2013年8月30日金曜日

西野の家Ⅱ 外構工事

ガーデンジャパンさんによる外構工事が始まった「西野の家Ⅱ」、大好評の札幌軟石と丈夫なユーカリ製枕木で作る外構は「通路」でもあり「庭」でもあり「土留め」でもある優れものです。近年はお母さんもお父さんも忙しいことが多くて、子供の頃よく見たお庭なんて、滅多に作らなくなってしまいました。昔はオンコやツツジを植えた庭があってその向こうに「家」でしたけど、近年はカーポートに玄関アプローチ等々、実用性重視のニーズがほとんど。そこで単なる舗装では味気ないし、手間の掛かる庭木も敬遠されがち...うーん  でっ! ガーデンジャパンさんの登場なのです。
 

時代に合わせた外構(庭)のあり方をいつも考えてくれる、ガーデナーの小坂さんの提案は簡素で気取らず、現代的な建築にもマッチします。

こちらは、軟石と枕木を幾何学的に組み合わせているところ。

こんな風に南側の出入り口と全面道路の間がクライアントさんからいただいた今回のお題!
さて出来上がりが楽しみです。(笑)

社長自ら、タガネとハンマーで石を削り、地面に「景色」を作っていきます。緑が入るとどんな感じなんでしょう??時代が変わっても建築と庭って切り離せないんですよね~。
 
ちなみに昨年の「宮ノ丘」の家は?
 
「西岡の家」も好かったです。(笑)
 
 
今日はSoul Headなんていかが?歌のうまい二人組みって好きなんです。
 
もひとつ今日は初期のDouble 幸子姉さんは残念でした。
 
 
 
 

こんにちは!(笑)

先日、久々にお伺いした「宮ノ丘の家」。
 
二番目のお子さんが生まれたばかり、とってもかわいいのでここにはあえて載せませんが、お母さんほんとうにごくろうさま!すくすく良い子に育ちますように、心よりお祈りしています。
 
そんな訳で今年は家庭菜園は少しお休みかな~?と思っていたら...ぜんぜんそんなことはなく。昨年同様こちらも豊作状態。(笑)
 
やっぱりガーデンジャパンの小坂女史の畑土(通常の花壇用黒土では作物を育てる土としては十分ではないので、家庭菜園をご希望の家は、最初の年からそこそこ野菜が採れるように土に堆肥やピートモスなんかを配合して畑用の土を作っていただいてます。)は絶好調でした。
 
最近は、趣味と実益を兼ねた家庭のFX取引も悪くありませんが、私は家庭菜園のリアルな実益も大好きです。自分で育てる楽しみに加え、人にあげても、料理に使っても、子供たちと一緒に育てるのも良いですし、北海道のBBQシーズンと収穫期が重なるのも嬉しいですよね~(笑)。目の前で採った野菜で作るBBQなんて北海道ならではの醍醐味だと思うんです。そんなわけで、北海道BBQ推進協議会 会員?(実在しない団体です。)の私としては家の間取りの中に出来ることならBBQテラスを付けたいと思うのです。(笑) 少し涼しくなったこれからも屋根のあるBBQテラス、悪くないですよね~。

2013年8月29日木曜日

西野里山の家 地鎮祭

今日は「西野里山の家」の地鎮祭です。みなさんの行いが良いせいで(もちろん私以外の/笑)、今日はゲリラ豪雨はなし。地元の神社から宮司さんを招いて、建て主さんご一族の無病息災と工期中の安全を祈願します。

今回の現場をまとめる剛建築工房の村山社長。鋤を持つ手に力が入ります。剛さんは2007年の「ニセコの家」、2011年の「宮ノ丘の家」、昨年は「前田の家」も担当していただきました。気持ちを新たに全員参加でまたよい家づくりにいたしましょう。(笑)

2013年8月28日水曜日

先日はごちそうさまです(笑)

先日、「前田の家」のご主人とパスタを作りました。もちろんトマトは山本自家製で麺はご家族のお手製。実は今年から「前田の家」のご家族も家庭菜園仲間に加わり、ガーデンジャパンの小坂さんに作っていただいた畑は豊作状態!(笑)
 
昨年から畑で野菜が採れるようになったらパスタなんか作ってみたいですよね~なんて相談していたので...今日の日とあい成ったのでした。
 
でもこのパスタマシーン欲しくなっちゃいました。
気軽に自家製パスタが楽しめて、子供たちも大喜び!
 

ハンドルを回しながらみるみるパスタの出来上がり。
 
 
あんまり美味しいので、あっという間に売り切れ~。「前田の家」でも匠工芸さんの椅子とダイニングテーブルは大活躍。家の中心に大きなテーブルがある暮らしはいいですよね~(笑)
でも久々、ほんとうにピザもパスタも美味しかったです。ごちそうさま。
 
今日は大好きなBENIなんていかが?
 



屯田の家 断熱工事完了


本日は「屯田の家」の天井ブローイング(天井吹き込断熱)工事が完了しました。吹き込んだ断熱材の厚みは約36cm。さらに外貼り断熱が約11cmありますから、合わせると約50cmくらいの厚みになります。
びっしりと吹き込まれた断熱材。吹き込み時の穴は丁寧にふさいで天井を貼ります。

こちらは枠廻り。いつもながら内装担当の矢田次長の細かな施工図面でかっこうよくシャープな納まりです。

鴨居と縦枠の感じはこんな感じ。材料はおそらく「屯田の家」が最後となるアルダー材(榛の木)写真では白っぽいですがこれをWAXで拭くと美しく温かな赤みの肌が現れます。

見付けのみを薄くして、意匠性を高めながら十分な強度を確保します。

 
 

 
秋ですね~。ずいぶん西日が傾いてきました。

こんな空が現れると、急に秋の気配を感じませんか。

オントナさんの取材

 
先日、設計士:私 大工さん:S職長と二人揃って、オントナさんに取材していただきました。北海道新聞をお読みの方ならお馴染みのフリーペーパー「オントナ」。なんでも小学生にアンケートを取った結果、人気の職業ベスト10に設計士と大工さんが入っているそうで、子供たちの素朴な疑問に答えるべく色々とお話しをさせていただきました。
 
でも子供たちが憧れてくれるなんてなんだか嬉しくなります。
 
ものづくりはなんだって凄く面白い反面、生みの苦しみから逃れることは難しいのですが、私たちのことを見て、自由に家をデザインしてみたい!なんて思ってくれたらもう~最高!
ちょっと泣けちゃいますよね~(笑) 
 
私たちも子供たちにもっと憧れてもらえるように、良い家づくりに精進したいと思います。
 
道新サービスセンターHP http://www.doshin-sc.co.jp/freepaper.html

2013年8月17日土曜日

屯田の家 気密測定直前

すっかりお馴染みになった、中間期の気密測定。通常は行わない現場がほとんどですが弊社の場合は、中間期に1度、竣工完成時に確認のため1度の都合2回を新たな技術標準(お約束!)としています。実は一般的といわれている住宅の作り方(標準仕様書)の中には改良すべき点が多々あって、私の事務所とその仲間たちはその作り方をさらによいものに改良する事に全力で取り組むことにしています。

日本の場合、一応のお手本となる作り方(納め方)を標準仕様書や仕様規定という方法で定め(見える化)しています。どう作れば良いかが具体的に分かりやすいという事は反面、作り手が消極的な場合(とりあえず量をこなさねばならぬような企業体質や、そもそも理想のお手本が標準仕様書でよいのだ。と信じ込んでいるような作り手。けしてやる気のない人とは違います。笑)は、本来、作り手にとって大切な、「素朴な疑問」や「前向きに疑う(検証する)」という頭を思考停止させてしまい易いのです。日本人の短所の一つは「周りと同じならばとりあえず安心してしまう」ことですが、まさに建築の性能面を支える部分に、今や時代遅れ(先輩には失礼ですが、私も含めて時代の中で陳腐化せざるを得ないという意味で)ともいえる「標準仕様」がたくさんゾンビのように生き残っていて、設計者も施工者も管理者も監理者も疑いはおろか頭から信じ込んだまま、ものだけが出来上がってゆくことに、特に若い世代の作り手の皆さんはもう少し敏感であってよいと思います。先輩が作ったものが良いから、権威ある「標準仕様」様なのではなく、より良く進化させてこそ、真のリスペクトなのではないでしょうか。


窓廻りは4周を外部側からはソフトウレタン注入(断熱補強)とし、室内側からはシリコンコーキング(気密確保)して気密検査前の準備とします。管理(監理)上のポイントは、ウレタンのみで気密と断熱を同時に取ることは難しいということを管理(監理)者が正しく理解しているか否か?なのです。

古い仕様書の中には、この部分を、ほぐしたグラスウールを詰め込めば良いとしているものも多い。もちろん綿状のグラスウールは空気をじゃんじゃん通しますので、窓廻りの気密は全く上がりません。

昨日の雨が残る屋根。必ず外装材を貼る前に(防風透湿シート)が露出している状態で第一回目の気密検査を行います。

壁を貫通する管類は窓と並んで納め方の難しいところ。室内側はガスケットを用い、屋外側はアクリル気密テープで気密補強します。

気密測定直前の外観はこんな感じです。

室内は二重壁構造となっていてオレンジ色に見える気密シートを破る必要がないように工夫しています。右下に追加で入れる予定の5cm厚のグラスウールが見えますが、たとえば電気や水廻りの配線、配管類はこの中を通り、ビニール(気密層)を傷つけることが極力ないようにします。一般的な仕様書ではこのビニールの上に直接室内のボードを打ち付けます。つまりスイッチやコンセント、壁付けの照明等はすべてビニールを破って配線せねばならないのです。対策部材として気密コンセント等がありますが、要は断熱材の厚さを減らしてそこにボックスを埋め込み気密化する方法で根本的な解決にはなりません。またボードの厚さが10mm程度しかないので、たとえばスイッチの穴を開口しようとして電気屋さんが鋸(ノコ)を差し込めば、ビニールやボックスを誤って貫通してしまうことも少なくありません。冒頭のように二重壁にしてしまえば、鋸に壁厚の線を引いておくだけでビニールの手前で鋸を止めることは難しくないのです。

構造金物の貫通部分も入念にテープとコーキングで気密化します。
地震の揺れの際に桁や柱から2階を支える大切な梁がすっぽ抜けないように、金物を2丁掛け(通常は一つ)して固定してある部分。当然ながら金物は気密ビニールを貫通し外部の構造材とつながっています。ここでも二重壁のおかげで金物とビニールの間を存分に気密化することが可能になります。ちなみに従来の柱の表面に気密ビニールとボードを貼る一般的な仕様では気密を示すC値は0.6cm2/㎡程度が多いのですが、冒頭の改良型の工法に切り替えてからはこの性能が倍も良くなりました。もちろん現場のスタッフの努力が大きいのですが、不十分な設計を認め改めることの大切さにもっと設計者も積極的であるべきだと思います。

こちらは北西角の浴室の床下ですが、暖房配管を金網メッシュに固定して置き敷きする事で将来的な増設やメンテ、さらには裸になる浴室が足元からほんのり暖かいといった細かな要求を両立させます。

もちろん放熱器具を用いないので割安に広い面積を暖房できて費用対効果も上がります。特にこの費用対効果は設計者の腕の見せ所であるのと同時に、建て主さんとの大切な協働作業ともいえます。 どんな素晴らしいアイディアも建て主さんの理解と承認がなければ実行に移すことが出来ないからです。しかし建て主さんの多くがどんな準備をして家づくりに臨んでいるか?といえば、近年は圧倒的にインターネットからの知識です。あえて言うなら、私も作り手の一人として、WEBで公開する情報はかなりセレクトした質の高いものに限定しています。そこに注視することなく様々な作り手の発信する情報を好みのまま収集しただけでは、要望はどんどん肥大し、本人の意志とは別に現実的な資金計画とは乖離してしまう場合が少なくありません。  求める情報が手軽に入手できること自体は素晴らしいことであっても、自分にとってほんとうに大切な情報は、誰かに教わらない限り気付かないのがインターネット社会の恐さでもあります。その呪縛から逃れ、インターネットで見た「他人さまのなにか」ではなく「自分なりのなにか」を見つけることこそ、設計者のみでは到底、成し得ない建て主さんとの協働作業なのです。

作り手の立場で言えば、こうした地味な積み重ねがより良い建築を作るのであって、一昔前の 「○○ 先生に全てお任せしました。(笑)」といったビジネスモデルでは、もはや不十分と感じています。作り手のスキルUPは当然ながら、建て主さんも積極的に家づくりに参加する時代。膨大な情報が溢れ、選ぶことをどんどん難しくする現代とは、そうした時代なのかもしれません。 これから家づくりを目指す方々にはぜひこうした側面を思い描く、想像力を(少しだけ)持っていただけたら...こんなに嬉しいことはありません。(笑) よく建築家の中に「私の作品」と公言する(ほんとか?笑)人がいますが、このブログにある家の全ては作品などではなく、建て主さんとの協働の成果なのです。

一般的な仕様書では床下の湿度が上がらないようにビニールやコンクリートで防湿に配慮することまでしか求めていませんが、1階の面積にほぼ等しいこの床下という空間を様々に生かす知恵(アイディア)は今後の北海道の家を大きく進化させる可能性を秘めています。

今日は少しめんどくさいことを書きましたけど...(笑)
古内東子なんていかが http://www.youtube.com/watch?v=BP0B6XPMq8Y

2013年8月11日日曜日

トマト豊作


 
雨が降って、蒸し暑くなって畑にも一気に収穫の季節がやって来ました。(笑) 
さすがに始めて10年も経つと、なーんとなく畑の耕し方や育て方を憶え、毎年たくさん野菜が採れるようになりました。今年は今まで愛用していた肥料をやめて魚粕に実験的に切り替え、動物性有機肥料の効果の程を楽しみにしていました。
 
 
その結果は?といえば...「かなり良し!」というのが正直なところです(!嬉!)。 
肥料のチョイスがトマトに合わないと、糖度がぜんぜん上がらずトマトがまったく水に沈みません。しかし今年は全て沈みました。うーん魚粕恐るべしです。この後、水煮にしてトマトソースを仕込んだんですけど、とっても甘くてマル!ざく切りにして茹でるだけなのでぜひみなさんチャレンジしてみてはいかがでしょう?パスタはもちろん、煮詰めて調味すれば自家製ケチャップが簡単に出来ます。カレーやハヤシの隠し味にもOK!、ミートボールやハンバーグと一緒に煮込んでも良いし、オリーブ油で冷蔵庫の余り野菜をよく炒めて、自家製ミネストローネ、赤ワインとも相性が良いので、両面をしっかりきつね色に焼いた牛肉を煮込んで簡単なビーフシチューも良いと思いませんか~(笑)、ちなみに妻が大好きなのは、冷たいトマトのスパゲッティー。茹でた細麺のパスタを水でさらし、冷たいままのトマトソースと塩コショウ、それにフレッシュバジルとオリーブ油。たいへんシンプルながら空きのこない夏の味です。

今年はイタリア種のトマトをいろいろと作ってみました。左から「きもかわいい」ならぬ「きも美味しい」ズッカ、次がボンリッシュ、ルンゴ、一番右の和製トマトの桃太郎と比べるとなんとも個性的というか、変わっているというのか、味もさることながら、整った形にこだわる日本との違いが際立っていて面白いとおもいませんか~(笑)

 
はじめて作ったイタリア種の大玉ズッカですが、やっぱりアップはかなりイカツイ感じです。味は悪くないんですけど~(笑)
さーて世間様はお盆に突入!今晩はなにを作りましょう?(笑)
 
今日は家でボサノバなんて聞きながらお料理なんていかがでしょう?














2013年8月3日土曜日

キッチンっていいよね~

昨日は夕方から、もうすぐ着工予定の家の打ち合わせをクリナップさんで行いました。お仕事の都合で、水廻りの打ち合わせが十分出来なかったためと、変形コの字レイアウトという、個性的なスタイルのために各部のイメージの確認が必要になったからです。着工を控えたクライアントさんの不安を完璧に取り除くことは難しいのですが、実際にわが家のキッチンを作ってくれる人とのコミュニケーションはやっぱり安心しますよね~(笑)。以前は、オーダーのキッチンなんてめったにない高額物件以外あり得ませんでしたけど、2009年以降は、ほぼ全て一点もののカスタムキッチンで作ることが出来るようになりました。各家独自のコンセプト、レイアウトにデザイン、各部のパーツのチョイス等を私と石川氏で行いますが、LDKを比較的抵抗なく受け入れてくれる北海道のお母さんたちにとって、自分専属のキッチンスペシャリストと作る台所は、これからの時代の新しい楽しみになってほしいと思います。「いいな~北海道のお母さんって特注キッチンが普通なの~?」な~んて本州のみなさんに羨ましがられるように、北海道独自のLDKの楽しさを磨き上げること!そのために必用となる様々なものづくりに道を拓くこと!もちろんデザイナーとしての感性ももっと磨くけど、基盤整備をデザインすることも、私たちの暮らしにデザインを増やすことになると思うのです。

従来のように、実際の収納イメージがピンとこない、空のストッカー(大引き出し)を見せるのではなく、地元の収納コンサルタントが美しく、機能的に収納をアレンジしたストッカーの中身が用意されています。近年、やっと日本も「収納を充実させる(≒物をたくさんもつ⇒幸福)」の方程式から、「余計なものを持たない(煩わしさからの開放⇒幸福)」に価値観が大きくシフトしています。収納女子のカリスマだったり、断舎利や収納王子が世間でブレイクする背景には、豊かな社会に生きる私たちの自らに対する素朴な疑問??があるから、なのかも知れません。

今後、「片付かないのは収納のせい」という声は、収納コンサルタントの登場で急速に下火になるかもしれません。「ハード(物)はともかく、まずはソフト(知恵)なんじゃないの~?」という視点の登場は、私たちをはじめ社会も主婦も鍛えるコーチなのかもしれません。

2013年8月2日金曜日

屯田の家 日射遮蔽の確認

みなさん、最近また暑くなってきましたよね~。まあ北海道も昔とは違って温暖化なのか本州化なのか、夏の時期がどんどん長くなっているように感じるのは私だけでしょうか?今日はそんな夏の暑さを防ぐお話です。写真は快調に進む「屯田の家」14cmの外貼り断熱の上に貼った壁のタイベックシート。あともう少しで外壁を貼り始めます。この時期になると建物の外観がほぼ分かる状態。「屯田の家」の庇や袖壁はかなり変わった形をしているのが見て取れるようになります。正面からは豪快に跳ね出した母屋の庇が印象的。約1.7m跳ね出した庇の両脇には袖壁が取り付いています。
 
写真は1階居間の窓の小庇し、出は60cmで先端の仕上がりは約9cmの厚さを見せてスッキリと納めます。なぜ2階の庇は奥行き1.7mなのに1階は60cmなのか?理由は2階の日当たりが1階に比べて断然良いから。要は明るい二階は太陽熱も大きいので庇の奥行きも深くなるということなのです。

こちらは2階の屋根に飛び出した塔屋。ちょうど母屋のミニチュアのような形をしているのが分かるでしょうか、足場がないのでよく形が見えます。さて注目は窓のある真南の壁面。壁に光が当たっていない点に注目です。先ほど二階は一階よりも太陽エネルギーが大きい(日当たりが良い)と申しましたが3階はさらに良いのです。その塔屋の南側の壁面に日射が当たっていないということはこの庇と袖壁の形状がよく日射を抑えているからなのです。現在の時刻は午後3時、まだ明るいとはいえ太陽はかなり西側に傾いてきます。

西面に集中的に日が当たり南は影になっています。斜めに傾いた袖壁が日射を遮り窓に太陽光を入れません。実はこの庇や袖壁、また「発寒の家」では積極的に用いた縦格子等が、従来には見られなかった最近の建物の特徴的な形なのです。以前は断熱の目的を主に冬の寒さを防ぐためと考える傾向が強く、冬の日射はむしろ暖房の節約のために積極的に室内に取り入れることを重視していました。その結果、日射を妨げる庇等はむしろ省かれることが多かったのです。しかし近年では断熱建物が夏季にもたいへん有効なことが明らかになるにつれ、また前述の夏の長期化に対応して、さらには30cm以上の超高断熱の建物の可能性が認められるにつれ、何の工夫もしなければ勝手に流入する膨大な日射エネルギーに対する工夫が重要視されるようになったのです。

 
写真は現在の設計思想と過去を対比できる貴重なショット。左奥の塔屋は25年前の設計。庇を切り詰め、日射遮蔽ではなく積極的に日を入れることを重視している。結果はご覧の通り。高い南の日も、横なぎに入る西日も防ぐことは難しい。そのままでは塔屋の中が灼熱と化すので白いオーニング(日よけ)で窓をすっぽり遮光している。もちろん遮光の仕方は自由だが、現在は建物形状を最適化することで後付けのデバイスなしでも南、西日ともかなり防ぐことが出来るようになっている。

 

左の袖壁のない建物は西日が南の壁に当たり、窓を明るく照らしている。要は短い庇のみでは窓の上に多少の日陰ができるのみ。対して深い庇と袖壁は同じ条件の南の外壁と大きな窓を夏の強烈な日差しから守ってくれる。

西日に対して庇の効果が限定的なことが分かるショット。南側の壁を暖めると厚い断熱をしても輻射熱の影響はいずれ室内にも及ぶ。断熱がプアーならば、窓を遮光してもすぐに室内は暑くなってしまう。よく本州では無愛想と言われることが多い北海道の陸屋根。しかし今、日射遮蔽への必要性が長らく続いたその四角い表情を少しだけ変えようとしている。
 

誕生日ありがとう!

先月ついに50になりました。たくさんの方から「おめでとうの!」メッセージをいただきまして心より御礼申し上げます。ほんとうに時間が経つのって早いものですね~(笑)、家族が開いてくれた誕生会も今回は節目らしく特別?(笑) 長男がデザインし全員からのメッセージが入った色紙は気恥ずかしさ:1/3+嬉しさ:1/3+泣ける:1/3。
 
知らないうちに自分の言葉を話すようになったんだなあ~なんて...普段を知らない男親の...すまない後ろめたさを感じました。

 
10年の勤め人時代を経て1998年に開業して以来、とりあえずは いけいけ!で突っ走って来たように思います。そんな意味では残念ながら自分は、机の上と、お客さんと、現場の三つしか知りません。「でも家族って大切なものですね」  なーんて感じるのは、やっぱ歳なのでしょうか?(笑)