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2026年3月3日火曜日

南6条の家 見学会&お引き渡し

3月2日は「南6条の家」のお引き渡しでした。いつものように住まい手さんに返却する書類をまとめ、お花を用意します。

お花はいつも商店街のお花屋さんにお願いしてアレンジしていただきます。やはり3月のお引き渡しは春の香りがしますね/笑。

取説はキッチン廻り、ペレットストーブ、ガス設備、最後に私がパッシブ換気と季節ごとの住まい方を説明します。

最近の高性能住宅はものすごい量の住まい方情報が当たり前になっていますが、私の作るパッシブ換気の家はその反対。躯体の断熱性能にたっぷり余裕があるので暖房も冷房も窓開け通風も夜間外気冷房だって簡単です。機械の使い方はボイラーとガス関係くらい。住まい方を極端に変える必要はなく、機械設備のメンテナンスを忘れる心配もありません。

想えば・・北方型住宅に興味を持っていただいた建て主さまに光栄にも指名を頂いて、実家の建て替えをご依頼いただいたのが2024年。昨年の4月に現地調査を行い、着工しようとしたのもつかの間・・新法改正で建築確認申請が遅れに遅れ・・着工した時は既に秋。毎度ながら丁寧な仕事で答えてくれる飛栄建設さん。松田社長さんと宇野棟梁のおかげで無事完成させていただきました。この場をお借りして現場で働いた全ての人と今回、貴重な挑戦の機会をいただいた建て主さまに心より御礼を申し上げます。
 
20坪のコンパクトな平屋ながら密度高く家のあちこちに色々な居場所を用意しました。写真右手の梯子を上ると1.5階に設けられた塔屋に出ます。そこから屋根に出ることも、換気や自然冷房にも使えます。

簡単に料理して隣のカウンターですぐに食べられるように。

居間から台所が丸見えにならぬように列柱で柔らかく仕切っています。調味料やこまごまとしたものが見え過ぎないように引き出しや収納の類はたっぷりと充実させます。

シングルベッド×2の寝室は壁の色をスモーキーな感じに変えて

玄関は少しレトロに下駄箱を用意して上部はお花を飾れるように

北国の明るく大きなユーティリティースペースです。洗濯干しスペースと収納クロゼットを兼ね脱衣所と洗濯機置き場、洗面所とボイラースペースも兼ねます。

今日はSingu it liveでマドンナのカバーなんていかが


2026年2月21日土曜日

南6条の家 見学会のご案内

 


昨年より飛栄建設さんと建設を進めてきました「南6条の家」がいよいよ竣工を迎えます。 まちなかに建つ20坪の小さな平屋。この度、建て主さまのご厚意で見学会をお許しいただきました。冬の暖かさはもちろん、夏の涼しさをテーマに取り組みました。

ぜひ最新の北方型住宅2020の住まいをご覧ください。


ご希望の方は必要事項(見学希望時)をご記入の上当事務所のお問い合わせフォームよりお申込みいただければ幸いです。

 お問い合わせフォーム https://ako-a.com/contact.html


◆「南6条の家」とは

まちなか暮らしを楽しむ小さな平屋

実家を建て替えて小さな平屋で伸び伸びくらしたい。近年、現役&リタイヤ世代を問わず支持を集めているのが小さな平屋暮らし。

二人暮らしにちょうどいい広さと工夫の数々・・・

17年目を迎える300mm断熱の実践を通して暖かさや、寒さの除去は十分完成の域に、反対に年々厳しさを増す暑さへの対策に注目が集まっています。庇のない太陽がたくさん入る今までの北海道の家は冬は暖かくとも、夏は暑すぎて仕方がありません。

そこで冷房用塔屋を設けて冬のみならず夏も涼しい平屋としました。


北海道が1988年から年次改良を続けている「北方型住宅」時代の流行りに流されることなく誰にとっても大切な、快適性、ユニバーサルデザイン、耐久性、省エネ性、地域性、設計図の保管とそれらの見える化を進めてきました。その最新版である「北方型住宅ZERO」の基準を満たしています。


ZERO基準はそのベースとなる北方型住宅2020基準に10ポイント以上の更なる省エネ要件をプラスしたものですが、南幌まちなかの家Ⅳは+10ポイントとなっています。特に外皮性能のUA値:0.17W/㎡Kは国の定める最高等級7(断熱等級/UA:0.20W/㎡K)を超えるものです。


◆BELSについて


今日はマドンナ HSCCのカバーで


2026年2月20日金曜日

南6条の家 2026.02.20

お引き渡しの予定が決まると・・床下の予熱を開始します。
冬の基礎コンクリートはキンキンに冷えています。基礎断熱してあるとはいえ、湿った冷たい床下のコンクリートは中々温まりません。

建物を予熱することなくお引き渡しすると・・必ず、「寒い・・特に床が冷たいです」と連絡を頂くことになり・・「基礎断熱は床の冷たさが消えるまで1年くらいは掛かります」みたいな残念な言い訳をせざるを得なくなります。基礎断熱は床に断熱がありませんからその表面温度は床下の温度が決めてしまいます。

そこで低温のお湯を回してゆっくり床下を温め始めます。もう一つは床下を予熱することで湿ったコンクリートを乾かし、結露やカビといった湿害を予防します。もちろん床下の温度だけ上げるのではなく・・パッシブ換気の床下給気を開放してカラカラに乾燥した冬の外気を導入し加温することで「最強の水取りぞーさん空気」を床下生産し仕事をさせます。仕事を終えた空気は湿気を吸って軽くなり煙突から外へ・・その分、また新たな外気が床下流入し、給気⇒予熱⇒排気のサイクルが自律的に回転を続けます。

床の上には仕上がった内装があり・・かなりの湿気を出しています。そこで床下を乾かした後は室内もついでに乾かしていただきます。
 
仕事を終えた空気はパッシブ換気の排気口から煙突へ・・排気された分だけ新たな外気が床下に流入してきます。


今日はEVELYN CHAMPAGNE KING、HSCCのカバーで



2026年2月7日土曜日

南6条の家 2026.02.07


南6条の家の本日の様子です。場所は洗濯+脱衣+収納を一体的に行えるユーティリティースペース(ゆったりした洗面脱衣スペースの意)内装はクロスが貼られてたいへん明るくなりました。北国では約半年間、屋外干しができません。そこで洗濯乾燥室とファミリークロゼット一体の大きく明るい空間としてデザインします。写真の奥が浴室。床は耐水性の高いタイルになっている場所が脱衣と洗濯機のスペースです。

汚れた衣服を脱いだら忘れずに目の前の洗濯機に入れて下さいね・・という流れを動線化してあります。北側の洗面脱衣所は暗い&寒いというイメージがまだまだ強いのですが・・実際は家の中で一番暖かでカラリと乾燥した気持ちのよい場所になります。

浴室や洗面脱衣周りにありがちなジメジメとしたネガティブなイメージは断熱設計が下手だったころのお話し。残念なことにまだまだその頃の常識で語る自称:名人&達人もyoutubeにはたくさん居ますが、現実はぜんぜん違います。

こちらは洗面脱衣所の床に設置した床下点検口。45cm角の蓋を二つつなげて長さ90cmのものも収納可能。床下も室内と同じ環境になりますから、今の時期なら夏物や夏靴をしまっておくのに大活躍します。もちろん床下照明も付いているのでとても使い易い収納になります。

宇野棟梁が加工してくれた棚板の太鼓面。手触りのよい丁寧な仕事です。もちろん棚板は高さを可変できますから、収納するものに応じて自由自在です。

天井の梁と天井仕上げの木毛版そして壁のクロスの貼り分け。それぞれがぶつかり合うところに丁寧さが求められると同時に・・最終的のどの仕上げ材が一番上に来るのかによって見栄えのセンスが問われます。

南6条の家の敷地は準防火地域・・工夫せずに内装だけを考えれば木の部分もすべて不燃材で覆ってしまえば原則はOK・・でもそれじゃあアパートや団地と何ら変わらない/笑。

遊び心も手間暇かけた丁寧な仕事も合理の前では単にメンドクサイだけ・・それだと北方型住宅ではありません。居心地の良さや環境性は大切。そうした性能をベースに北国ならではの住まいの楽しさを考える。
こちらは窓の前のストーブスペース。灰が落ちても床や壁が掃除しやすいようにタイルを貼っています。

こちらは居間の東側の壁、落ち着いたモリスカラーのグリーンとしました。まだ照明がついていませんが、電球色の照明と相まって演色性の良さが際立つように考えました。

今日はオールスターでKARAのStepなんていかが


2026年1月28日水曜日

南6条の家 2026.01.28

 

本日の南6条の現場は快晴。二日前の大雪が嘘のようです。でも屋根の雪はさすがに凄まじく1mは積もったでしょうか。

室内ではクロスを貼る直前まで工事が進んでいます。

こちらは作り付けの棚。書棚にもなりますし、段板を動かして様々に使えます。

こちらは玄関周りの様子。下駄箱の内部が見えています。もちろん段板は可動として入れる靴に応じて段の高さを調整可能です。

下駄箱は天板とも白樺の美しい材料で作りましたから上にはお花なんて飾るのもよいと思います。

こちらは室内の天井の様子。白色のきれいな木毛セメント版を貼りました。実は南6条の家の敷地は準防火地域内にあります。通常であれば内装制限の緩和が使えますから木の天井でもよいのですが、準防火地域のために緩和が効きません。そこで梁と梁で囲われた部分を不燃の天井とすべく白色の木毛セメント版を用いて室内を明るく、不燃性も両立させます。

もう少しでクロスが貼られます。そうすると一気に住まいらしくなりますからとても楽しみです。

今日は大好きなナイルロジャースで行きましょう!


2025年12月26日金曜日

南6条の家 2025.12.26



本日の「南6条の家」の様子です。予定通り外装は全て完了し、足場を落とすことができました。雪が降る前に足場を落とせたので、アプローチ(カーポート)も施工することができました。後は内装を集中的に頑張るだけです。

工事現場は中々計画通りに行きませんが「南6条の家」に関しては工程が非常にスムースに進んでいます。


南側から見たところです。ちょうどリビングの上に吹き抜けを作り、1階の窓だけではなく1.5階に相当する吹き抜けからも下に光を落とす計画としました。

1、2階ともに軒の出1mの深い庇を窓の上に設けて、夏場の日射遮蔽に備えると同時に、南側隣地の2階から来る視線を避ける目的も同時に果たしています。

外壁は道産材のエゾ・トド松ですが、日の光の影響でずいぶんと色が付いてきました。だいたい1年でシルバーグレイに色変わりし、その後はどんどん味わいを深めて行きます。

木外装ですが色の塗り替えや手入れは基本的に必要ありません。あるとすれば、経年で割れたり傷んだところを交換するくらいです。縦張りした板の幅は10.5cmですので傷んだところだけ、必要な枚数のみ交換すれば事足ります。

「南6条の家」の建つ敷地は準防火地域。以前は外装に木材を使うことが難しい地域でしたが、現在は木外装でも防火構造を満たす仕様が開発されてまちなかでも自由に木外装を楽しめるようになりました。

今日はHSCCのマイケルカバーで行きましょう!



2025年12月9日火曜日

南6条の家 夏対策


夏目線の断熱気密住宅を考える。平屋は家の中央が暗くなりがち・・そこでLDK上部を1.5階分の塔屋(吹き抜け)として南側から光を入れる。もちろん暑い夏の光ではなく冬の光がより多くはいるように庇を付ける。理由は簡単で冬は主に明るさを入れたいし、反対に夏は暑すぎない程度に熱を入れたいから。なぜ暑い時期に熱を入れるのか?といえば塔屋内にあるエアコンの冷気で壁が結露しないように吹き抜け内を適切に加温したいと考えたから。もう一点はエアコンが温度(暑さ)を感じ続けられるように(まだ下階が冷える前に停止してしまわぬように)したいと考えたからです。

そもそも高断熱高気密住宅は冬を前提に発達してきたが、近年の酷暑であっても冷房の効く家として評価が高まりつつある。その反面、エアコンのつくる低温による結露やカビに注意が必要であることも分かってきた。

そんな酷暑時代の北海道のスタンダード住宅として「南6条の家」には色々な工夫を盛り込んでいます。
今日はKOIAI・・凄いです!


2025年12月4日木曜日

南6条の家 2025.12.03

 

「南6条の家」にて、エアコンを納める塔屋を足場から見る。防水はシートの0勾配。中央の2本がパッシブ換気用の煙突、右の円盤が24h換気の排気口。塔屋の左側の小庇はハイサイドライトの上部を覆う。塔屋内に日射熱を取り込むことでエアコンが停止しづらいように、また過低温による結露から躯体を守ることを考えました。

通りから見た風景はこんな感じ。窓が少なくて殺風景に感じる人もいると思いますが、実は家の前におなじみ二台分のカーポートが建ちます。要は車から降りて雨や雪に当たらずに自宅に入れる動線です。
こちらは南側の大開口。建て主さんのご要望に従って窓の上には深い庇を設けました。庇の存在って建物がヴィジュアル的に安定することはもちろん、もう一つの理由は昨今の異常な暑さ対策。従来の北国型エコハウスの常識である冬の日射熱取得の最大化(南面大開口)だけでは夏が暑すぎてたいへん・・残念ながらここ10年ほどの間に一般的な庇のない四角い家は地域の実情にどんどん合わなくなってきているということなのです。

そんな理由で、庇のない箱型から庇のある箱型に姿を変えたのが「南6条の家」。冬の暖かさはもちろんのこと、日差しの強烈な夏場も家に入る日射を減らして、しっかり冷房が効く室内環境を作ります。

今日はLexington Lab Bandでデフレパードのカバーなんていかが


本物が聴きたい人はこちら・・


2025年11月21日金曜日

南6条の家 2025.11.21

本日の「南6条の家」です。予定通り屋根の防水が終わり、外装の下地となる白い防水透湿シートも貼り終わり・・庇も宇野棟梁のおかげで完成いたしました。もう雪が来ますから、外装の木材を早く張ってしまいたい。

そんな思いで現場の大工さんたちにも頑張っていただいています。

室内では電気工事と充填断熱工事が同時に進行中です。

夏の暑さをいなしながら冬にはしっかり日が入る庇。約1m跳ね出して窓上に取り付けました。写真は南側の居室。1.2m角の窓から低い冬の日差しが入ります。

こちらは居間の吹き抜け部分。南側のハイサイドライトから入る光です。平屋は家の中心が暗くなりがち。そこで居間の上を低い吹き抜けにして床は粗目のスノコとして光を下に落とそうと考えました。

今日は久々にバンアパ・・いい曲です!


2025年9月30日火曜日

南6条の家 2025.09.29

 

「南6条の家」の配筋が組み上がりました。基礎の根掘り深さは地盤面-450mm。本来は-600mmが札幌市内の凍結深度ですが、スカート断熱工法によって凍結深度を安全に15cm緩和し、コンクリート量を抑えて強い基礎を作ります。

スカート断熱工法設計施工マニュアル/ 地方独立行政法人北海道立総合研究機構https://www.hro.or.jp/upload/24251/skirt_manual_sekkei.pdf

最も凍結の心配される基礎外周部分は基礎下が凍上せぬように土間下の断熱材を水平に延長させます。

また基礎の外周部分は基礎断面が一般的な布基礎の逆Tの字型ではなくL型となり、土間下の断熱材と立ち上がりの断熱材が連続します。

スカート断熱による浅基礎は十分な強度を持ちながら環境負荷の高いコンクリートの量を節約し基礎を作る上で欠かせない排出土量も抑えます。

こっから先は余談ですが・・ガソリン&灯油価格が安かった時代は燃費の良い車なんて人気がありませんでした。理由は単純で燃料費を気にする必要がなかったからです。

また安価な燃料価格は広い北海道で輸送コストを低く安定させ、重くてかさばる建材を全道各地に安価に配送することが可能でした。

その一方で現在の状況は真逆。燃料価格の高騰は電気代を上げ、その電力で生産される物の価格を上げ、交通費を上げ輸送費も上げています。

私は建築の設計者ですからこうした状況に対し十分な安全を確保しつつ費用対効果の求めに応じなくてはいけません。今のインフレ(物価高)を逆手にとって設計をより進化させたいと考えています。

今日はクラシックロックショーでG.ムーアなんていかがでしょう


2025年9月13日土曜日

南6条の家 2025.09.13着工

 

「南6条の家」が無事着工しました。

チーム南6条は飛栄建設さん。もうすぐ完成の性能向上リフォーム「北郷の家」をはじめ当事務所の仕事をたくさんお引き受け頂いてきました。松田社長さん、宇野棟梁さん共々また精一杯、家づくりに打ち込みたいと思います。

さて、平屋とはいえ今年の4月から始まった新法改正の影響を受け建築確認申請の審査に3週間を要しました。以前だと1週間程度で何とかなっていたものが3倍~4倍の審査期間・・

運がよいことに今回は審査項目が2階建てより少ない平屋なのでなんとか3週間で済んだものの・・一般的な2階建てだと2か月以上掛かる・・というのが道内の現状とのこと。益々家が建てにくくなってきています。

審査期間について北海道指導センターHP https://hokkaido-ksc.or.jp/assets/files/06_event/R_BELStoshinsakikan

ここまで読んでいただいた方の中には、こんなに時間と手間がかかって大変なのかとお思いの方も少なくないと思いますが、むしろ南6条の家の場合は合理的に話が進んで無事着工にこぎつけられた好例といえます。

現地に初めてお伺いしたのが4月、今は9月ですから約5か月間。内訳は・・
基本設計   :2か月
積算&価格調整:1か月
実施設計   :1か月(確認申請+性能表示等級+BELS)
審  査   :3週間(但し、確認申請のみ)

新法改正後の混乱期にもかかわらずこの短期間で着工までこぎつけられたのは、何といっても建て主さんのおかげ。メールに対するリアクションの速さ、要所の決断力、矛盾を含む難しい判断に対する発想の柔軟性や転換力等々・・おかげさまで何とか雪の降る前に基礎工事に取り掛かれます。ここまでのご協力とご理解にこの場をお借りして御礼申し上げます。

報道等でもご存知のように今の国内は8か月連続で3%超の生活物価高騰(インフレ)が続いています。もちろん世の中のすべてが等しく3%の値上げなのではなく顕著なのは何といっても食料品です。お米が高くて買えない・・は一時期注目されました。そんな中、建設物価も上がり続けています。地元新聞が一面で建設物価の高騰による深刻な住宅着工戸数の下落やマンションの修繕費が5割も上がり改修断念の様子を報じる中、少しでも安く家を建てるためには意思決定の迅速さが欠かせないのです。


デフレ期(今思うと懐かしいですが/笑)は建築工事の見積額は1年後もさして変わりませんでしたが、現在では2か月限定が一般的です。要は3000万円のお見積もりを出してその金額で工事をお引き受けできるのは見積提出から2か月までですよ・・ということです。

昔は業者の販促目当てのテクニックと一笑されましたが、今は全然違ってそれがむしろ当たり前。今や工事費って時価なんです。

設計を担当する私たちの仕事の進め方も間取りの途中であっても参考見積を取りながら進めるように変わりました。特に面積が増える方向の建て主要望を頂いた際には、口頭にて価格上昇の可能性を告げるとともに迅速に参考見積を示して判断を仰ぐようになりました。工事費に割ける金額は最初から決まっていますから、気に入った間取りこそできたものの、後から価格的に全く折り合わないとなると必ずトラブルとなり易いからです。

住宅着工戸数17%減(道新デジタル) https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1202381/

最近、お金の話しばかりなので・・今日は美しいギターなんていかがでしょう


2025年6月14日土曜日

南6条の家 家具を探して2025.06.13

今日は現在計画中の「南6条の家」の住まい手さんと東神楽町に来ています。当事務所の床ガラリやオリジナルダイニングチェアを手掛けてくれる旭川家具の老舗。匠工芸さんです。

来た理由はライフスタイルに合ったリビングの家具について・・
建て主さんの多くは、図面から実際の暮らしをイメージするのは難しい場合が多いです。第一に図面に慣れていないし、例えば「どうしたいですか?」とか「どっちがよいですか?」と聞かれたところで・・自信をもって判断できる根拠や経験をお持ちの人は少ないからです。

もちろんここで話し合い決めるべきは、単なる印象の良しあしではなくどちらが実際の生活を前提にした場合に必然性が高いか?

度重なるお打ち合わせでも、リビングにはソファではなく大きなテーブルを置いては?という意見と、でもごろりと横になりたいよね?という意見が出てどちらも魅力的。でももうこれ以上は実物の家具を前にして、大きさや高さを確認した上で方向性を決めないと単なる印象論の繰り返し・・・そこで本日の訪問と相成った訳でした。
匠工芸の二代目社長の桑原強さん。奥で打合せを見守るのは現会長の義彦さん。「例えばリビングに多い一般的な家具配置のパターンはありますが、実はこれが正解、あれは不正解なんてないんです・・・」

「昔からある日本人の座の暮らしって、ちゃぶ台と座布団で完結しちゃう。そんな意味では究極のシンプルライフ。その一方であぐらや正座から椅子の生活に変わったのが現代の私たちの暮らしですから・・じゃあどんな家具をその部屋に置くのが自分たちにとっていいのか?という問いが生まれます。

当然・・床にあぐらをかいてちゃぶ台でご飯を食べたりTVを見るのもあり、もちろん食卓にすれば床から70cm上空にお料理は置かれることになる。その場合、椅子の座面の高さは食卓の高さ-30cmが基本。でも最近はその中間の低い食卓と低いダイニングチェアも登場しています。リラックスできると評判なのでぜひショールームで体験してみてください。

社長自ら工場内をご案内。上から各セクションの役割や流れを説明していただきました。匠工芸が特徴的なのは基本的に分業制ではなく担当制を重視しているところ。

例えばAというモデルの椅子を作る仕事を与えられた場合。通常ならば、各分業セクションから必要な部品を調達する。ところが匠工芸の場合は、その部品の加工や組み立てのみならず、場合によっては仕上げまで一人の担当者が行う。

要は一人家具屋さんとしていつでも独立できるような職人教育を重視している。その分、憶えることは多いが家具作りの全体像が学べて仕事は充実するという訳。

整理整頓が行き届いた工場内で自身の担当する家具の図面を抱えて担当者自ら各セクションを回るのが匠工芸の流儀。

今日は弓木ちゃんのギターなんていかが


2025年4月9日水曜日

南6条の家 現地調査

 


昨日4/8(火)は曇りの寒い日。

終の棲家「南6条の家」の現地調査を行いました。

本当に幸運なことに、ブログをお読みいただいているみなさまのおかげで現役世代の人からは新築&改修、既存住宅をお持ちの人からは性能向上改修、そして引退世代の人からは終の棲家のご相談を多数いただくようになりました。

地域に生きる建築家としてそれぞれの世代の暮らしに関わる機会をいただくことは、本当に嬉しく光栄であると同時に貴重な情報を得る場でもあります。

そんな中で・・各世代の仕事を通して共通する課題も見えてきました。

1:新築世代:①コロナ終息後の急激な建材費高騰で特に都心部は共働きでも建設が難しい

       ②築浅の安価な中古物件は燃費が悪く寒い割に高騰しつつある

       ③築30年以上のいわゆる築深案件は主に駐車と家の寒さ解消のために大改修

        が避けられない

2:既存世代:①は同じ

       ②住まい手でさえ無理と思うくらい寒い家が多い

       ③直したくても設計図が残っていない

       ④家により構造的な傷みの幅が広い

       ⑤将来的な見通し次第で改修規模や予算も様々(10年住めれば~販売/賃貸)

3:引退世代:①は同じ

       ②20坪台の平屋ニーズが高い⇒将来性は?(誰に売る?貸せる?)

       ③要望を絞ることが苦手⇒ともすれば寒い家になり易い・・


こんな風に俯瞰すると見えてくるのは・・「そのままの状態で住める家が少ない」です。

実際に新築でもまだまだ寒い家が作られる傾向が高く、完成時こそ何とか予算内でと安心したものの、結果的には後のエネルギー価格の高騰について行けない。(2011年以前に多い築浅のオール電化物件等)。

ちなみに最近よく聞くZEH(ゼロエネルギーハウス)も端的に言えば年間20万円程度購入していた電気代が半額くらいになりますというもの・・ゼロエネルギーだから電気代も0にはなりません。理由は単純で買電:売電の割合が2:1~5:1だからです。これから総エネ設備を導入する際は蓄電池や自家消費の計画性、見落とし易い維持管理費も重要です。予算が厳しい中、導入をお考えなら、むしろ躯体の断熱に回すことをお薦めします。

既存住宅改修のニーズの中で多いのは意外にも外装の痛みや水回りの刷新のような見た目が入口段階では多いです。しかしその後ヒアリングを進めると・・寒さや燃費の問題が浮上してきます。もちろん最初から寒さを改修理由に挙げるお客様も多いですが、寒い家程、躯体の痛みも激しいのが特色です。壁を壊すと、結露で腐った柱や土台・・取り替えるには中々手間もかかります。断熱と防湿になぜ十分な投資をしなかったのかと残念になります。

終の棲家に対しては自らが住まなくなった後、どんな利用の仕方をするのか考えておくことが大切です。暖かくて丈夫な家なら売れますし、借り手も探せます。相続の際も子供たちに嫌がられることはありません。

そんな理由で・・時がたっても「そのままの状態で住める家」は少ない。

本当の意味での北海道スタンダードな住まいをテーマに「南6条の家」を計画しようと思います。

今日はHSCCでナイルロジャースなんていかがでしょう