2017年10月9日月曜日

BELS

 
今年度の「地域型住宅グリーン化事業」から、当事務所も加盟する一社)北海道ビルダーズ協会の提案にBELSによる評価と★取得が加わった。従来は外皮性能のみだったが今回からいよいよ2020年を目指した確認申請とほぼ変わらない設計図書(図面)内容となった。
 
一社)北海道ビルダーズ協会HP http://www.do-ba.net/about.html
 
設計者としてはたいへんなこと極まりないが・・(笑) 住い手や社会にとってはむしろ良いというのか、当然な流れになりつつあると言ってよいだろう。
 
現在、木造戸建住宅(4号建物)の確認申請は非常に図面数も少なく簡単な手続きと言ってよい。構造と詳細に関しては特例が使えるので、実質必用な図面は一般図と採光、換気(排煙)チェックとシックハウスの書類等が中心だ。一方、外皮計算とBELS(一次エネの削減率を示すBELSは当然ながら設計しようとする建物の外皮性能を基に必要となる冷暖房をはじめとする各種の負荷を積み上げたものなので外皮性能が明らかでないと原則的には成立しない。)が加わるとなると申請の難易度は激変する。
 
平たく言えば、1:建具表(断熱サッシのU値やη値を記載したもの)、2:矩計図(床、壁、天井のU値を計算するためにはその構造を詳細に示せなくてはならない。)、3:外皮面積求積図(従来のQ値からUA値へと平成25年基準より外皮性能の指標が変わったが、それに伴って総熱損失量qを割る面積が床面積から外皮面積(床+壁+天井/屋根)へ変わったためその根拠を示す図面等が新たに必用となった。)実際にはこれら新たに増えた設計図書に加えて開口部の性能試験証明書や自己適合宣言書、断熱材なら物性特性書等が要求される。つまり2020年から住宅の確認申請はえらく厄介な手続きに姿を変えることが明らかになっている。
 
当事務所も国や地方自治体が推進するさまざまな補助施策に積極的に参加する中でこうした複雑化する手続きやさまざまな建物評価やその考え方を吸収してきた。今にして思えば、アトリエに閉じこもり自分を愛してくれる少数のクライアントの仕事だけをしていたらと思うと怖くなる。
 
また、施工者が非常にしっかりしているのが北海道の建築会の特徴だ。極論するなら、設計者がたいしたことなくても、施工者側で正しく補正して(図面を描き直して)まともな建物にしてしまう(していただいている/笑)という状況は今後、急速に見直さざるを得ないと思う。特にこれからを生きる若い設計者にとってこうした時代のもたらす意識改革の波は避けることが難しいだろう。
 
最近、東北を中心とした若手設計者、施工者の視察や現場見学の申し込みが多い。地元の若手設計者からの電話といえば、困った時ばかりである。両者と話してみて、明らかに北海道は今後、どんどん追い抜かれて行く立場になったと感じた。 若手のみなさん・・・頑張ってね!

「住宅ストック循環支援事業」にもBELSの評価が必要となる。設計者にとって自らの設計した建物のBELSを示すためには、外皮はもとより使用する設備機器(基本的にエネルギーを使うもの全て)に対する広い視点が求められる(設計者を名乗るなら当たり前だけど)。従来のように設備は御社の標準でお任せしまーす!なんてことだと・・・確認申請すら出せなくなりますよ(笑)

今日はJAZZなんていかが
https://www.youtube.com/watch?v=HsJavr4AI5M