型枠を取り外した「平和の家」。基礎断熱の埋め戻し部分にはシロアリ避けの防蟻モルタルをベースまで塗り下げてあります。一般にシロアリの対策の必要性は低いと言われている北海道ですが今後の事を考えて極力、取り入れて行こうと考えています。
最近は一日の中で必ず雨が降るのでコンクリートの養生には悪くありません。一方、含水率は高まります。しかし完成が冬なのですぐに床下暖房を使うことになりますから湿ったコンクリートはどんどん乾燥します。90年代、基礎断熱が始まった頃は床下に熱源が無かったために(基礎断熱の初期は床断熱用の断熱被覆管を使ってお湯や暖房用温水を送っていたが、よくよく考えれば室内となった床下の管をもう一度断熱する必要などないと気付くまで少々時間を要した。)基礎断熱の床は特に1階が冷たく、「暖まるまでに1年程度掛かる。」とよく言われていました。 話は変わりますが、初夏の竣工現場の基礎断熱で床下がコンクリートの水分が原因でカビが発生し問題になったのは1995年くらい。最初は原因不明でしたが、程なく解決のヒントが見つかります。同じく5月に竣工した基礎断熱の現場でも床下に断熱配管を用いていない家はその後の被害が少なく、律儀に断熱配管を用いた家はカビの被害が拡大したのです。当初は安い通常配管を使った家が改善し、高価な断熱配管を使った家は改善が見られないことが不思議でした。しかし理由は意外にも簡単でした。
基礎断熱の仕様はEPSの160mm。ホールダウンとアンカーボルトもコンクリートのトロが飛んでいないかどうか確認しておきます。
断熱性のない通常配管は中にお湯が通ると管自体を暖め、結果的にその周囲の空間も暖めます。1階の各部屋に温水暖房機を付ける北海道の家ではこの暖房機にお湯を送る管は全て床下に配管しますからその管を断熱しなければ無意識の内に床下も暖めることになっていたのでした。一方、律儀に断熱配管を使うと熱は菅の外には洩れませんから、結果として床下は暖まらず冷たいままです。当然、湿ったコンクリートも乾燥しないのでカビの害が長引くことになったのでした。不思議なものでこうした経緯でカビる事もなく乾燥して暖かな床下空間ができるようになるとその後、積極的に使われ始めます。まあ当たり前といえば当たり前ですけど。(笑)
こちらは基礎の天端。基礎パッキンを用いて土台下を気密するので基礎には平滑性が求められます。今回はセルフレベラーモルタル。流動性の高いモルタルで水面のように均一になります。ここら辺は300mm断熱に取り組む各工務店の個性が出るところでもあります。
こんな風に熱や湿気の問題を解決し進化してきたのが北海道の基礎断熱です。今ではパッシブ換気の予熱空間やトランクルーム等々、従来の配管スペースばかりでなく、家にとって断熱された床下空間はなくてはならないものになりました。基礎断熱と床下暖房を効果的に組み合わせると従来の高価な床暖房は必要性が薄れます。その快適性や低温火傷に対する安全性、高いコストパフォーマンス、なにより費用対効果の高さは、床暖房という考え方を一時代前の色褪せたものに変えてしまいます。
今日はFoxesなんていかが