2014年11月28日金曜日

宮の森の家 内装工事直前

大工さんを増員し外装を終え、無事足場を解体した「宮の森の家」。夏場の遮熱、周囲の家からの視線制御、6名分の洗濯干しスペース、ゴミの仮置き場、そして家族のイベントスペースを兼ねるテラスが特徴的です。さらにこのテラスは下階のカーポートの上屋を兼ねるとともに建物前面の雪や雨が気にならない通路スペースとして一年を通じて活躍します。従来の北海道の家では家の内と外しかありませんでした。要は寒さを気にするあまり寒いところ(外)、暖かいところ(内)しかない家が増えてしまったのです。しかし暮らしとはそれほど単純ではなく、特に多世帯住宅の場合は寝具を含む洗濯物の量は非常に増えます。特に育ち盛りの子供がいると単世帯住宅でも毎日の洗濯物の干し場に苦慮することがほとんどです。運よく全て室内に洗濯乾燥室が取れればよいのですがほとんどの場合、坪数の増加につながったり最終的には建設費を押し上げてしまう事も珍しくありません。そこで宮の森の家ではこうした課題を効率よく解決する手段として二階のテラスを計画しました。
 
内装直前なので天井裏には様々な配管や配線が通されます。これらを天井のボードが貼られる前に全て確認してゆきます。

二階が乾燥洗濯室、下階の一部が寝室となる部分には遮音のためにグラスウールを天井にも充填します。多世帯の場合は親子といえど生活時間帯やそのライフスタイルは大きく異なる場合も少なくありません。極力寝室の上に騒がしい部屋が来ないように世帯間のストレスが増さないように上下のレイアウトを考えますがどうしても難しい場合はこうして今のうちに手当てしておきます。

電気配線、排水縦管、暖房管、冷温水管。建物の上下でお湯と水を使う場合はこれらの交通整理が欠かせません。

階段の下には暖房+給湯ボイラーが納まりますからそれらの排気口や動力(電源)等々全て確認してゆきます。

玄関の枠がつきました。床のフローリングの原板を美しく継いで太鼓状の面を取り枠としています。オイルで拭くとカバ材の赤味が引き立ってさらによい風合いになります。アベノミクスが上手く行かず、最近端は円安が続き輸入木材が高騰していますが地域材とそれを生かす腕を持った職人さんのいるおかげで当初の予定通り現場は進んでいます。グローバル経済と言われて久しいのですが、いつも為替の変動を気にして神経質に予算が上下するのは建築にとって、けしてありがたくはありません。投機や株式の流通には好都合でも、ものづくりには不向きだと思います。やはり地域で取れるものは使い、出来ることはするというのが最終的には建築価格を安定させる上で大切になると思います。

宮ノ丘の家Ⅱ 土止め擁壁工事

建物本体の基礎は建て方が可能なところまで到達した「宮ノ丘の家Ⅱ」。後は建物の両袖に当たる部分の土止め擁壁工事です。敷地が全て急傾斜地のために建物を道路から3m離しその間を埋め戻す事でかろうじて建物の前に水平な地面ができます。その地面が出来ないと材料の荷下ろしやゴミ箱の設置が出来ません。傾斜地に建物を計画するということは、平地とは異なり敷地の周囲の利用が大きく制限されます。

 
 
 
 
 
土止め擁壁を縦にニ分割して道路境界線と擦り付けます。レベルを覗くI所長の下の地面も人工埋め戻し地盤です。工事中に一気に道路までコンクリートを打つ方法も検討しましたが、もし地盤に崩れ等が生じた場合にダムとなる建物本体が完成していないと難しいのでは?との判断で道路との接続部分を後施工としました。
 
25cm厚の擁壁で隣地に土砂が流れるのを防ぎます。
 

道路面から見ると通常の二階建て足場ですが、下から見上げるとほぼ4階建て弱の足場高さとなります。いよいよ土台敷き、完了後は待ちに待った建て方開始です。