昨年から鳥取県のみなさん、私の所属する北海道建築技術協会や北総研さんと共同でReNE-ST(とっとり健康省エネ住宅改修)のテキスト作成に取り組んできましたが、みなさんのご協力のおかげで無事完成しました。
想えば半世紀以上にも渡って住まいの熱環境の研究に取り組んできた北海道。地元の作り手なら誰でもごく自然に断熱建物の設計ができるのもそうした環境が主な理由です。
その一方で50年後の現在はといえば、かつては温暖地といわれた地域でむしろ積極的に住まいの断熱化の必要性が叫ばれています。時代って変われば変わるものですね。
私としても慣れ親しんだ地域の技術が鳥取県さんのお役に立つのは嬉しい限り、もちろん北海道のやり方がそのまま使えるところばかりではないので岐阜の森亨介さんや鳥取県の作り手のみなさんとの綿密な情報交換がテキストの質を上げる上で本当に役に立ちました。
あらためて、住まいの熱環境の研究を通して様々な基準や仕様書、解説書を作って来た先輩たちの知見と功績を誇りに思います。今後も北海道の住まい手を笑顔にする家づくりに打ち込みたいと思う反面、北海道以外の地域のお手伝いにも積極的に関わって行きたいと思うようになりました。
テキストが出来上がったらすぐに講習が・・ReNE-STは北海道のBIS(断熱施工技術者)同様に鳥取県が技術者を認定し登録することを前提にしていますから、二日に渡って朝から夕方までびっちりと講習が組まれ、最終日は考査も実施されました。
残念ながら・・コロナのおかげでリアル講習からZOOM講習になってしまいましたが、鳥取県さんのお計らいで県外の作り手も聴講が可能な講習にしていただきCPD単位も9単位も付くとあってか全国から140名もの熱心な聴講者が集まりました。
最近は鳥取県や北海道のみならず、国に先駆けて住まいの断熱化に舵を切る自治体が全国に増えつつあります。よくよく考えて見れば家を作るのは生き物の中で人間だけ、その理由は様々ありますが、一番の目的が外部の寒さや暑さ湿気や風雨から身を守ることにあることはいうまでもないことです。それなのに未だに住まいの断熱が義務化できていない我が国に複雑な思いを感じる反面、今回のような経験はそんな憂鬱を吹き飛ばしてくれるようにも感じました。ReNE-STと鳥取のみなさんの成功を心よりお祈りしています。
今日は・・やっぱ鳥取県といえばヒゲダンでしょう/笑