近年は木造住宅も分業化が進んでいます。昔のように棟梁が材料の見立てから仕入れそして加工まで通して行うケースは稀です。むしろ構造材の加工はプレカット屋さん、その加工法をリクエスト(打ち合わせ)するのは現場担当者(多くの場合大工さん以外)、大工さんはそうやって加工された材料が現場に搬入され・・組み立てるところからスタート・・・みたいな現場も少なくありません。
設計者も仕様書や要求性能指定書に例えば「気密性能はC値0.3以下とする」みたいな指示(要望?/(笑))を書いて終わり・・・要は目標は示してもその達成方法については工務店任せ?みたいな人も多く・・・
平たく言えば「施工(工事)は施工者の責任であって設計者の仕事じゃない」と無邪気にも信じ込んでいる人までいます。でも全体統括や工事監理者として契約し設計図を描くのであれば、その図面が妥当な施工性や費用対効果を客観的に満たしていることが前提になります。言うまでもなく・・絵に描いたなんとか・・では困るのです。
要は分業化が進めば進むほど各部門は専業化し孤独化しますから、お互いの意思疎通を明快にし風通しよくものづくりの環境を整えることが、設計者の新たな役割となります。
◆意思決定の順序
最初の提案は1:山本→2:清水組さん(現場担当者さんと大工さんの同意)→3:昭和木材さん(山本+清水組K所長&T主任と昭和木材CAD担当Iさん)の流れで進み。
昨日、実際に現場で1~3の流れの成果を確認して・・驚いた(感動)したというお話し(笑)。
写真は外壁の登り梁が母屋梁を左右から挟み付けているところ。向こうから手前に向かって根太が根太受けに刺さってきているのがビニール越しにうっすら見えるでしょうか。
また母屋の上には梁の勾配に合わせて三角形の台座が据えられ、登り梁の上に合板が貼られた際にまんべんなくビニールシートを挟む力が広がるように考えられています。
断熱性能を100%引き出すためには気密性の確保が欠かせません。そのためにはプレカットの部材加工の段階から”最低限の資材”で簡単に性能が引き出せるように、こういった断熱工事に欠かせない羽柄材の加工を考えておきます。
もちろん最近は優れた副資材も多いですから、後から専用パッキンや梁用の役物、特殊シート等を買うのも悪くはありませんが、本来はより少ない手間と資材で最大限の効果を得ることこそものづくりの目標とするべきですし、その目標を提案しそのためのアイディアを各人から引き出すことこそ設計者の仕事だと思います。
*:最低限の資材とは断熱材の他に(①防湿シート系、②タイベック系、③テープ類、④コーキング、⑤ウレタン缶)の5種類程度を指す。
指先が触れているのが根太受け。向こうから手前に向かって根太が刺さり込む様子、外壁の防湿ビニールを挟み付けているのが分かるでしょうか。
仮にこの根太受けがない場合を想像してみて下さい。根太は一本、一本ビニールを破いて登り梁本体に突き刺さるのでその本数分の気密処理が大変な手間になります。
先張りシートが有効なのはシートを破る個所数が少ない場合であって近年のように梁の間隔が合板床(剛床)の普及によって従来の180cmから90cm間隔になると様々な工夫が必要になってきます。
最後に・・・これだけプレカット工場で建物性能のことを考えて様々な部品を作ってもその意図や使い方が大工さんに伝わっていなかったら?「なんだこの部品?」で終わっちゃいます・・(残念)
だから分業すればするほどスペシャリストになればなるほど彼らを横に結ぶ存在が大切さを増すんです。コミュニケーションって大切ですよね~(笑)
今日はバンプなんていかが・・いいわ~(笑)