2021年8月19日木曜日

南沢の家 各部ディテール

 

「南沢の家」は内装直前まで来ました。元の和室の意匠を極力残したまま床をバリアフリーに変え、フローリング床&引き戸に変える。

言葉にすれば一瞬ですが、実際は中々工夫を要する作業です。写真は和室のサッシ廻り、お盆前にU棟梁ともしっかり打ち合わせを行い。建て主さんには以前のこげ茶主体の内装から生成り色に変わること、和室を半洋室化しながら他の部屋と違和感なくコーディネートしなくてはいけないことをご説明させていただき、内装はお任せいただきました。

上の写真が完成形、下の写真が元の様子です。

サッシを全てトリプルガラスに変えたので当然和室の柱廻りはこんな感じになってしまいます。室内側に障子はあえて不要とのリクエストですので、違和感のないようにサッシのツバを隠し上の写真のように作り変えました。

棟梁曰く、最も苦労するのが既存の精度だそうです。確かに柱の垂直性や壁各部の狂い等を計算して違和感なく納める必要がありますから、一カ所一カ所型紙に写して分一合わせで納めています。

こちらは左上の写真です。既存の長押を残して自然に納めていただきました。

柱と梁が直角ではないのでサッシ交換直後はこんな感じでした。


奥が和室で手前が洋室。神棚が祭られ、電話台が絡む部分の内装が切り替わる枠廻りです。

こちらは手前がキッチンで奥が居間。同じように、生成り色の床、その色に合わせた見切り枠、キッチンパネルの白、その白に合わせたクロスをチョイスして、後から改装した感じを極力感じさせぬようにします。

ここは大切なところでしっかりバランスを見ていないと、絶対に取ってつけた感が残ります。なので特に慎重に進めます。

理想は同じ間取りの家を建て替えたように見せること。いつもながら性能向上リフォームは中々手強いです。

こちらは縦型パネルヒーターの取り付く壁。裏がIHの調理台になります。床のフロア材を壁に張り上げて枠の色とピッタリ合わせます。

1階の床、2階の床共にバリアフリー化することで15mmずつ上がるので階段も同じ高さ分かさ上げをします。

床と色を合わせてこんな風にきれいに張り上げました。ここでも階段の段板が台形だったり、平行四辺形だったりで一段一段、型紙起こしをして納めていただきました。

取り換えられない階段の構造芯廻りの納まりも凄く丁寧に差し込んでいただきました。

ササラを一部欠き込んで蹴込板を差し込んでいます。こういうところは木工所に寸法を指示して外注できないので、全て大工さんの分一合わせの技が必要です。まさにリフォームが新築よりもある意味難しいところだと思います。

こちらは床の傾きが大きく引き違い戸が締まらなかった二階の洋室。1階から床を15mmジャッキアップして、更に床の水平をきっちり取りなおして無事、新しい扉を狂いなく取り付けることができました。

今度は枠と扉の隙間も正常です。

戸の上は閉まるんですが・・足元は開いて・・だったのが

今度は周囲の隙間も正常にどこにも擦ることなく正常に開け閉めできるようになりました。

今日はクラプトンなんていかがでしょう!