2013年9月1日日曜日

PMV

以前にもご紹介しましたが、道内の建築家の設計した家に計測器を取り付け、その室内環境を長期的に記録する取り組みを東京大学の前先生の研究室と共同で行っています。従来は冬向きと考えられてきた北海道の家ですが、近年断熱気密住宅の有効性は冬ばかりではなく一年を通したものに変わりつつあります。断熱することで暖房負荷(ある温度まで暖房する際に必要となるエネルギー)は小さく出来ても、冷房負荷はむしろ増大すると考えられてきたことがその主な原因ですが、実際は夏でも日射遮蔽に気をつければたいへん涼しく過す事が可能になります。

写真は温熱環境の評価指数の一つであるPMVを計る機器。温度と湿度、風速と周囲からの輻射熱によりPPD(予測不快者率)が計測できる。結果は7.1%なり。要は100人中93名は快適と感じ、約7名がそうではないと感じる室内なのだそうです。中々難しい考え方ですが、快適だと感じる人が多かったのはホッと安心でした。

 
こんな感じに換気を行った環境で計測します。

次の計測場所はアトリエO2の大杉邸。南向きに開口部がない分、落ち着いた北側の光と風景を取り入れる設計。こちらもPPDの低さが印象的でした。

大杉邸の次は先輩建築家、小室さんの最新作の保育園。RCの構造体に20cmの外断熱を施したもの。前先生曰く、外の暑さに関係なく室温が一定とのこと。
 

2か月分のデーターを記録しているところ。

最後は照井さんの事務所兼自宅。輻射熱に関して話し合う二人。
 
一時は、「計測なんかしてうまく行ってないのがばれたらどうするの?」なんて冗談交じりのマジな?(笑)意見も少なくありませんでしたが、よくよく考えれば分かるように、良いも悪いも全て客観的に丸裸にしてもらうことではじめて共通の課題や克服すべき目標が明確になるのです。自分にしか分からない主観性の中でひたすら建築を作ってもそれは説得力にはつながりません。長年、先輩たちが作り上げてきた北海道の家を私たちの世代で、さらによいものにするためにはむしろ積極的なコラボレーション(協働)しかないのかもしれません。  きっと厳しいと思いますけど..(笑)
 
今日は Flowerで 「恋人がサンタクロース」
 
実はユーミンが原曲だけど自分らの世代は聖子ちゃんす!
という方々には。(笑)