2015年9月22日火曜日

平和の家 基礎工事

基礎工事の始まった「平和の家」。まずはベースコンクリートを打設するための型枠が取り付いた状態。瑕疵保険会社の現場検査は既に完了しています。話は変わりますが最近、熱心に環境建築を志向する本州の作り手のみなさんともお話しする機会が増えてきました。その中で感じたのは基礎の作り方が随分違うという事です。北海道の場合は、コンクリートを1:ベース、2:立ち上がり(垂直部分)、3:スラブ(水平部分)の概ね3回に分けて施工しますが、本州の場合は1回~2回で終了するのが標準とのこと。こうしたコンクリートの扱いは効率がよくて北海道より進んでいる感じです。私も前から思っていたんですけど、北海道も基礎のコンクリートの打ち込み回数はもっと効率化するべきだと思っています。

こちらは基礎断熱に用いるEPS断熱材です。厚みは16cm、この厚みになるともちろん人力で曲げる事もちぎる事もできません。断熱材にたわまない充分な強度があるのでコンクリートの型枠は断熱材のない片側にしか必要なくなります。一方、北海道の基礎の特徴であるベースと立ち上がりを分けて打つ方法の弱点をこの時期にしっかりフォローしておくことが必要です。要は土中で打ち継ぎ部分から浸水せぬように基礎の周囲の水はけの確保や打ち継ぎ部分の防水対策等を打ち合わせてから垂直部分のコンクリートを流し込む事が肝心です。北海道では最近珍しくない基礎断熱工法ですが、床下を室内として意識することが大切です。室内なのですから、防水や換気、暖房や照明といった通常の部屋と同じことが求められます。当事務所では床下をパッシブ換気の予熱空間やトランクルームとして積極的に位置づけて使いますから前述のような設備も無駄にはなりません。基礎断熱は床下が湿けるとかカビが生えやすいという人が対症療法的な対策工事のコストを気にしますが、そもそも床下が家にとって欠かせない役割を担う空間ならそこに掛かるコストは仕方なく払わざるを得ない消極的(対策費的な?)なものではないはずです。むしろ必用な事柄だから払うという前向きなものに変わります。要は設計者が基礎断熱を選択した際、同時に手に入る「床下」という新たな空間に積極的な必然性や必要性を用意できるか?といった設計スキルやイマジネーションの豊かさが基礎断熱を生かしもするし殺しもするのです。「床下をなんに使うのか?」このアイディアに乏しいことが対策重視の原因である事に気付かないと、ずっと「対策」目線の堂々巡りから卒業できません。 床下を有効に使うことでもっともっと良いことがあるよね!というアイディアを大切にしたいものです。