2024年8月1日木曜日

福井の家 プレカットチェック

 



当事務所のデザインの中で天井組は人気のパーツ。血色の良いカラマツ材を用いて、構造とデザインを両立させるべくいつも時間を割く部分です。

出来上がりだけ見ると構造に無関係ないわゆる表層的なパターンだと思う人もいると思うけど実は構造そのものです。ですので本来は天井裏に隠れる部分。それなのに無理を言ってプレカット工場の加工担当者さんと一緒に見せるように打ち合わせさせていただくのです。

昔し、大工さんが一杯いて余裕があった時代は棟梁が土場(加工場)に陣取って手加工で梁や柱を一本ずつ仕上げていました。自分も何回か、土場におじゃまして棟梁の描いた原寸図を基に柱や梁を確認させていただきましたが、それも今や昔し。最近はプレカットと申しましてコンピューター制御の加工機で家一棟分の材料を丸々加工してしまいます。

そう、現在の棟梁は通称”CADオペ”と言われる自社の加工機の癖や能力を知り尽くしたプロ。自分はリスペクトを込めてプレカット棟梁と呼ばせていただいています/笑。

実際に現場で働く棟梁がいわゆる大工さん、それに対してその大工さんが現場で組み上げる柱や梁を加工するもう一人の棟梁こそCADオペさんなのです。

担当していただくのは三津橋産業のKさん。

加工機によっては上の写真のようにミッキーマウスの耳よろしく加工溝に円形の切削痕が残ります。出ない機械もあるのですが、このわずかな痕跡の違いこそ各プレカット工場の個性。たとえ手加工が減ってもこんな風に作り手の違いは出るんです。
上の図面はそんなプレカット棟梁Kさんからの質疑。縦横&縦横で根太組をする際に、縦と横で切削痕が異なることを気にしての相談を頂きました。

こんな風に大引き加工機はミッキーマウスの耳が小さく両端に出るけど

大入れ加工機だと出ない。根太組を見上げた時に東西は同じ加工痕だけど南北は違っちゃうんのですがというもの。何だか細かい話しだなあ~と言うなかれ・・

本来天井に隠れてしまえばこんなことに気を使う必要もない。でもそれだとプレカット棟梁の仕事はずっと見えないまま・・要は構造的に強けりゃあいいじゃん!どーせ見えないんだし・・になり易い。でも自分は同じ作り手として、彼らの仕事を見える化したいと思うんです。住まい手さんにずっと見てもらえるように。

確かに見えない縁の下の力持ちもカッコイイ。でも見栄えも良かったらもっといいじゃない。せっかく美しいカラマツ材を使うんだし、手加工の時代の棟梁だってきっとどうやって美しく梁を見せようか悩んだはず・・そんな私の考えにお付き合いいただいた結果、住まい手さんに大人気の素敵な天井が出来上がるんです。

そんな風に変わり者の設計者の想いに共感してくれるCADオペのみなさんに感謝!/笑

クオリティー高いす・・








福井の家 基礎工事

 

「福井の家」の基礎工事が始まりました。敷地はほぼ平坦ですが、道路に対して僅かに下がっていてこんな風に二段に高さを切り替えて調整しています。

手前側は主屋の基礎。基礎下には断熱材がびっしりと敷かれ土間が地中の冷たさで結露しないように工夫しています。
今年からはコンクリートの高騰で通常の60cm深さの基礎はコスト的に難しくなりました。10年前は1立方メートル約1.4万円だった生コンは、現在は倍の2.7万円。設計にはより厳しいコスト意識が求められるようになりました。

そこで写真のようにスカート断熱を用いて凍結深度(札幌市は地表-60cm)を半分の30cmにまで緩和して安全な浅基礎としました。

施工はお馴染み飛栄建設さん。「発寒の家Ⅳ」では札幌版次世代住宅基準プラチナグレードの家を見事に仕上げていただきました。実は今回の「福井の家」も同じプラチナグレード。松田社長さんと宇野棟梁さんとまた精一杯家づくりを楽しみたいと思います。

今日は宇多田ヒカルをチェウオンのカバーで