2017年12月19日火曜日

帯広の家 気密測定2回目

昨日は6:00に札幌を出発し、森先生と帯広へ、最近は夜が長い。高速を少し走るとようやく夜が明けてきた。
 
目的は「帯広の家」の気密測定の2回目。はたしてどの程度改善したのだろうか、現場は苦労の連続だった様子だが、うまく気密が出ていれば嬉しい。以前の投稿でも書いたように最初の気密測定では、まったく測定が出来なかった。あまりに家中に隙間が多すぎて室内から空気をどれ程吸い出そうとも、全く差圧を得る事が出来ない。そんな状況だった。30年前の家とはいえ壁や屋根に立派な断熱材をそれも当時まだ珍しい外張り工法で作られた「帯広の家」。しかし気密の低さは断熱建物にとっては致命的で、住い手が寒さに耐えかねて窓は3重にし、風除室にサンルームまで取り付けたが根本的な解決とはならなかった。
 
処方箋はずばり気密を出すこと。気密さえ出れば30年間封印されてきた断熱材本来の能力を引き出すことができる。付加断熱を加えて断熱性を最近の水準に近づけることもできるだろう。もちろん計画換気だって安定的に出来るようになるから1階の熱を上階に運ぶこともできるようになるだろう。
 
しかし経験上、気密を考慮することなく作られた建物を後から気密化することくらい難しいことはない。それも今回のように住い手の家財道具を全て中に残したまま、室内から外壁廻りを全くいじることなく全て外部から気密と付加断熱を行うとあってはなおさらだ。もっとも屋根だけは仕方がないので部分的に天井を開口し人を天井裏に上げて吹き付けウレタンにより断熱と気密を同時に行う工法とした。
 
朝方の十勝地方は真っ青に晴れ上がり、放射冷却現象できんきんに冷え込んでいた。車の外は-17℃。空には雲ひとつない。日向は太陽の輻射熱で暖かいのに日陰はぞくぞくするほど寒い。おなじみの晴れた内陸部の冬の日だった。
 
真っ青に晴れ上がった空の下、森の樹氷が先ほどまでの厳しい冷え込みを物語っている。
 
現場に到着し測定を始めたが、なかなか大変だった。相変わらず隙間が大きすぎる。あれほど丁寧に気密を出そうと苦労したにもかかわらずなぜ?しばらく排気機を回しながら漏気部分を探すと、答えは意外に簡単に見つかった。天井裏の24h換気のファンとパッシブ換気の排気口、100φ×2と125φ×2がテーピングできていなかったのだ。
 
早速、テーピングを行い気密化したのが上の写真。その後の気密検査で概ねC値2.6cm2/㎡を
達成し一安心となった。
 
森先生のサーモで見ると壁内の熱橋の様子がよく分る。
 
こちらは床下のピットに防湿シートと断熱材を敷き詰め、熱源を設置したところ。元々床下に外気を給気する設計だったのでそれをそのまま利用して床下換気暖房とした。排気はパイプファンと湿度感応によるデマンド型排気口として、夏場と冬場を使い分ける。昼間でも屋外は零下。写真は-2℃の外気が進入するところをサーモカメラで撮影する森先生。
 
今日はショパンなんていかが