片流れの美しい登り梁と根太で架構された「常盤の家」の屋根。写真は室内から見上げたところです。このままで天井仕上げになります。以前は骨組みが隠れる天井も作っていましたが最近は木質系のインテリアのリクエストが多くこうした天井をよく作ります。今日はそのお話しをします。
今の現場の様子ですが、手前の白い木と奥の赤い木が見えますよね?白い木肌に品質シールが貼られている材料はこれから石膏ボードで覆われる柱や梁。それに対して赤い材料はこの後も見えたままになる材料です。つまり見せるところには暖かな赤味の材料、それ以外は一般的な材料と使い分けているのです。通常は隠れてしまう材料をあえて見せて使うことを顕わし仕上げと申しまして一般には手間をかけた「良い仕事」を指す意味で用います。その理由は・・・
1:強度のみならず見栄えの良い材を選ぶ目が材料屋&加工屋さんには求められる。
2:設計者は構造図面で顕わす材とそうでない材を完璧に把握しておかないといけない。
3:加工(プレカット)屋さんは接合強度のみならず見せる接合を工夫する必要がある。
4:強度のみならず断熱や気密を両立した上で見せることが求められるために、シートや
テープの始末。それらが絶対に見えないように組み立て前に完璧に設計し、施工イ
メージをしておく必要がある。(設計、加工、組立等複数の人が同じ目的を共有す
る必要がある)・・・これが難しい!
5:材を顕わすということは木材を汚したり、傷つけたりできない。大工さんはもの凄
く丁寧に力仕事をしなくちゃあいけない。(一発勝負で逃げが効かない)6:材を室内側に見せるため、通常の充填断熱とは異なり外張り断熱のノウハウが必要。
ざっと・・こんな感じです。(笑) 平たく言えば設計者の私だけが頑張っても無理・・
材料を見立てる人、加工をする人、組み立てる大工さん・・現場に関わる多くの人が目的を共有して作るのがこの顕わしの天井なのです。
今回初めてお付き合いさせていただいたプレカット屋さんは三津橋産業㈱さん。丁寧な図面の確認だったり、材料にケガキ線が出ないように加工機を調整し直して頂いたりと大変お世話になりました。
三津橋産業株式会社HP http://www.mlcmitsuhashi.co.jp/index.html
こちらは隠れてしまう白い材料ですが、屋根から出来上がっているのが分かるでしょうか?きれいに組み上げることは大切ですが・・時としてお天気は待ってくれません。
雨が降ってきて材料を濡らしてしまうと・・美しい材の赤味が台無し・・せっかく多くの人の手を経てきたのに現場はがっかりです。
なので材料を預かった大工さんのプレッシャーは相当なもの・・美しく丁寧に傷つけないように組み上げながら、いつ雨が降ってきても大丈夫なように手早く屋根から作って、仮設の雨養生をしてやっと一段落です。
仮に屋根の本防水前に中に雨水が入っても白い防水シートが守る仕組み。これなら安心です。
風が出てきたので、この後シートをぴっちり張って明日の休みを迎えます。
現在はこんな感じ。屋根の仮養生が終わって、大工さんが外壁廻りの金物取付。その後は耐力面材(OSB合板)を貼って行っています。
「常盤の家」の家は一般的なGWHG16-38ではなくて20-35。ハイフンの前が密度で後の筋が熱伝導率です。
今夜はMr.Bigなんていかがでしょう