2009年11月28日土曜日

銭函の家 内装工事

銭函の家も内装工事に入っています。きっと皆さんの目から見ると単なる工事中の写真だと思いますが、実は石膏ボードを貼り下地が見えなくなる今が監理する上で最も大切な時間帯となります。コンセントやスイッチの位置は良いか?各種の見切り(巾木や目透かし部分、特に出隅コーナー処理を忘れていないか?)、塗装仕上げ部分には塗装用のボード、それ以外の仕上げ部分にはそれ用のボードとしっかり区別されて使用されているか?各種の塗装色やその機能(床などは滑る塗装?滑らない塗装?等)、製作家具の搬入据付等のスケジュールの確認等々、いろいろあって書ききれないので今日は、みなさん一緒に監理にお付き合い下さい。(笑)

組みあがった直通階段(銭函の家は3階建て、法律では3階の非難口、と消防隊の進入口及び直通階段が義務付けられます。)1:階段は軋みがないか?、2:しっかり表面が養生されているか?3:壁からの離れは適切か?、4:勾配に違和感はないか?、5:金物部分のビス頭はパテ処理するかしないか?、6:各部の色の確認、7:手摺を付けてからでは入らないものの確認(大型家具やピアノ等)
写真はユニットバスの底部分です。1:赤い温水管と青い冷水管が下地にしっかり固定されているか?2:電気配線の隠蔽部分の固定はなされているか?線と線をつなぐ部分はジョイントBOXが使われているか?3:UBの固定は頑強か?

銭函の家はクライアントの要望で床と壁の間に巾木がありません。しかし壁は塗り壁を予定しています。単に巾木を取ると、塗り壁が掃除機を使うたびに、細かく砕けた粉になり床を汚します。そこで見切りを最小限の寸法で入れます。




塗装仕上げの壁もあるので、窓のコーナー下地を入れているところです。いわゆる「ピン角」は出来たときは美しくともすぐに欠けてしまいます。6Rの丸面を付けてコーナーを守ります。




2009年11月26日木曜日

銭函の家 青空工事


秋晴れの中作業は進みます。太陽光で深い陰影が出る壁です。廻りの山々の緑がすっかり消えると無垢の杉板は意外に目立ちます。


本日は、たいへん良い天気です。


写真はフロアーを貼っているところ。白く見えるのはスペーサーです。熟練のS棟梁が銭函の家の担当ですが、理由を聞くと、無垢の板は一枚一枚厚さが違うそうで、高さを揃えて、見切りよりほんの少し床面が下がるように調整するのだそうです。仕上がるとまったく分かりませんが実にきめ細やかな配慮だなあ~と思いました。現場に出ると毎度ほんとうに新鮮な驚きがあります。いま北海道の建築は最悪の状況ですが、大工をはじめ職人たちが作ることに腕を振るえるような世の中でいてほしいと思います。世の中が暗く元気がなくなると、こうした技は知らないうちに失われてしまうでしょう。自らの考えを具現化してくれる職人達がいる時代に建築家でいられる事はとても幸せなのだと思います。








2009年11月25日水曜日

ASJ函館スタジオイベントにて

先週は、土日と函館に出張でした。今年からASJの登録建築家になった私は自作のパネルを携えて、道内各地のイベントに参加させていただくようになりました。最初は同業の建築家同士が集まって一緒にイベントなんて、なんだかやりにくいな~と思ったものですが、最近ではむしろ皆さんからよい刺激をいただけるな~と思うようになりました。函館ではじめてお会いする建築家の方々も厳しい風に負けず懸命に仕事に励む素適な人たちばかり、今回もたくさんの元気を頂だいいたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。



7:00発の北斗に乗り一路函館へ、途中信号機の故障で一時間半の遅れとなり。



おかげで、たっぷり寝て...起きた函館駅は、記憶とはまったく違うものに変貌していた。
そーいえば、最後に来たのはもう20年以上前だものね~。



函館ではじめてお会いする、建築家ユニットのお二人。新築された自宅兼事務所の展示が素適でした。二世帯住宅の永遠のテーマである各世帯の距離感の捉え方に新鮮な驚きを感じました。


今回は注目の若手建築家のNさんともご一緒させていただきました。彼女のつくる建築を見たことはまだありませんが、とても詩的(史的?)なものを感じます。お話しすると古いものが大好きなのだとか、近代建築は長らく歴史的なもの(様式や慣習etc)を否定し合理による再構成をその基本としてきましたが、これからはどう変わるのでしょうか?


函館の朝日、海の向こうから昇る太陽は実に美しいものでした。

背後に山が迫る市街地、この厳しいスケール感は安易に建てられる平地をなくし、都市計画に複雑さと面白さを与えています。まさに厳しい設計条件の中で考えに考えた結果、素適なプランが生まれるようです。敷地の高さをいかに解決するか?という問いは全世界の建築家にとって永遠のテーマでしょう。


あり合わせの建具と小波トタンで作った作業場の可愛らしさ。
海と街の近さは、小樽以上です。暮らしの中に海の風景があることはとても羨ましいことです。

2009年11月17日火曜日

銭函の家 外装杉板貼


銭函の家の外装、道南杉の縦貼り工程が終了しました。赤味を帯びた板肌は美しく、繊細でなかなかに目立ちます。天然木の生命感がエコっぽい印象にぴったりだと思うんですが~(笑)なんて少々自画自賛でしょうか?(爆笑)、私も板張りは好きでよく使うのですが、無塗装で使うのは初めてです。杉が外装材として強靭で耐久力に富むことは知っていましたが、どうしても希少で高価な印象があり今まで使うチャンスがありませんでした。先日竣功した「西岡の家」と貼り方は似ていますが仕上がった感じはご覧のようにまったく異なります。まちなかの「西岡の家」はトド松材を用い着色をして、耐久性と周囲との色彩バランスを考えましたが、南側に山がせまり、敷地の周りはのどかな畑に囲まれた「銭函の家」は、杉の地肌の色も悪くないかな~と思います。

銭函の家:道南杉/無着色

西岡の家:道産トド松/耐候性ステイン仕上

2009年11月12日木曜日

銭函の家 気付いたこと

銭函の家の外壁は赤みを帯びた道南杉を縦貼りします。杉は耐水性が高く長持ちします。紫外線と外気に反応してグレーに変色し味わいを増す壁です。気に入ればそのままでもよいし、飽きたら塗装してもよいと思います。よく色が剥げたときのことを気にする人がいますが、こと木製の外壁に塗る塗料に関しては、素人でもベテランの親方でも仕上げに大差はありません。ですから欧米では休みを利用して住い手が塗るのが普通です。もうひとつ大切なことは、メンテナンスの中で単位面積当たりの単価が最も安いものが塗装だということを憶えておくとよいと思います。よくメンテの掛からない壁のようなお話や相談を受けますが、「塗装でなおるもの」と答えます。張替えやシーリングそれらに関わる付帯工事が発生するものは、最初の工事費は安くてもあまり賢い選択ではありません。そんな意味でも杉板の無塗装貼りは良いと思うのです。

室内では電気屋さんの配線が始まりました。銭函の家の室内壁は特別製で気密ビニールの中に電線を極力入れません。これは前回行なった建物の気密性を損なわないためです。写真のように専用の配線下地を組んで中に配線します。将来的に間取りの変更があっても建物の気密性を損なうことで建物の寿命を縮めないようにEUでは標準化しつつある工法です。
夜の現場は最近冷え込みます。


本日の外気温は約3℃くらい。

しかし、大工さんが働く室内は、玄関ドアを開けっ放しで作業しても14℃もあります。もちろん中で暖房なんて焚いていません。先日の気密測定のときに11人が現場に入りましたがその時は16℃にもなりました。人体の発熱で気温が上がるなんて聞いてはいましたが、目の辺りにすると俄然期待が高まります。機械設備暖房主体の建物は、スイッチを入れるまでどうなるか分かりませんが、銭函の家は建物の方から「おーい断熱効いてるよ~」と語りかけているようで、現場監督と棟梁と一緒に「新鮮な体験ですね~」なんて話しをしました。作ることで体感できる貴重な現場。まだまだ頑張ります。



2009年11月11日水曜日

銭函の家 公開気密測定

本日は、銭函の家の公開気密測定です。担当者は西岡の家に引き続きDr.T氏、さーてどのくらい出るかな~。(一同:緊張)午前中のプレテストでは0.2に僅かに及ばず、棟梁のSさんに天井のテープを増し貼りしてもらって第二回目です。結果は見事に0.2cm2/㎡を達成。これからさらに内壁のボードを貼るのでさらに気密は上がり、おそらく0.1cm2/㎡程度となるでしょう。ところでなぜこんなことを真剣にやるのかと言えば、こうすること(断熱や気密や換気)で意匠的(デザイン的)な自由度も大きく上がるからです。このブログでも度々書いているように、建築は技術だけで理詰めに作ってもつまらないし、かといって見掛け倒しではお話になりません。デザインと性能が両立してはじめて建築と呼べるのであって片手落ちではいけないのです。そんな意味も込めて現在北海道で手に入る最高の技術と人を頼んで、来るべき時代のEco建築を作ろうとしている次第です。

超高気密仕様のコーン(ラッパ)を取り付けたDr.Tの愛用の試験機。Dr.T曰く:0.5を下回ることがほとんどの北海道では大きなコーンは誤差の元なんですって。

気密が良過ぎると、この機械でも計測不能が出るそうです。

このコーンから室内の空気を外部に吸い出します。

銭函の家プロジェクトメンバーも心配そうに見守ります。

同僚建築家のTさんとクライアントさん一家、見学に来ていただきました。

2009年11月6日金曜日

銭函の家 構造見学会のお知らせ

みなさま、ご存知とは思いますが、11/8(日)は銭函の家でもイベントがあります。北方型ECOモデル事業の構造見学会です。0エネルギー住宅を目指す銭函の家の骨組み全て見せます。ぜひ遊びにいらしてくださいね。詳しくは リンクより 北海道の建築家→ニュース→11/8で探してください。

西岡の家 内覧会の様子


ブログを読んでいただいたみなさま、内覧会にたくさん来て頂いてありがとうございます。また各誌の記者の皆さまにもこの場を借りてお礼を言います。いつもお忙しいところ取材していただきましてありがとうございます。ひょんなことから書き始めたブログが縁でございますし、遠方なのでいけないわ~という方もいらっしゃるようなので現在の西岡の家の様子をUPいたしますね~。

夕方、居間の間接照明を点燈したところ。

居間より台所を見る。


夕暮れ時のキッチンから居間を見たところ。


夕方、窓に明かりがともると。




庭から見える居間の様子。



通りからは微妙に植栽によってカバーされています。



夕暮れ時の全景



朝日の生み出す壁の立体感。



階段の生み出す影は日時計になります。


光溢れる居間と庭へのビスタ。(視線)


2階より吹抜けを見下ろす。


朝日の入る寝室


庭の紅葉と 和室の様子


東からの光が差し込む吹抜け



家族の集まる大テーブル

2009年11月3日火曜日

西岡の家 照明チェック

本日は、西岡の家の照明チェック。いよいよ完成間近です。
写真は、吹抜けの内照式照明の光色と配光の様子を見ているところ。蛍光管を用いた内照式の照明は、住宅でもすっかりお馴染みになりましたが、人によっては色や明るさに色々と好みが出ます。今日はクライアントさんのリクエストにより、全て電球色(2700k)にすることになりました。従ってこの写真のようには見えません。どんな明かりになったかはぜひ現地の内覧会で確認してください。


昼白色にて照らしたところ。

吊戸棚の上や下に照明を仕込むと、バウンス(天井に反射拡散)するので柔らかく廻りを照らせます。この光に、ダウンライトの直接照射を組み合わせて西岡の家の照明計画を行ないました。「廻りふんわり手元しっかり。」です~。
寝室の照明は天井から頭への照射を避けます。枕元は目線の高さの枕元灯として、天井の照明はベッドを置いた際に通路となる部分に連続して設けます。