2012年9月24日月曜日

発寒の家 建て方直前


建て方直前の「発寒の家」。足場が完成し材料の搬入を待つばかりです。(笑)
今日はその建て方に少しだけ触れてみます。
発寒の家の建て方は、他の家とは異なり。機械を併用して行います。最近は木造でも4.5mを超える大スパン(柱と柱の間隔。又は無柱で得られる空間の広さを指す場合もある。)が求められるようになりました。昔は小さな部屋の集まりだった間取りを一体の大空間に改良することで、家全体の規模は小さくしながら従来とは比べ物にならないほどの空間的広がりを得ることが可能になっています。私が木造を習い始めたころは、住宅のスパンは2間(約3.6m)程度と先輩に教わりましたが、現在はそれが5mを超えるまでになっています。特に北海道の建て主はLDKに代表される、大きな一体空間への憧れが強く、また比較的抵抗なく受け入れてきました。現在ではL(居間)、D(食堂)、K(台所)を分離するか?、集合するか?を話題にすると逆に怪訝そうな顔をする人さえいます。こうしたニーズを追い風に、設計者の空間改良ともいえる間取りへの挑戦も目覚しい進歩を遂げてきました。スキップフロアや吹抜け、私がスノコ床と呼ぶ上階と下階を透かした床、さまざまな間仕切壁のバリエーション、空間を印象付ける美しく華奢な階段、一見北国とは信じ難いほどの大開口部等々...中でもプレカット工場の梁の長さの加工限度が年々改善されてきたことは、それらを受け入れる空間自体も大きなものへと変えてきたのです。「発寒の家」では延べ面積が30坪少々と小粒ながら間口約5.5mの無柱空間をLDKとし20畳に迫る一体空間を生み出しています。当然ながら用いられる梁も5mを超える長物が多く人力のみによる建て込みには限度が生じますので、クレーンを現場に導入し、鉄骨現場の建て方よろしく、安全性と生産性を両立させながら進める予定です。
上の写真は2010年竣工の「南あいの里の家」の建て方風景。スパンは約6.4m(三角形の底辺の長さ)に掛けるA型トラスを吊り上げているところ。(写真撮影:㈱丸稲武田建設 武田司)

こちらは2008年竣工の「新川の家」。大きく重たい登り梁の多い現場で建て方時にクレーンが大活躍した。これ以降(正確には、大スパンが多い私の現場はほとんど/笑)建て方の時にはクレーンがセットでついてくるようになった。もちろん武田社長には感謝の言葉もない。まあ難点といえば、近くの他の現場の大工さんが「いったいなにが始まるんだ?」と見物に来て、全員注目の視線の中で作業をせねばならぬ事くらいでしょうか。同業他社の見守る中での作業はまあ~かなり恥ずかしいものがあります。(笑)


竣工した「新川の家2008」(施工:㈱丸稲武田建設)

今日はジャンクフジヤマなんていかがでしょう?