1.8m四方に15段の階段を入れ込もうとするとこうした6段回しといった回り段になり易い。計画では、現在の回り段部分をなくしその分段数を増やして階段の全長を延長した新たな階段に架け替える。
現在でもよく見られるのが階段設計の窮屈さです。とくに折り返し部分を回り段とし、4段~6段という段数の設計をよく見ますが、危険な上に運動能力の高い時期にしか使いこなせず、加齢とともに階段の使用が億劫になります。住宅の取得期は最も面積を必要とする子育て期と重複することが多いために部屋数と面積優先のつけが廊下や階段といった共用部を圧迫し易く、小さな面積で上下階の移動を満たす設計に陥りやすいのです。まさに山の手の家も同じ状態でした。回り段部分は6段あり、この部分だけで約1.1m以上の高さになります。(18.5cm/段×6段) 誰でも経験があると思いますが、この回り段の部分は直線部分と比べて段板の巾が極端に狭くなりやすいので、気を付けないと踏み外して、ちょっと恐い経験をします。そこで「山の手の家」では階段も回り段を取り止め、段数を増やして架け替えます。当然、回り段の部分を直線部分に振り換えますから階段の全長が伸びます。上の写真は、伸びる分の床を切断したところです。
こんな感じで階段の全長を約60cm伸ばしゆったりとさせます。
下から見上げるとこんな感じです。わずかな寸法の増加ですがこれだけで階段の上り下りは全く異なったものとなります。設計ってほんとうに大切だな!って思います。人の動作をよく研究し、適切で正しい寸法を割り振る。昔から同じことを何回も何回も言われてきましたが、つくづく奥の深い世界だと思います。
今日はプッチーニなんていかが