5/26(火)はヨシケンさんの吉田専務と「宮の森の家Ⅱ」のフローリングを砂川までお引き取りに伺いました。
現地ではフローリング単板の生産者さんである瀧澤ベニヤの瀧澤専務と製造工場である空知単板工業株式会社の浦さんに製造現場をご案内いただきました。
ここ10年くらいで道内産の広葉樹から幅の広い厚手の板はめっきり取れなくなりました。一時期は外国産が入って来た時代もありましたが最近は非常に高価になっています。そこで貴重な無垢の材料をある程度の厚みにスライスした複合フローリングを開発し、地域資源の有効活用を図りつつ、地域の人が地場のフローリングを使えるように瀧澤専務と商品開発を行い、いつも使わせていただいているのが、お馴染み道産カバ材の床です。
例えば、床材を作る際に従来のように全て無垢の材料にこだわると極端な話し、丸太によってはその大部分を捨てねばなりません。しかし色や木目がよくない材料も薄くスライスし下地として重ねて使えば表面材のみ木目のきれいなもので足ります。
ほんの少量の良い木目の床を作るために大部分を廃棄するような林業を止めることも出来るのです。
北海道には樺の仲間が多いですから、白樺や雑樺は下地として、真樺や目白樺は仕上げ材として2~3mmの厚めの突板に加工して使用します。
空知単板工業さんの工場は機械化された最新のものです。
こちらは工業用ロボットによる製造。進んでいます。
厚み3mmのナラ材で幅15cmのフローリングです。もちろんこのまま仕入れて好みの塗装をしても良いですし、注文すれば好みの塗料で塗装もしてくれます。
こちらはマイクロジョイント。短い材料を延長する際に使う継ぎ手です。
こちらは、最近特に人気の高いナラのラスティックグレード(従来は欠点アリのBグレードと呼ばれた時代もありました)の節を一枚一枚職人さんが補修しているところです。
木部にある多少の節や抜けは表情の面白さでもありますが、その反面けがをしたりしないように丁寧に穴は埋めて製品化します。
小さな穴でも内部にグルーを充填し
盛り上がったグルーを冷えたアルミで急冷しつつ平たく伸ばします。
きれいに平たく延びて固まりました。
これをノミできれいに削り取り完成です。丸太を捨てずに全部使おうとすると、材料は確かに増えますが、このようにどうしても機械化できないところが出てきます。でも自分の家の床をこんな風に職人さんが一枚一枚丁寧に仕上げてくれるのって嬉しいですよね。
二軒目はその単板そのものを丸太から剥いて作っている瀧澤ベニヤさんの芦別工場にお伺いしました。敷地内には仕入れた丸太が置かれ乾燥し過ぎて割れぬように散水養生されています。
こちらがその丸太を剥く機械。まるで大根の桂剥きの要領で、丸太をぐるぐる回転させて、必要な厚みの皮(単板)を剥いて行きます。
こちらがその剥いた単板。この後、使えない部分は取り除かれ、乾燥機で含水率を一桁台にまで落としたら製品として出荷されます。
フローリング用途以外にも各種合板や家具、草履の芯、簾(スダレ)等々単板は様々な用途に使われています。
こちらが乾燥機から出てきた単板です。薄いものからある程度厚いものまでさまざまな単板が芦別工場では作られています。
私が階段や枠廻りで使う美しい白樺合板(商品名:エコシラ合板)も単板をここ芦別で作り旭川工場で積層されて製品化されています。
いつも良質で美しい材料で建築を作ることができるのはこんな風に地域の木材を素晴らしい製品に仕立ててくれる生産者さんのおかげ。建築界の料理人としては地域のリスペクトを込めて引き続きたくさん使わせていただきます。(笑)
今日は八神純子なんていかがだろう