2021年5月25日火曜日

南沢の家 屋根断熱工事

 

30年前と比べて今のグラスウール充填がどんだけきれいか分かる。GWはほぼ標準になりつつある20kg/m3高性能タイプ

既存の陸屋根の束(桁上)まで解体し水平を確保したら、厚物合板を貼って屋根全体をテーブル化する。その上に防湿ビニルを敷き断熱材を十文字下地で34cm充填。その上に防水透湿シート、通気胴縁、野地板、シート防水の順番です。もちろん既存のブローイングは天井裏に残したまま、ゴミの発生は抑えます。

まずは天気と相談しながら屋根を決めます!主屋の後は下屋に降ります。


3m幅の防水透湿シートで覆いタッカーで留める


タイベックがピシッと張れたら次は通気垂木組。屋根通気は直行方向にも動くように垂木の天端を欠き込む。


タッカーの跡は丁寧に全てテーピング。ありがとう大工さん!



最近主流になりつつある20kg/m3高性能品。ある程度の硬さがあって充填がし易い。



指さしているのが既存の桁その上にスペーサー材を留め付け水平を出して厚物合板そして、防湿ビニル、断熱層34cm。防湿ビニルは壁と連続させます。





南沢の家 外壁構造補強

現在と同じように平プレートで柱-横架材をつなぎ、CN釘を用いた耐力面材で構造補強を行います。その際に当時使われていた低密度の断熱材は躯体内に残したまま(ごみの発生を抑えて)、耐力面材の外側に新たな断熱気密層を再建します。 注:特にリフォームの場合は再利用≒手抜きと誤解されぬよう事前にしっかりと住まい手側に説明が必要となります。「古くてもしっかり点検し再利用可能なものはゴミにせずに役立てる!新しい材料に取り換えるのが良いんじゃあなくて、使えるものを生かしながら新築以上に引き上げるのが良いリフォーム」だと思います。

OSB合板9mmにCN50で150mmピッチで留め付けます。

柱と桁材の接合を確認します。

 

南沢の家 ごみの分別


耐震性や建物全般の断熱性を改善するような、いわゆる性能向上リフォームの場合、現場を始めてすぐに気付くのが「丁寧な解体」(撤去部分と残す部分)、「点検&修理」、「廃棄物の分別」が新築と異なり、凄く大きなボリュームで出現することだと思う。(新築目線ではほぼ気付かない)「南沢の家」の外壁面積は約230㎡(約70坪)ある。つまり・・第二期外装(下地共)+第一期外装(下地共)+付加断熱≒230×3回=690㎡(210坪)分の外装材(サイディング)、下地(木材)、付加断熱(発泡プラスチック)が出る。その他にも資材置き場のための庭木の撤去や移設、足場設置のためのカーポートや風除室の撤去(主にアルミ材とガラス)がゴミとして出る。これらが完了した後は、柱や土台がボケていないか?漏水やアリがいないかをしっかり点検してから製作工程に移行せねばならない。ここまで大工三名で約半月・・想えば学校では新築の図面や計画法、入社後も主に新築用の見積りしか習った憶えがない。断熱同様、本気でリフォーム社会を目指すなら・・すぐに建築士や建築学科の教育に組み込むべきだと思う。

2021年5月21日金曜日

桂岡の家Ⅱエーステックさんへ

 

5/14(金)には㈱エーステックさんの工場に行ってきました。完全な枠組み壁工法(2×4工法)のパネル製作と同時に今回採用する在来&パネルの部品製作も行っていました。

以前にも書きましたが、国産の在来工法や欧米由来の2×4工法。どちらも広く流通している北海道ならではのハイブリッド工法。まさに両者の良いとこ取りのような工法には今凄く興味を持っています。
こちらは通し柱。梁材との接合は完全に金物工法化。柱脚もほぞパイプ仕様です。上の写真は黄色く塗られた方を下にして柱を建てます。(防腐&防蟻)
一般的な在来のプレカット工場ではこうした部分はルーターによって複雑な形状に加工されますが、改めて見ると金物工法の方が柱を無駄に削る必要がないことに気付きます。

昔の大柱のように多少の加工でも充分有効断面が残る場合はよいのかもしれませんがそうではない現在はこうした金物工法も合理的だと思います。

こちらは防腐&防蟻処理済の□120柱です。

写真中央に見えるのが製作途中のパネル。「桂岡の家Ⅱ」では十分な断熱性を確保すべく、写真より奥行きのある枠材を用いてパネル化します。

今日はポールギルバートでも・・相変わらず凄いです!



2021年5月19日水曜日

南沢の家 現場調査

 

本日は竣工時のサイディングを撤去し、より骨組みに近い部分の痛みを確認しました。
上の写真は窓の上に詰め込まれたバックアップ材

「南沢の家」竣工時のサイディングを撤去した状態。30年前の作り手の施工常識が分かる貴重な写真。通気層はあるものの防水透湿シートはまだ使われていない。窓の上部はバックアップまで詰めてシーリングでバッチリ密閉されている。その結果、逃げ場を失った通気層内の水が通気胴縁を腐食させている。窓上を透かして通気層を開放しておけば空気も出入りし胴縁も乾燥したかもしれないが、現在は写真のように窓で通気層をせき止める納まりではなく、付加断熱の発達によって窓位置と通気層を離す納まりが増えつつある。時が改良の方向を教えてくれています。



通気層が縦下地の場合、隅角部分に外装を貼ると・・事実上通気層ナシの状態となり易く写真のように下地材とサイディング(外装材)の間に水が走りやすい。ここについては今でも当時と同様の納まりで、まだ改良されていない。下地を圧縮強度があって水はけのよい材料(暗渠のような)にするとか、あえて部分的にスリットを入れて通しとしないとか・・今後の改良が必要な部分だと思います。



ボード状断熱材による付加断熱はありますが、防風透湿シートと柱外の耐力面材はまだ採用に意見が分かれていた時代の付加断熱建物です。30年前当時は実績がまだ不十分で・・原理的にしか判断が出来なかったのでしょう。つまり付加断熱に用いるボード状断熱材は防水性が高いので防水透湿シートは不要とか・・耐力面材は壁内に水蒸気を封じ込めてしまい通気層に逃がせなくなる(なりそうだから/笑)使わない(怖くて使えない/笑)といった、発展途上の断熱構造が作り手の戸惑いと共によく伝わってきます。

今日は暖かな良い日・・アヴァロンジャズバンドでも








2021年5月17日月曜日

南沢の家 解体工事&足場架け

足場が掛かり、二層目の金属サイディングを剥がした「南沢の家」です。

新築と決定的に異なるのはこの段階での現調が欠かせないという事です。道内にある築30年以上の建物の多くが、新築時の工務店以外の業者により、外装や屋根のメンテナンスを受けている場合が多いです。

つまり私は3番目に現場を担当する立場になる訳ですが、竣工当時の図面は申請図と現場が異なる場合が多く、また次の外装増し張りの時には図面や施工計画書も作らない場合が多く建物の現状を詳しく知る方法は解体に頼らざるを得ないのです。

こうして現状を正しく確認し、処方箋を微調整し最適化します。

屋根の漏水が竣工時のサイディングも傷めている様子

外壁と平行に付ける勾配特有の水の廻り方

水下の軒先が一番大きなダメージを受けやすい。

屋根の板金は水下の軒先から腐食する。

 

2021年5月14日金曜日

家庭菜園ちょっとしたコツ!

 

家庭菜園を始めた住まい手さんからよく聞かれる質問が水やりの頻度。要は「どのくらいの間隔で苗に水をやったらいいですか?」っというもの・・最初の頃は自分も曖昧だったので上手く答えられなかったけど・・「最近はある程度育てば水は要らないです!」と答えるようになった。

実はこれ・・お隣のガーデニング名人の受け売りなんですけど(笑)本当に言い得て妙なので今日はそのお話しをします。

上の写真は現在の事務所菜園の様子なんですけど手前から奥に向かって水やりしている苗とそうではない苗が分かるでしょうか。ちなみに植え付けは二週間前から開始して画面一番奥のトマトから手前に向かって植えてきました。

植え付けの次期を数回に分けるのは手間のこともありますけど・・寒さに強い苗かどうかと乾燥に弱いかどうか・・この二点が凄く大切なんです。

例えばトマトやピーマンの仲間は比較的寒さに強くて摘期(収穫期)も長い。特にトマトはある程度、寒さのような過酷さを与えて育てた方が実も甘く美味しくできます。

その一方でナス、バジル、キュウリのような野菜は暖かさが必要で水が大好き・・なのでまだ寒い時期に植えると元気が出ないところに水を欲しがるから水を与えると更に温度が下がって、囲いやマルチをしないとすぐに枯れてしまいます。

そんな理由で苗を植え付ける順番は寒さに強い順となりました。

寒さに強い:トマト、ピーマン、オレガノ、タイム、パセリ、ジャガイモ/植え付け4月後半
寒さに弱い:キュウリ、ナス、バジル、葉物野菜/植え付け5月に入ってから

写真は植えたばかりの唐辛子の苗。葉が下を向いているのが分かるでしょうか・・こうした状態だとすぐに水やりが必要です。

一方こちらは二週間前に植えたピーマンの苗。全然元気なので水やりはナシ。水がないので土の中で盛んに根を張って養分と水を求めています。

ナスは高めの気温と水が大好き。乾くと葉がすぐに下を向くので根が張るまで充分に水やりします。苗の真下に施す元肥も結構大量に必要な大食漢がナス。上手く作ると夏に最初の収穫期。その後一度刈り込むと秋には秋ナスが採れます。

こちらはレタスの仲間のレッドウエーブ。葉物は気温さえ上がれば育てるのも比較的簡単です。それでも乾燥には弱いのでこんな風に大きな葉っぱは枯れてしまいがちになります。でも心配はご無用!中心の若葉が元気に育って毎日サラダが楽しめるようになります。(笑)

今日はjonny Hepbir Quartetなんていかがでしょう?



2021年5月13日木曜日

桂岡の家Ⅱ 基礎工事完了

 


「桂岡の家Ⅱ」の基礎工事が完了しました。次は建て方を待ちます。

当初は鬱蒼とした藪でしたが、住まい手さんの努力で広々とした敷地になりました。

敷地内に付属建物が増えた場合そこに電源を送れるように予備の空配管を埋設しておきます。
基礎断熱にすることで全ての配線配管は地中埋設となります。建物が直接電線で電柱とつながって見えることはありません。

こんな感じで丈夫な基礎が完成しました。斜面の新緑が急に生き生きとしてきました。

今日の海はとても穏やかでしたが残念ながら曇りでした。

今日はJ.ベックのギターが聞きたくなりました。
コンサートに昔の友達が飛び入りするのもいい感じ。



2021年5月11日火曜日

南沢の家 解体工事

 


「築30年の住宅を耐震&断熱改修する」プロジェクト「南沢の家」の工事が始まりました。

ご担当いただくのは、南区が地元の飛栄建設株式会社さん。「南円山の家」、「常盤の家」をはじめとして、今までたくさん300mm断熱の家を作っていただいた工務店さんです。今回は新築とはまた一味違う難しさを持つ性能向上リフォームに一緒に取り組みたいと思います。

飛栄建設株式会社HP https://www.hiei.co.jp/

現在では構造基準改定の関係で中々建設が難しくなった1階RC+2、3階木造の住宅を現代的な性能に再生します。

外装は過去一度、改修しているそうで、竣工時の外装材の上に現在のサイディングが張られた状態です。築30年ですから外壁廻りに耐力面材は当然ながら使用していません。

今回の改修では耐震性を上げるために大工さんにより構造柱の表面まで丁寧に解体し、構造用合板を貼ってまず建物外周を丈夫にします。

その上で新たな気密&断熱層をその上に作って被せてしまおうと考えています。

技術的な根拠としては、以前私も少し製作をお手伝いさせていただいた「住宅の性能向上リフォームマニュアル」(編集.発行:北海道建設部住宅局建築指導課 北方建築総合研究所)を使おうと思います。

「住宅の性能向上リフォームマニュアル」 http://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/taishindannetu.pdf

いわゆるたてもの全体に渡る大規模な「性能向上リフォーム」の場合は、解体と修理も大切な工程です。

例えば解体は建物本体ではなく、庭木やホームタンクを一時撤去して、足場囲いを可能にしたり、資材の置き場や仮加工場、工事車両の出入りを考えて行います。

またその際に出る廃棄物は当然ながら全て分別し自治体のルールに従って処分します。

写真は建物正面左の塀を解体し、一台分の駐車場を確保しようとしているところ。

今日はアヴァロンジャズバンドなんていかがでしょ(笑)





2021年5月8日土曜日

住まい手さんと家庭菜園

 

GWは住まい手さんと家庭菜園。立派な畑には(有)ガーデンジャパンさんのスペシャル畑土。

これはホームセンターに売っている土とは全然違ってとにかく一年目から野菜が育つ!他のお客さんからも大好評の畑土です!

さて上の写真はトマトの苗の植え付け中。コツはメジャーで苗間隔を一定に保つこと。そうすることで伸びた後の支柱建てや手入れが楽になります。

いきなり土の上に苗を植えちゃう人がいるけどそれだとトマトのような実のなる野菜はあんまり採れなくて・・元肥を穴の底にしっかり入れてからその上に苗を植えます。

こうすることで苗の根は元肥を目指して少しでも早く伸びようとするから一石二鳥なのだそうです。

住まい手さん曰く:「無心になれるっていいですね~」

私:「でしょ~(笑)特にコロナの今は外で思いっきり汗かける機会は貴重ですよね。」

住まい手さん:「ですね~こんだけ畑あると結構植えられますね。大きい畑でよかった!」

私:「ちなみに野菜は作り過ぎて余ったら?なんて心配し過ぎないで下さいね。近所に配ってもいいし、保存の方法なんてたくさんありますし/笑」

そんな会話も楽しく1時間ちょい作業をして今日のところは終了しました。(笑)


しっかり場所決めや土作りは結構大変でも植えるのは一瞬(笑)

普通の家庭では全部、配合済みの「調合肥料」一袋で肥料を済ましちゃう場合が多いけど、私のお勧めは油粕と米ぬか。実も大きく甘くなる気がします。

ここからの写真は昨年8月。事務所菜園の収穫の様子!

上の写真は毎年、一番多く植える中玉トマトが真っ赤に熟したところ。

こちらは長粒種のミニトマト。形がかわいいので子供たちにも大人気!

こちらも毎年植えるオレンジのミニトマト。濃厚で甘みの強い味に仕上げます。

夏の暑い日・・畑作業の後に聞いてほしい。イタリアの田舎が浮かんじゃう・・でもルキアーノの歌がもう聞けないなんて・・悲しいです。









2021年5月5日水曜日

桂岡の家Ⅱ基礎工事


土間下はバッチリ断熱しましょう!

基礎断熱は漏水しないように作りましょう!

基礎断熱」は断熱材を切れ目なく連続させましょう!

1:コンクリートは「打ち手」、「バイブ」、「トンボ」が息を合わせて仕上げましょう。
①:打つ(コンクリートを)⇒②:気泡を抜く⇒③:均すを一連の動作でタイミングよく行います。




2:基礎断熱材は足場に耐える強度がほしいです。

基礎断熱材自体が型枠代わりとなるのに加え安定した足場にもなります。断熱厚みは160mmEPS特号です。

3:アンカーボルトの位置と高さは正確に出しましょう。
アンカーの位置は正確に出すと同時に土台の継ぎ手に当たらぬようにしっかり土台伏図を確認しておきます。アンカーは基礎屋さんによって治具で固定してから、一気に打つ場合もあれば写真のように逃げ墨から80mmで芯、位置は全数基礎断熱に出しておく場合もあります。

4:アンカーにはセルフレベラーの高さを明示しましょう。
基礎断熱の発達で型枠の省略化と共に基礎天端(土台下端)の平滑性がシビアに求められるようになりました。昔はモルタルで左官屋さんが水平を出していた時代もありましたが、最近はセルフレベリング(自己水平性)モルタルを用いる、少々余分に打ってカップで水平に削る、両者併用が主な方法です。アンカー一本一本にはこのセルフレベリングモルタルの水位を根元にマークしておいて慎重に水位(高さ)を見ながら注ぎ足して行きます。


今日はニールラーセンなんていかがでしょう。