2012年12月27日木曜日

西野の家Ⅱ 木製サッシ工事

本日は、厳しい寒さの中、すっかりおなじみ!ヘビー級の木製サッシ工事です。とは言ってもいつもとは少々内容が異なります。まず「西野の家Ⅱ」の建つ敷地は基本的にほとんどが準防火地域内。要は窓のほぼ全てが防火窓(法律では防火設備という)であることが求められるのです。通常なら網目模様が目にウルサイ「網入りガラス」を用いる必用がありますが、ガデリウスのエリートフェンスター(窓の製品名)は高価な結晶ガラス(鉄網を用いなくても防火性が担保できる特種板ガラス)を用いた防火窓をラインナップしています。そのおかげで準防火地域ながら通常の住宅地と変わりないクリアーな窓からの視界を楽しむことが出来ます。しかし問題はその尋常ではない重さ。火災のときにガラスが容易に落下しないように対策した枠周りや、防火性も大切ながら断熱性も犠牲に出来ぬことからトリプル化されたガラスの重量はハ.ン.パ.ナ.イの一言。 
重たいトリプルガラスに慣れた「チーム西野Ⅱ」のS職長も大苦戦。大の男三人で持ち上げることもままならず、慎重にずらしながら作業を進めます。



最大のものは1.8m×1.9m。重量は140kg級といったところ。



ほぼ真南にむいた二階のリビングは「発寒の家」に似た構成。異なるのは向かいが作業場のためにそこからの視線を外部テラスの腰壁によって完全に遮断するところ。庇の奥行きは「発寒の家」よりもさらに深くなり約2.7m。夏場の日射遮蔽を外付けブラインドに頼らずに行う仕掛けです。

ステンレス製の筋交いコボットは最近登場回数が多くなりました。

連日の雪が降り積もった屋根からの眺め。空は冬空鉛色!

外貼りされる断熱材はおなじみパラマウント硝子工業社製の新開発製品。今後主力となる超高性能グラスウールです。20kg/m3超細繊維で従来の16kg細繊維の製品より約1割の性能向上を果たしています。熱伝導率λは0.035W/mk。硬く腰が強いために垂直面のみならず斜め天井のようなところにも使え、結果として建物、内装デザインの自由度が大きく増しています。

いよいよ横綱クラスの取り付け。

無事中央に取り付けました。

前田の家 お引渡し

昨日、「前田の家」のお引渡しがありました。  ほっ!   今は充実感で一杯です。(笑)

昨年に引き続き厳しい冬場の工事を支えてくれた「チーム前田」のみなさん。ほんとうにごくろうさまです。また最後まで現場を統括していただいた剛建築工房のI所長とI棟梁、細部にわたるきめ細やかな対応に心より感謝いたします。思えば、クライアントさんから最初にご連絡をいただいたのが、2011年の2月17日のこと。当時のメールには...

「何度かブログを拝見させていただいて、「山本様のお仕事ぶりに非常に興味がありご連絡させていただきました。 」 (原文のまま)

こんな書き出しで全てが始まりました。

けしてめずらしいことではありませんが、その後はまたいろいろな展開がありました。
当初の敷地が変更になったことや、新たな土地探しのために約半年を費やさねばならなかったこと。単世帯住宅から親世帯の同居を視野に入れた間取りにコンセプトを変更したことや、建物の大きさのイメージが難しく、面積圧縮に苦労したこと等々...懐かしく想いだします。

でもできましたよー!(笑)

時間だけで見ると、ものづくりってなんて効率が悪いのでしょう?(はぁ~↓)しかし悩むことの素晴らしさ!、気付きを得ることの喜び!、出来上がるにつれて、あんなに悩んだことのどれ一つとして無駄ではないと気付き、深まる確信の数々!

ここ40年、日本の家づくりは出来合いの間取りを住宅展示場で買うことでした。それは忙しい日本人にとって手軽であるというだけで、自らの暮らしを考えることの大切さやものづくりの楽しみ、なにより住い手としての当事者意識を奪ってしまいました。
しかしそれ以外の選択肢もあることを示すことが出来てほんとうに幸せです。
また、この素晴らしい機会を与えてくれた若きクライアント夫妻にこの場を借りて心より御礼申し上げます。
吹き抜けから差し込む光が印象的なLDK。テレビとサラウンドシステムは全て隠蔽配線。

LDKの一角の畳コーナー

北向きの敷地ながら午前中も午後も日が入るキッチン。

I棟梁渾身の小屋組みと手摺。

オープンで明るく広いユーティリティー。

エコジョーズ(ガスボイラー)は格納され余分なスペースは物入れに。

玄関前にふわりと浮かした階段。下はワンちゃんのトイレに水呑み。

玄関横の靴箱は内照式照明で軽く浮かして奥行き感をじゃましないように。

洗濯スペースは明るい二階。

おなじみパッシブ換気の心臓部。奥に見えるレジスター(給気口)より外気を導入。手前のパネルヒーターで予熱。暖められた空気は建物各所に熱を配り換気も同時に行い排気されます。

進化したパッシブ換気の排気口。デマンド型。(上部スリット状のもの。下二つはパイプファン。)室内の湿度を感知して自動で換気量を調整する優れもの。

今日はアメイジンググレイス!ケルテックウーマンなんていかが!