2015年10月29日木曜日

平和の家 屋根シート防水工事

本日は曇り空からパッと射した太陽に合わせて屋根のシート防水を担当する、プロテックさんが来てくれました。普段は0勾配の陸屋根に主に使っているこの工法、先輩建築家の小室雅伸さんに教えていただいたものですが、以前のブログで紹介した屋根の外張り断熱と合わせてもの凄く屋根作りが簡単になりました。写真はコーナー金物を取り付けているところ。

こちらは野地合板のジョイントをテーピングしているところです。

こちらがコーナー金物。下の黒いのはブチルテープです。

テープとビス併用で軒先にコーナー金物を取り付けて行きます。このコーナー金物が屋根の4辺に取り付くと、後はシートを貼って防水完了。1日半で屋根の防水が終わります。

こちらはM所長自ら壁の付加断熱のミミ(断熱材の4辺のこと)起こし。長めのけれんベラを用いて神経質なくらいにきれいに断熱を入れてゆきます。木下地との間でしわになってしまったり、ミミだけ入りすぎても出すぎてもダメ。グラスウールは10cmを超えると表面上はしっかり入っているように見えても裏に空洞ができていたりします。なので全数を複数の人間の眼と手で確認します。

こちらは良い例。下地までピッタリとグラスウールが入って隙間がありません。

一方、こちらはよくない例。表面からの見え方は一緒でもしっかりと下地に密着していません。特にグラスウールを用いた断熱工事は知らない人が見ると、「えーっそんなに神経質にやるの??」と言うくらいで実はちょうどいいんです。確かにグラスウールは一番ポピュラーで安価な断熱材ですが、その分もの凄く丁寧に施工しないと性能のばらつきも多い材料です。
 
いやね・・・最近は「平和の家」の現場と旭川の「東光の家」の製図なんで、音楽を毎日聴いて仕事してるんですよ。そこでなにげに目にしたエレクトーンの演奏が凄かったんでUPします。いや~っまじもう一回バンドやろうかなと思ったくらいかっこよかった。こんなん一人でできるんですね。
 
この人はもっと凄かった!
 

2015年10月26日月曜日

平和の家 断熱工事 詳細

付加断熱の下地がほぼ完成した「平和の家」です。壁の中に充填する10cmのグラスウール(以降GW)の外部側に更に14cm厚のGWを付加します。その下地として2×6材(38×140)を間隔45cmで取り付けます。要は在来木造の外壁構造の外側を2×6の枠組み壁工法で囲んだ和洋折衷の状態にします。北海道では昔から壁は在来、小屋組みはツーバイの床組みといったように双方を使い分けることにあまり抵抗がありませんからこうした方法も大工さんたちはすんなり受け入れてくれます。
外部から見ると2×6(ツーバイシックス)のスタッド(柱)に見えますから、たまに近所のオトーサンに「最近の作りは太い柱を使わ(心情的には:え/笑)ないんだね~。薄い(心情的には:ぺらい/笑)材料しかもう手に入らないんでしょう?」なんて気を使いながら勘違いされたりします。(笑)そんな時には室内を見せてあげて、「ちゃんと大柱もあります。」なんて説明すると妙に感心されたりします。

北海道の近所のオトーサンたちは大抵、みなさん建築好きで、自分の疑問が解消されるとかなりの頻度で現場に来てくれるようになります。断熱材を30cm以上入れること。その結果壁の厚みが40cm近くにも達することを伝えると皆一様に目を丸くして「そりゃ~凄い、夏も冬も最高だね!」と喜んでくれます。たとえ素人でも経験的に断熱することの価値を分ってくれる人が多いことにいつも感謝する瞬間です。
 
こちらは樹脂サッシの気密工法のディテール(詳細)です。国産樹脂サッシは外側のツバにビス打ちしてサッシを壁に取り付けますがその際に気密が上がるようにコーキングを先打ちしてその上からツバを被せて取り付けます。写真はコーキングを先打ちしたところ。

その上から窓のツバをビスで締め付けてコーキングが潰れてツバから少しはみ出ることを確認します。もちろんこの後にテーピング、隙間にはウレタン充填と進みます。開口部の周囲から絶対に漏気が起こらぬように二重、三重に手当てします。
 
今日は大好きな「くるり」なんていかが



2015年10月23日金曜日

平和の家 断熱工事

数日前の快晴を狙って一気に行った屋根の外張り断熱工事。屋根には20kg/m3の超高性能品が35cm入ります。昨年の「澄川の家」ではゲリラ豪雨にたたられ屋根のグラスウールを全て交換する羽目に・・・。でも今年は行いの悪い設計者が現場に居なかったこともあり(笑)、無事完了しました。したがって写真は飛栄建設のM所長に撮っていただきました。

屋根に全てグラスウールが入った状態。
 

雨が吹き込んでも大丈夫なように巾広の防風+透湿シートで覆います。グラスウールは絶対に空気に直接触れさせないようにします。

通気胴縁で押さえたところこの上に野地板を貼りシート防水をします。

乾燥ハーブ作り

ずいぶん秋が深まって空気が乾燥してきました。もう畑も終り・・・今年もたくさんの収穫と恵みに感謝です。この季節になると残ったハーブ類は刈り取って天日干しします。ドライハーブにしてこれから迎える長い冬の間、食卓に楽しみを与えてくれます。写真は夏から青々と茂っていたバジルを乾燥させたもの。何回かに分けて詰み束ねて乾燥させておいたものです。

パリパリに乾いていますから茎からしごき取るように葉を落として行きます。

落ちた葉はよく手で揉みながら混ざっている小枝の部分を除いておきます。葉が細かくなったら口の閉まるビンに入れて冬の間に使います。パスタはもちろんハンバーグやドレッシングにも大活躍します。 もちろんお部屋のハーブとしても使えます。
こちらは、今日摘んだ最後の株。部屋がいい匂いで一杯になりました。(笑)
 
今日は秋っぽくパコデルシアなんていかが
 
 

2015年10月22日木曜日

日経ホームビルダー11月号に掲載していただきました


日経ホームビルダー11月号に2ページに渡り特集していただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

 積極的に断熱することで得られる数々のボーナスの中で、普段は見過ごされがちな低落差の自然エネルギーが使えるようになる点は大きい。内外温度差を動力として暖房と換気を一体で行うパッシブ換気もそうしたメリットの一つである。
内外温度差の増加は同時に換気量も増大させる。要は冬になると気になりはじめる隙間風というやつだ。断熱と気密が疎かな家では、この自然エネルギーは単なる厄介者でしかない。しかしそうでない家では断熱建物にとって欠かせない計画暖房と計画換気を担う自然動力として使うことができる。

 詳しくはぜひご購読を!

2015年10月21日水曜日

平和の家 建て方完了

現在は屋根をブルーシートでがっちり養生し壁の構造用合板を貼り進んでいる「平和の家」です。

こちらは建て方の最中の写真。この日は秋晴れだったんですが・・・

すっかりお馴染みの唐松の落とし根太天井。間隔は20cmピッチです。

お隣の現場と競争で作業が進みます。

ロフトを納めるために南側を盛り上げた屋根が特徴です。
 
今日は大好きなさかいゆうなんていかが。

2015年10月14日水曜日

フィンランドからのお客様




本日はフィンランドからアールト大学のみなさまが「澄川の家」と現在、建設中の「平和の家」の現場にお越しになりました。実は北海道と北欧諸国とのお付き合いは古く今では広く普及している通気工法の原型は北欧の木造住宅にその多くを学んでいます。言葉はぜんぜん通じなかったんですけど、木製の外壁やインテリア、家具なんかを見ていただきながら、彼らが目を細めて安心したようにうなずく様子に不思議な親近感を覚えました。同じ北国の人間同士通じるものがあるのでしょうか。(笑)
初めて見る日本の在来軸組み工法に興味深々の様子。やっぱり北欧の先進国らしく「ベーパーバリア(防湿+気密層)はどこ?」とか「これだけ柱の断面が大きいと熱橋が大きくならない?」等々・・・もっともな質問が飛ぶ。丁寧に答えながら、通訳にも助けられて納得した様子。
 
今日はCarly Rae Jepsenなんていかが トムハンクスが最高です!
 

平和の家 建て方開始

いよいよ始まった「平和の家」の建て方。土台を割付てアンカーボルトの孔を加工し外周廻りは気密レールを敷きこんで・・・・・棟梁よろしく!お願いいたします。

その間に検品、検品、「材料は全部来てるの?150km向こうの旭川から来るんだから忘れ物ない?まずは本日入荷したものの写真撮りまーす。」
 
 

こちらは構造用のボルト
 

まずはこんな感じ。明日から人数増やして一気に建ち上げます。

隣の現場と競争になりそうです。チョット相手が先行しています。
 
今日はClean Banditなんていかが?もの凄くお洒落です。

2015年10月10日土曜日

もう一つの設計

出展:住宅省エネルギー技術施工技術者講習テキスト
 
■変わり行く設計屋の仕事?
みなさんが一般的に設計事務所に抱く印象とはどんなものでしょう?普段はなかなか体験できない空間性、お洒落なインテリアやデザイナーのこだわりを感じさせる外観、まるでお店のような照明計画や厳選された家具類・・・恐らく多くの人が設計費の対価として思い浮かべるのはこうした印象が強いのではないでしょうか。もちろん見える部分をより良くすることは大切なことですし、依然、私の仕事の主要な分野でもあります。近年ではこれら伝統的な設計屋の仕事領域に加えて建物の環境性にも随分力を入れてきました。エネルギー資源に乏しい日本という国の中で最も北の地域に暮らすということは住まいの環境性能なしには生活をイメージすることが困難だからです。今日のお話しはこれらとは別に最近私が取り組んでいることについてです。
 
政府は2%のインフレ目標を掲げ経済再生に取り組み、景気は回復に向かいつつあるそうですが、巷の景況感は今一ぱっとしないのが実感です。なぜそんなことを感じるかというと、住宅取得にかかわる様々なインセンティブ(補助)が政府から矢継ぎ早に繰り出されているからです。一部の大企業で、過去最高の収益が報告され社員の給与を上げる動きが見えるのも事実ですが、こうした補助の拡充は住宅着工戸数の減少に対する危機感の現れであり、裏を返せばまだまだこうしたてこ入れが必要なのが景気の実態であるように思います。要は実質的にはマイホーム取得中心世帯と言われる年齢層の年収は依然厳しさを増しており、引き続き助けを必用としていることを政府自身が認めているからこそこうした補助が増えるているのでしょう。経営コンサルタントでもない建築士の私がこんなことを話すのは意外だと感じていただければ今までの掴みは大成功です。(笑)
 
■ちょっと視点を変えて...
よく欲しいものは、貯金して買うという人がいます。それは多くの場合正しい考えですし、よいことだと思います。では住宅を買うのに全額貯金することは理想的だといえるでしょうか?一例ですが、30代の夫婦が住まいの新築を思い立ち、貯金をはじめます。北海道の都市部の郊外なら土地と建物で2500万円くらいでしょうか、暮らしを切り詰め毎月5万円貯金を続けます。{60万円/年}でも単純計算で40年以上かかります。(実際には貯金には金利が付くので、もっと早く貯まりますが話を分りやすくするために今回は考えないことにします。)
 
始めた頃は30代の若夫婦が貯まる頃には70代、二人とも既に定年を迎えていることでしょう。ところで今からマイホームを新築するどんな意味があるのでしょう?(笑) 恐らく70代の老夫婦にとって喫緊の課題は既にマイホームの新築ではなくもっと別のことに移っていると思います。私が言いたいのは、そもそも家づくりとは別の視点で見れば、住宅金融(この場合は住宅ローン)なしには成り立たないということです。冒頭で目に見えるところをより良くデザインすることに触れましたが、同様に資金(コスト)のデザインも近年特に求められるようになっています。 
 
■最近の傾向
現在、日本政府は建築物の環境性能向上に力を入れていて2020年を目処に建築の燃費性能を義務化しようとしています。車よろしくスタイルや走りがよくても燃料を食いすぎる車はもう生産できませんよ。という訳です。2020年といえばちょうど5年後ですから現在はそれにむけた準備期間と捉えてよいと思います。
 
■どんな住宅がお得なのか?
さて今までのお話しを聞いた上でぜひ上の写真を見ていただきたいと思います。簡単に言うと左の列が住宅のメニュー、右側はそれに対するインセンティブ(補助等が受けられる建て主側のメリット)です。ちなみに左列の一番上に「省エネルギー法」とありますが、これが2020年より義務化されるものです。さてインセンティブの方を見てみましょう。残念ながら矢印は「住宅金融支援機構」のところに1本しかつながっていませんよね。みなさんご存知のように住宅ローンとして長い実績をもつフラット35を提供しているのがこの「住宅金融支援機構」ですからこの矢印はローンの金利をお安くしますよ!という意味のインセンティブです。今度はまん中と下にある「補助金」、「減税」のところも見てみましょう。そして今度は逆に矢印を辿ってみてください。金利も補助金も建てた後の減税も受けられる住宅メニューは「長期優良住宅」と品確法による「断熱性能等級4」であることがお分かりいただけると思います。その中でも金利を10年間引き下げるものとなると「長期優良住宅」しかないのがお分かりいただけるでしょうか。
 
私が言いたいことは5年後の2020年に義務化される基準に適合する住宅は意外やメリットが薄いのに「長期優良住宅」のメリットが高いことをまずよく理解してから資金計画をしましょう!ということなのです。でも5年後に義務化される基準を先取ることにメリットが薄いなんて不思議ですよね?それはなぜなのかというと、義務化の意味を理解すると明らかになります。要は義務化とは最低限度の明示、これ以上悪いものは社会性が低いので作らないようにしましょう。というボーダーラインを明らかにするのが義務化の目的なのです。ですから最低限の水準をクリアしただけではインセンティブを用意するまでのこともないと判断されてしまいます。これに対して長期優良住宅はこれらの基準の他に構造強度の割り増し設計や耐久性のUP、維持保全計画の策定等を含むことからインセンティブの対象となり易いのです。
 
結果的に「長期優良住宅」を前提に資金計画を立てると2015年10月現時の状況では一般的な家に比べ2~300万円多く資金を作ることが可能です。単純に言えば1700万円の予算の人が同じ返済額で2000万円の工事契約が結べるようになるわけですから、インセンティブのために設計の手間は増えても住宅取得者にとって現在はけしてわるくない時期と言ってよいと思います。また設計もその内容がインセンティブ(建て主のメリット)として評価される時代になったことはむしろよい事だと思っています。なんだか「図面が上手いだけじゃなく、資金調達力も鍛えないといけないよ!」なんて言われている気がするのは私だけでしょうか・・・(笑) さーて今日も頑張りましょう!
 
 
 「6~8月はマイナス…黒田総裁「上昇している」発言の嘘」日刊ゲンダイ