現在の西野の家の現場です。基礎の外側には見慣れない白い断熱材が貼られています。今までは、ほとんどXPSと呼ばれるものを使ってきましたが、西野の家では、より高い費用対効果を目指してEPSと呼ばれる素材に変更しています。前者が「押し出し法ポリスチレンフォーム」という名前で呼ばれるのに対して、後者は「ビーズ法ポリスチレンフォーム」として、魚市場の魚箱として有名です。もちろん全く同じものではなくより性能の高い特号と呼ばれるもので、断熱性は同じ厚みのグラスウールに勝ります。簡単に厚いものができるので(道内では50cm程度まで)、基礎や壁の納まりを工夫して今回は基礎部分に20cmの厚みで使います。もちろん基礎の外周を断熱する外断熱で断熱材のポテンシャルを最大限引き出します。
ご覧のようなかなり分厚い感じになります。EPSの特徴としては、発泡の際に用いるのがガスではなく、水蒸気であることや、シロアリの食害に強い等々、多少断熱性を犠牲にしても多くのメリットが存在します。出来上がった後の性能ももちろん大切ですが、多くの種類の材料を組み合わせる建築では材料ひとつひとつの生産時の環境性も無視できません。今後は性能対コストに加え、こうした素材のグリーン化等も含めた広い見識が設計者に要求されるでしょう。
アースチューブによるパッシブ換気を用いる予定の「西野の家」では床下に外気を導入する管が通る穴が必要になります。図面の指示通りの位置であることを確認します。
しっかりビニールで養生されていて、コンクリートは流れ込んでいません。
土台を固定するアンカーボルトにコンクリートのトロが飛んで固まってしまわないように、ボルト全てにテープで養生がしてあります。ボルトのねじ山にコンクリートが付着すると土台が通らなかったり、ナットが締まらなかったりと後にいろいろと問題が出る可能性があります。そこでこのような養生がとても大切なのです。基礎屋さんの気遣い、「良い仕事です。」また断熱材の天端(上端)に合わせてコテでピシッと高さをあわせてあるのも好感が持てます。土台の下に気密レールを敷き土台の下でも気密を取るのが弊社の標準工法ですが、当然ながらコンクリートの凹凸が大きければせっかくの気密レールのゴムがしっかりと密着しません。そこで基礎屋さんは神経質にコテで極力水平を出すべく丁寧に仕事をしてくれるのです。誠に細かい話ですが(笑)こうした事柄は、完成形を各分野の職人が十分理解しているからに他なりません。現場で大切なことはまめなコミュニケーションにより仕事の意味を理解してもらうこと。つぼを押さえたよい仕事は、後から来る職人たちも楽になります。そうした積み重ねが建築の品質を作るのです。
話は変わりますが、パイプオルガンはお好きですか?