2018年7月27日金曜日

釧路の家 内外装工事

7/24(火)には「釧路の家」に行ってきました。内装のボードが貼られていて、外装の板貼りも進んでいます。室内では電気の配線がほぼ終った状態。

玄関先の独立柱は丁寧に養生されています。

居間の明るさを階段に落とすために取り付けられた縦格子。材料は唐松。

大きな屋根の下で空間がつながる「釧路の家」
 

タイベックに外装のための横下地(通気胴縁)を取り付けた北側の壁面です。

こちらが外装の貫板を貼り始めたところ。板と板の隙間は押し縁と呼ばれる捧をその上から打ち付けます。

こちらは窓上の通気層。黒い線が通気します。万が一壁に水が入ってもここから排水します。

敷地からは周囲の住宅街の様々な屋根が見えます。左側の黒い家が「フラットルーフ」と呼ばれるもの。2/100~5/100程度の緩勾配で雪だけを屋根上に留め融雪水のみを軒から地面に落とすことを意図したものです。しかし実際には雪もゆっくり動いてしまうので結局軒先に大きな雪庇が迫り出して軒が折れたり、落雪した大きな雪庇が窓を割ったりして、無落雪を目指した北海道の屋根としてはスッキリと問題解決とは行きませんでした。
 
次に右側の家の「スノーレーン」。従来の屋根とは反対に建物の中央に雪を集める方向の勾配が付いた屋根です。逆勾配ですからもう雪は軒先から外に落ちません。融雪水は屋根中央の水路に集められ、排水口から室内を経由して下水溝へ流されます。雪が落ちないためにこの形式の屋根は広く北海道で作られましたが、難点は排水口の詰まり。秋口や春先に枯葉やみぞれ雪で排水口が詰まると水は屋根をプールのようにしてしまい、2階の天井を浸水させてしまいます。そのために点検のための梯子が取り付けられましたが、1年に2回、住人自ら、屋根に登って点検をしてくれるのか?といえばそれも叶わず、無落雪ではあっても点検の欠かせない屋根というところがモヤモヤ・・・と言ったところでしょうか。

「釧路の家は」緩勾配ながら雪止めを付けたシート防水の無落雪屋根としました。まず従来の板金屋根の泣き所だった緩勾配での防水性は溶接されたシートが確保します。たとえ破れたとしても同じ材料を上から接着して簡単にふさぐ事ができます。元々水槽やプールのための材料なので板金に比べて非常に防水性が高いものです。自由に溶接できるということは、写真のように雪止めも簡単に一体化できるので、今までのように錆びたり腐ったりすることもありません。沿岸部である釧路は屋根の塩害対策が欠かせませんが塩ビ系のシートなら錆を気にする必要もないのです。こうして雪のみを屋根上に留め、融雪水を軒先の樋で受けて地面に落とすことで見た目は勾配屋根でも無落雪、雨だれ(冬は氷柱)ナシの屋根を作りました。
 
今日はモーツアルトなんていかが、大好きなクラリネット協奏曲・・最高だ!