだと言う人もいますがこうした、部分的な角(エッジ)は最低限の寸法で緊張感を感じさせつつきれいに見せたいと思っています。

こちらは窓水切りの下地の合板です。必ず、建築全てをタイベックで覆ってからこうした下地の類いを取り付けます。前回までは腰水切りと同じ二枚使いで下地なしだったのですが、板金屋さんから「窓に関しては下地があると吊子を忍ばせて掴んだり、引っ掛けることもできるし、大工さんが作業中にチョット脚を掛けても引っ込まないから安心だよね。」とアドバイスをいただいていたので少し改良してみました。おかげさまで窓廻りの原寸大施工図も今回でほぼ完成形。現場でいただいたアドバイスや発見は忘れないうちに図面化して残す。当事務所の伝統ですがこうした蓄積は特に信頼感の高いディティールには欠かせません。

こちらは腰水切の出隅部分。向かって左が下板。これに右側の上板を被せて完成です。

こちらは連結部分。

飛栄建設さんの現場は職人さんたちが若いのでラインが大活躍。写真は下地の写真を定規と一緒に撮って、すぐさま板金屋さんへ送っているところ。採寸や変更、調整に関するコミュニケーションの質が上がるので間違いも減ります。
 
今日はグリーグなんていかが https://www.youtube.com/watch?v=Qv_770IcpCY

2015年11月3日火曜日

平和の家 雪止め工事

 
0勾配の屋根をシート防水で作れるようになって設計可能な空間は大きく広がりました。厳しい気候を有する地域であればある程、信頼できる工法の確立と設計の自由度は比例します。
 
「平和の家」の建つ札幌市の西区平和地区は市内屈指の豪雪地帯として知られています。また山側のために中心部と比べると冬場の気温も2℃以上低いのです。一方古くから開発された住宅街であるためにかなり建て込んでおり屋根の雪はどの方向にも落とせません。そこで約半年間、積雪させる(載せっぱなし)ことを前提に屋根のデザインを建て主の要望に沿ってまとめる必要がありました。
 
クライアントさんのたっての要望で二階の大部分をロフトにするべく、片流れと部分的に0勾配の屋根型を選択することとなりました。そのままだと屋根の雪が北側に滑り落ちてしまうので、シート防水の屋根に雪止めを取り付けます。水だけは流れ雪は残るように列には隙間を開けて配置します。
 
 
本日はからりとした秋晴れ。屋根の上も気持ちがいいものです。

こんな風に木の下地をシートで包んで作ります。


見ているとなんだか折り紙のような感じ。接着液と工業用のドライヤーを用いて見る見る張り上げて行きます。


うーん今日の空は青かった。
 
 
今日もプッチーニ。製図、製図の図面漬けなもんで。(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=PliBCsWMyBU

2015年11月2日月曜日

大きく跳ね出した庇をつくる

 
断熱を単なる寒さ対策としか考えていなかった頃は庇のない陸屋根をよく作っていた。(写真は東光の家1999/旭川)断熱をしてもある程度寒さは仕方がないのだから日射はむしろ入れば入った方が暖かい。夏涼しく、冬は穏やかに暖かくなどと言うよりは日射も断熱と同じように寒さ対策と考えていた。それ程までにクライアントにこの家は寒いと言われることを恐れていたのだ。不思議なもので当時から各地域別の仕様規定というものがあり、とりあえずその仕様通りの断熱厚さとすれば設計者の仕事は終ったものと考えていた。いつの時代も無知と思い込みは恐ろしい。宝の持ち腐れという例えがあるが20年前の自分はまさにそれだった。当然ながら夏場日射を遮るものがなければもの凄く室内は暑くなった。しかし「熱い暑いも二週間!」と言われた北海道の気候がすぐに夏を秋に変え、結果として大事に至ることはなかった。ところが時代は変わり、断熱をどんどん増すことで今まで仕方がないと諦めていた多くの事柄が解決できるようになると、この問題がまた頭をもたげるようになった。しかも今度は真冬にである。外が零下であろうと冬の低い日差しは眩しさと熱さを室内にもたらしひどい時には暖房しながら窓も開けるという愚かしい事態になった。
 
 
冬を旨とすることで、落雪を嫌い、寒さを嫌った北海道の陸屋根は「説明のし易さ」という点においては優等生だった。一方、街並みや景観といった観点からは無愛想とか箱もの住宅なんて笑われることも少なくなかった。しかし今、断熱を増したことによって季節を問わず「日射遮蔽」の必要に迫られ庇のない箱もの住宅がその姿を変えようとしている。写真は「西野の家2011」の大きく跳ね出した南側の庇。この庇で日光を遮らないと室内は冬でも簡単にオーバーヒートしてしまう。断熱を増すことで、照明や人体発熱、家電や調理、入浴の排熱まで有効な暖房熱源として簡単に使えるようになった今。設計思想は夏を旨とする方向に向きを変えつつある。ここで大切なことは回帰ではなく向きを変えるという点だろう。ここで言う夏を旨とは断熱を主体としたものであって従来の通風や換気を主体としたざるのような夏旨住宅とは異なる。窓からの日射さえ抑えれば断熱住宅はむしろ従来の住まいより数段涼しい。冷房の効きもぐっとよくなる。もはや断熱に冬向き夏向きと注釈を付けていた時代がなんだか馬鹿らしく思える今日この頃です。

庇のある陸屋根?的な表情(笑)
 
窓上の庇を70cmくらいスパッと跳ね出すのは雪過重を考える必要のある北海道では結構悩ましい。そこでスチールのプレートと付加断熱用の下地を利用して庇の下地を取り付けている。

こうすることで大人が乗っても落ちない庇が出来上がる。垂木が熱橋となりにくいように周囲にはグラスウールとウレタンで断熱補強を施す。
 
今日はプッチーニなんていかが
 
 

レイ君です!

なにかがもぞもぞと動いている!と思ったら・・・
次男に買った洋服の袋に白と黒の影が。この牛模様のレイ君3歳はとにかく狭い空間に入るのが好き。たとえば私が家に帰ってかばんを開けると中に入りたがり、妻がバックを置くとそわそわと中を覗き込み、空きダンボールなんて大好物ですぐに中に入って隙間から目だけを出している。他の猫ニ匹が割と地味目の虎模様なのに対して全身白黒の分りやすいデザインのレイ君は子供達にも大人気で寝る際の抱き枕ならぬ抱き猫?(笑)として圧倒的人気を誇っている。人も?猫も?見た目のインパクトは大切なようで、もし野良猫なら生存率を落としかねない派手目のデザインはやはり人によって与えられたものなのだと、ふとレイ君を取り合う子供たちを見ていて気付く。人もペットも個性が大切。もちろん見た目がよければさらによい。はたしてレイ君は鏡を見るのかな?とふと疑問に思った。