2009年9月10日木曜日

銭函の家 布コン打設

本日も雨の前にコンクリートが打ちあがる見事な展開です。今日はコンクリート工事を解説いたしますね~。 青く見えているのがフォームポリスチレン板(通称FP板)商品名でスタイロフォームなんて言った方が分かりいいです。この建物は基礎の外側にこのFP板を100mm、内側に後ほど75mm接着します。副次的なメリットしてコンクリートを外断熱すると紫外線による劣化から守ることができます。いくらコンクリートでも太陽と風雨に平気でさらすような設計では(特に日本の建築用コンクリートは)長持ちさせようとすると相応の費用や手間を覚悟せねばなりません。
             
長い方が32トン引き抜き金物(32KNホールダウン金物)短く細い方が通常の12mmアンカーボルトです。前者は基礎+土台+柱の3つをしっかりつなぐことが目的、後者は土台のみを基礎とつなぐことを目的としています。赤→はHD、通常アンカーはと分けて数日前に打ち合わせたとおりの位置にセットされていることを確認後コンクリートを打設します。

少々分かりづらいですが、HDと通常アンカーの他にリブの付いた鉄筋が多数立ち上がっています。
その意味が分かる人はさすがです。弊社の標準設計では、新築においては1階の床をコンクリート         で作る場合が多いです。理由は、耐久性、北海道独自の使い勝手(1階を土足で使う、ペットと暮らす、雪で濡れるのを気にしない、)、蓄熱を含む優れた温熱環境(床を1階床をコンクリートで作ると冬暖かくて夏涼しい)等のメリットが多いからです。西岡の家でも述べたように日本の在来工法の場合は地面
に近い柱の根本や土台に被害が集中し易いのです。その際、床まで全てばらさないと交換や修理が出来ないつくりなのか、床はいじらなくてよいのかは大きくリフォーム費用全体に影響します。
             
この家には外の空気は地中を通って入ってきます。冬でもこの深さなら凍らないし安定した地温が保たれているので、外気を地中に通す間に暖めてしまえるからです。

何気なく埋めてあるように感じますがしっかり外部に向けて勾配が取られ、もし室内で管の内部に結露しても外部に設けた枡に結露水が流れ出るように工夫しています。
             

西岡の家 2階建て方 完了!

棟梁ありがとう!すごい!綿密な段取りで1日で上棟する。工期圧縮と工事費節減、高さ制限の厳しい1種低層地域でも十分な階高と天井高で北側斜線(高さ制限)をクリアできる新開発の小屋組みで両隣に比べてぐっと建物高さを抑えたプロポーション(縦横比)となります。

屋根があるだけでただの屋外が安心感溢れる室内に変貌します。外が内に(建築)に変わる瞬間です。大梁を倍掛け(90cm間隔)で渡し、梁成(梁のサイズ)にも余裕を見ていますが大梁同士をつなぐことでさらに面剛性と梁の最終降伏強度を最大限使えるようになります。そんなことを棟梁と打合せしました。     

             
必要であってもコンクリート基礎の作れない場合は鉄骨梁による代替法を取っています。こうした「直す、修理する」ノウハウは、新築を前提にした日本の仕様書には載っていません。実際に自らの現場をもって設計者は学ぶしかありません。今後は新築にもまして直し方(リフォーム法)の研究が望まれ            ます。

             
30年前の尺梁(梁の高さが1尺:約30cm)の下に新しい尺梁を補強のために叩き込みます。大工さんは簡単にこなしますが、みなさんも考えてみてください。当然古い梁は中央が下がっています。新しい梁はまっすぐです。普通は簡単に入りません。(笑)

後付けホールダウン金物 。今の建築基準法は新築を前提に仕様基準が書かれている。          しかし30年前にはそんな基準自体がなかった。さてあなたならどうする?(ホールダウン金物:土台と柱は鉄筋コンクリート製の基礎に埋め込んだボルトにより接合せねばならない。*:埋め込むためにはコンクリートが固まらないうち、すなわち新築時しか通常は難しい。そこで新築用と同じ材料規格の平板を同じビス本数で柱の外側から、柱+土台+基礎の順に接合している。■設計者のぼやき古い建物を再生できない訳を今の法律のせいにするのは好き ではありません。でも外観だけは立派で骨組み??なリフォームが世間に多いのも事実。一部の不心得者のために業界全体が悪者にされるのは悲しいことです。
外壁に外貼り断熱の下地と筋交いを兼用した合板を貼り付けます。その際、設計者は釘頭のめり込みに特に注意が必要です。写真は正しく打ち込み深さを調整した釘打機で打ったCN65釘と合板です。