屋根の断熱工事に取り掛かった「桂岡の家」アスファルトルーフィングを取り去った野地板の上に厚手の防湿ビニールを敷き、その上にEPS(板状断熱材)を留付けてゆきます。軒部分では野地板を開口し屋根のビニールを壁に下ろし壁の防湿層と連続させます。
住宅側から順に1:防湿層+2:断熱材+3:防風透湿シートの順番を守りながら屋根も壁もすっぽりとこの構成で覆ってしまいます。
50年前と決定的に違うのは「当時はまず構造が優先。断熱は二の次」。要は後からできるところのみ行えばよし!という考えでした。なので結果的に「家全体を断熱したい」と言う住まい手の思いとは裏腹に、家の各部の表面温度を改善する以上の効果は得難かったのだろうと思います。
50年後の現在では断熱材を正しく機能させるためには、その外部側には(防水+防風+透湿)性。室内側に関しては防湿性をセットで用意する必要性が知られています。意外にもこのコツを掴むと驚くほど断熱材のポテンシャルを引き出せるようになります。
写真は壁に向かって折り下げられた防湿ビニールシート。
複層化する外張り断熱においては下地のつくり方が非常に大切。ビスも太く長くなり熱橋にならぬようなディテール(室内側にビスを通して外の寒さを伝えない)が非常に大切です。
こちらは傷みの激しい煙突。まずは落下せぬようにバンドで固定しました。
大きな屋根を外張り断熱しますから、絶えず天気と相談しながら、進行に応じてその都度屋根全体を何度も養生しながら作業を進めます。一度雨漏りを起こせば内装や設備を傷める恐れがある断熱改修の現場ではマメな養生こそ欠かせません。
修理や今回の作業のために解体しなくてはいけないものがこのようにかなり多く発生します。当然廃棄するためには分別が前提ですので、例えば窓はガラスと枠を分ける等の手間も発生します。新たに入荷する材料とこれら廃棄するものを現場できれいに分類し作業動線を確保することも大工さんたちの大切な仕事。Z所長、S棟梁、K棟梁きれいな現場をありがとうございます。
今日は大好きなリシッツアでショパンを・・まるで波音が聞こえてくるようです。