2020年11月6日金曜日

南円山の家 外装工事

黒い外壁と赤い屋根が見えてきた「南円山の家」です。このカラーリングは道内ではとても伝統的なもので、1950~60年代にたくさん作られた三角屋根の住まいによく使われました。

ですので流行りは70年ほど前ですね(笑)
その後、様々な外装が流行り今に至るのですが、当時はコールタール塗りの黒い外壁、白ペンキを塗った窓と破風、酸化鉄から作った赤ペンキを塗った屋根の家が沢山ありました。

「南円山の家」はその当時から70年後の仕事になるのですが、外壁は安全な木酢系保護剤の黒、窓は樹脂製トリプルサッシの白、屋根は赤いガルバリュウム鋼板製の無落雪屋根に進化しました。
いつものように建て込んだ狭い敷地ですが、雪かきや、物置、積雪時の動線、車等を家の前で効率よく整理できるように考えてあります。

前面道路が狭いので動線部分は屋根だけ跳ね出して周囲への視界を確保してあります。


 

街並みと住民の意識

 

先日、ヴィレッジ(みどり野きた住まいるヴィレッジ)の住民による街並みのワークショップがあるので~とご案内を頂いたので南幌まで行ってきた。その様子がこれ、ほとんどの住民が集まり将来のまちづくりや新たなルールの必要性について楽しく話し合っている。もちろん子供たちも参加OKの大らかさは北海道スタイル(笑)

最後に設計に参加した建築家の一人として感想を求められ・・「自分も地元でPTA会長を5年間仰せつかり・・各町内会さんとも子供と保護者を通して、密接に連携させていただきましたが・・自らのまちを想って全員集合するようなコミュニティーは未だ経験がございません。ささやかながら、ヴィレッジに関わらせていただいた一人として幸せです。」と述べた。ヴィレッジが出来るまで全く想像もしなかったことだった。

ヴィレッジは田舎らしいゆったりした暮らしに価値を置く視点で計画されている。一区画おきに間を空けて建設されるルールもそこから来ている。

こんな風に建て込み過ぎない街並みを守るために住民自らが意識を高め街並みを守るコミュニティーが出来つつある。

秋の日に聞きながら散歩したくなります。アバロンジャズバンド




”資金調達”とみどり野きた住まいるヴィレッジ

 

仮に土地が安くなったにせよ・・上物は地元の建築家&工務店と来れば簡単にお安くお値打ちに~!とは中々行かない。そこで登場するのがヴィレッジにおいて資金調達の可能性を担保する工夫だった。「北方型住宅2020」の性能基準はざっくり言えば現行の「長期優良住宅」に「BELSの★★★★★」と「1.2地域HEAT20のG1のUA値」を組み合わせたものだ。これらをまとめて「地域型住宅グリーン化事業」の提案として登録工務店の所属団体である「北海道ビルダーズ協会」が行うことにした。その結果ヴィレッジ内で「北方型住宅2020基準」を満たせば半ば自動的に110~140万円の補助が付くように制度設計している。
もちろん地元金融機関による北方型住宅専用ローンの開発、フラット35SA金利への対応等を想定し、複雑化する届け出に対しては作り手が混乱しないように「北海道建築指導センター」による北方型住宅セミナーにも力を入れている。意外なことだが移住者に対する南幌町独自の補助は町単費の予算であるために、こうした各種の補助を複数、抱き合わせで使えることも作り手と住まい手にとって大きなメリットとなっている。良いものを得るにはお金が掛かる。しかしそれがどうしても必要だとしたら、この不況の中、資金力に限界のある若い世代にこそそうした住まいを建てて欲しいと思うなら・・最低限の錬金術は絶対に必要な仕組みである。そのためには行政官と地域の金融機関、住宅金融支援機構との連携が欠かせない。立派な基準を作ったはいいが、仮にそれを守っても全く報われることなく、若い世代に高額なローンがのしかかるだけでは、誰もやりたくないよね(笑)。

アバロンジャズバンドなんていかがでしょう







南幌みどり野きた住まいるヴィレッジ 秋の一日

 
この写真は武部建設の武部社長にお借りしたもの。ヴィレッジに住む子供と親たちが落ち葉の清掃をしながら、焚火を楽しむ様子。もちろんお楽しみは焼き芋ですよね~(笑) ところで今の住宅街で焚火が気兼ねなくできるところってあるだろうか?休みの日に短い秋を、子供も大人も精一杯屋外で楽しむ日常が普通だろうか?ここから先は余談だけど・・最近こんな風に南幌が注目されるにつけ・・なんで南幌ばっかり?とか、土地がタダなら何でもできる?風な意見もちらほら地元で耳にする。聞いてみれば単なるやっかみだったり、ひがみだったり大抵は誠に人間臭い感情が原因のようだ。(笑)ただこの「土地が安いから」という指摘に関しては、別の観点で見れば本人の想いとは裏腹に核心をついてもいる。

30代前半で年収が500万円台。調達できる住宅ローンは年収×6倍で概ね3000万円。また人にもよるが自己資金(貯金)が約300万円、両親からの応援が100万円づつ・・合計3000~3500万円程度というのが札幌圏ではかなり多いパターン。そんな中で移住者に手厚く住まいの資金を補助する南幌町の政策はざっくり言えばこの予算規模の家づくりにおいて消費税を約7%減税するに等しい効果を持っている。ご存知現在の消費税率は10%。予算を3000万円使おうとするなら税分も合わせて3300万円必要になる。一方、消費税3%なら必要な分は僅か90万円。差額は210万円。町の移住者補助とほぼ同額となる。もちろん一定の条件はあるものの町外移住者に対する200万円の町の助成はデフレ期に相応しい強制的な建設物価の引き下げに相当し、その正しさがヴィレッジにおける好調な人口増加に寄与しているように見える。言われて見れば当然だが、景気の悪い時こそ減税し家計の負担を和らげるからこそ消費(暮らし)は維持できる。そんな理由で「土地が安いから出来るんだよ!」はまさにその通り!言い換えるなら、デフレの今だからこそ土地を安くする南幌町は正しい施策を行う自治体という事に他ならない。最高の誉め言葉だと思う。(笑)


コロナは多くの人にとって多大な災禍となった。その反面、テレワークの導入等により今までは仕事場と通勤に縛られてきた、私たちの仕事と家に対する概念を大きく変えもした。

出口の見えないデフレ不況とコロナ禍の中でヴィレッジの暮らしの一コマはとても幸せそうに見えた。

今日はYESなんていかがでしょう。冬がきますね~(笑)