2009年10月27日火曜日

西岡の家 家具製作状況

現在、旭川で製作中の「西岡の家」の家具たちです。私の好みはビジュアルもさることながら実用的に洗練されたものです。どんなに高価で美しくても、日本人の骨格に合わなかったり、疲れやすいものや、修理の利かない物はよくありません。残念ながらホームセンターではこうした家具がほとんどです。よいものがあっても法外に高かったりしてなかなかよいものが少ないのです。ご覧の家具はクライアントの好みと体型に合わせてデザイナーのNさんにリデザインしていただいたものです。そんな意味では、この世に6台しかない「西岡の家専用モデル」ですが、一生使えて、けっしてゴミになることはありません。こんなことを書くとみなさん「でもすっごく高いんじゃ?」なんてね(笑)しかし意外に安価なんです。みなさんもこの次のお休みには家具工場を訪ねてみてはいかがでしょう。

座面はペーパーベルトを編みこんだものを使います。耐久性が高く、クッション性も硬すぎず柔らかすぎず丁度よし、ペーパーコードのようにほつれも少なく、大好きな仕様です。写真は編み終わった座面をエアータッカーで座枠に止めつけているところ。


ナラのフレームをオイルフィニッシュしているところ。塗装は極力簡単にメンテナンスできるものがお勧めです。ウレタン塗装は輝きは見事ですが、塗膜が剥げてしまうと、もう一度全塗装する以外にありません。その点オイルならば紙やすりとぼろきれでいつでも新品に戻せます。

カーブした背と直線的なフレームの組み合わせ。北欧くさくなりすぎず日本的なものを感じます。


この脚もNさんのオリジナル。6人フルに掛けても椅子の脚と緩衝しづらいデザインです。


ニレの4cmの厚板4枚接ぎ(ハギ)、(札幌でこの価格帯だと5枚以上になりますが、材料の豊富な旭川では4枚程度が普通です。テーブルの巾は約80cmですから20cm以上の材料を使っています。仕上げは椅子と同じくオイルフィニッシュです。 ちなみにこの巾で2枚接ぎで天板を作れたらお宝です。一本の幹から巾40cm以上の板が取れる広葉樹は残念ながら北海道でもたいへん貴重だからです。

銭函の家 断熱工事(室内)

銭函の家の窓には全てガラスが入り、雨風をしのげるようになりました。断熱工事も外貼りから室内に切り替わり引き続き進行中です。しかしこれが難関。外側断熱としてスタイロフォームを100mm貼った後に内側から壁に200mmの断熱材を施工しますが、今までの写真でご覧になっている通り、銭函の家は大きな窓だらけ、さらに室内には間仕切壁が極端に少なく、3階建てで構造計算を要求され、おまけに通常より25%も大きな地震力に耐えねばならない(構造強度割増)というわけで、断熱しながら木造で許される最強の壁倍率(5倍)の壁で外周部分を補強せねばなりません。要は構造用合板で内と外から柱を挟むわけです。まあ文字にすると難しいので写真を見てください。


奥行き210mmの柱:グラスウールが200mm入ります。柱の外には、先日の45mm厚さのトリプルガラスが張り付いているのが見えます。

まず100mm入れたところ。柱の巾はあと100mm残っています。

100mm入れて内側から構造用合板を打ち付けて壁倍率を5倍まで上げます。
上部のスリーブはパッシブ換気の壁付け排気口です。

外壁の厚さは40cmを超えてしまうので、窓の下にはアルミの水切が入ります。水切の奥行きを見ても壁の厚さが分かっていただけると思います。これでも壁の厚さは、北海道の同業他社よりもかなり薄いほうなのです。

風の強い土地柄と、見上げたときに窓の上の通気層から木の胴縁が見えないようにイーブスベンツを組み込みます。