2012年10月9日火曜日

発寒の家 断熱下地工事

写真は外貼り断熱の下地。ここに140mmの断熱材が入ります。そして壁の中に105mm、さらに室内側に50mm入れますから全部で約300mmとなります。「発寒の家」ではすべて綿状断熱材であるグラスウールを用いますので、この断熱下地作りがたいへん重要になります。もともと形状の軟らかい綿状断熱材ですからこのマス目の中にピタリと入るように注意して組み立てます。

こちらは耐力面材のOSB合板を貼っているところ。最近の在来工法は主に2×4工法(枠組み壁工法)を手本に発達してきました。柱の外側から貼り付けるこれらの合板が筋交いの役割を果たし、構造を強化すると共に前述のような外貼り断熱材の下地としても機能します。

琴似の中心部に建つ高層マンションの現場が見えます。

秋になるとクラシックが聞きたくなりますね~(笑)今日はパガニーニなんていかがでしょう?

前田の家 木製サッシ工事

現在、外部の断熱を終え、サッシの取り付けに入った「前田の家」、もちろんクライアントさんからのリクエストはトリプルガラスの木製断熱サッシ。性能と価格、耐久性の観点から見ても今のところ費用対効果は抜群。しかし問題はその重さ。大工さん4人がかりで四苦八苦。

ロックナット付きの専用ビスで取り付けますが、なんせ重いので位置決めやセンター出しがたいへんです。「もうちょい左っ!もう少し、あと少し!」外と内に分かれて声をかけながら位置を決めます。

1階でも見ているだけで汗をかきますが、たいへんなのは2階への荷揚げ、下二人に上二人が息を合わせて運び上げます。

国内製のサッシの場合、ガラスは最後に入れるので現場ではあまり重さで苦労はしません。しかしこの北欧製の窓は全てガラス入り。今でこそ大工さんも慣れてくれましたが、当初は「話が違うよ~」と散々でした。なぜこんな重い思いをしなければいけないのか?と疑問に思った時もありましたが、その理由はガラスを工場で入れることで最も大切なサッシの気密性能をばらつきなく確保できるから。という事を知ってからはものの見方が変わりました。確かにDr.タギ氏にいつもお願いする気密測定ではガラスとそれをはめる枠の間から空気が漏れていることが少なくありません。流石!北欧のノウハウです。

現場を訪れたタギ氏。

今日は秋の穏やかな日差しの中でモーツァルトなんていかが?

2012年10月5日金曜日

前田の家 上棟式

上棟を迎えた「前田の家」。午後から現場をきれいに片付けて、宮司さんを招き、建て主さんの無病息災、現場の安全を祈念していただきました。家中に響く宮司さんの祝詞(のりと)。祭壇の中央に祭られた棟札には建て主、工務店、設計者の名前が記され、家の中の最も高い屋根の中に納められます。次に、日の目を見るのははたして何十年後なのでしょう?そのときはいったいどんな世の中になっているのでしょう?100年後の大工や設計士はこの家を見てどう思うのかな?(笑)そんなことを考えながらお祈りをしました。

中央に祭られるのが棟札。

上棟式の後は建て主さんのお招きで大工さんも交えて直会(ナオライ)となりました。ナオライとは式の後の酒宴を言います。今回は、敷地の中でお肉を焼いて、とっても北海道らしい心温まる直会となりました。

今日はユーミンなんていかが?http://www.youtube.com/watch?v=NPz8hragOKA

2012年10月2日火曜日

ニセコの家へ


今日は久しぶりに、「ニセコの家」に来ています。もう竣工から5年も経ったのにぜんぜん古さを感じません。建て主さんの愛情一杯の住まい方のおかげでずいぶんとかわいがっていただいている様子。設計者としては嬉しい限りです。家も人間もよい年の取り方をしたいものですが、ニセコの家の大らかな遷り変わりを見ていると、設計者が到底及ばない家の磨き上げ方にいつも新鮮な驚きを感じます。毎年少しづつ増える調度や家具がさりげない慎重さで選ばれていて、一見巾のある選択の中に家人の人柄を感じさせます。緩やかな美意識のコード(範囲)の中に収まるようなさじ加減で室内に持ち込むものを、デザイン的過ぎず、さりとて無関心にあれもこれもと欲張ることなく、簡単に言えば「親しみやすい丁度よさ」で満たしています。服飾の世界ではダメージングといって、経年感、使用感を味わいとして捉え、新品の商品をあえて傷つけたり、脱色したりすることが人気のようですが建築の場合は、なかなかそうも行きません。(笑)実は、日本の住宅が弱い部分がここで、住み込んでゆく中で、持ち込むものの量と質を適切にコントロールして室内をものの洪水から守る感性が今の時代の住い手には求められているのです。溢れかえる情報は一見消費者に多様な選択肢を与えるように思えますが、必用なものとそうでないものを選択できる大人の感性がないと膨大な情報に隠れて大切なものを失いかねません。心の健康を取り戻すために室内をいかに片付けるのか?といったマニュアル本が不景気にも拘らず売れ続ける不思議さっていかがなもんなんでしょう?(笑)


夕暮れ迫る居間。

地元の作家の手によるオブジェ。

今日は地元のバイオリニスト高崎希美さんなんていかがでしょう?

2012年9月29日土曜日

発寒の家 建て方工事

いよいよ始まりました「発寒の家」の建て方。13トンクレーンで一気に大梁を掛けます。

足場の上はこんな状態。大工さんにはいつもながら頭が下がります。

長さ5.5mの梁を上二人、下一人で次々に掛けてゆきます。

柱を起こしているところ。

かけやでホゾに打ち込んでいるところです。

無事1時間で梁掛けは終了。

間口3間(約5.5m)の梁が掛かった「発寒の家」。工事の後は建て主さんの差し入れで一服させていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

2012年9月26日水曜日

前田の家 断熱下地工事

綿状断熱材を入れるために美しく組まれた「前田の家」の断熱下地。今年の仕事は全て断熱材にグラスウールを用います。グラスウールの長所はなんといっても信頼性とコストパフォーマンスの高さですが、湿気を嫌う性質のために、ビニールを使った気密工事を同時に行わねばなりません。グラスウール断熱の使い手になるためには気密工事の達人であることも求められるのです。写真はビニールを先貼りしている様子。建て方の時に材料に挟み込みながら進めます。もちろん後から簡単に取ったり戻したりは困難です。先読みをしながらビニールを挟み仕上がりをイメージしながらカットしてゆきます。

「前田の家」の特徴は室内側の壁は充填断熱による大壁(柱が隠れる壁)、天井面は外貼り断熱による垂木の顕しが意匠上の特徴になります。天井のみ断熱方式を変える事で構造材をインテリアとして顕す方法は、「西野の家」や「北25条の家」でも試みましたが、三角屋根で試みるのは西野の家が初めてです。当然ながら、斜め同士の取り合いが多くなり気密や断熱工事に技術が要求されます。

屋根は30cm厚以上のグラスウールを外貼りとするのでこうした下地が必要になります。

もう少し、屋根の厚みが出るので室内から隣の窓は完全に見えなくなります。

今日も不安定な天候が続きます。

今日はもうひとつDavit Garrettで!カシミール!
”驚くのは、これってレッドツェッペリンの曲なのにクラシカルアレンジがはまること!
 やっぱり原曲のよさでしょうか?はたまたアレンジの手腕でしょうか?”

やっぱカシミールはオリジナル!というロックなおとーさんはこちらを!(笑)


発寒の家 土台敷き

昨日の豪雨のために一日遅れた「発寒の家」の土台敷き。明日からの建て方に向けて作業を進めます。

現場に乗り込み確認業務に余念のない武田社長。明日からみるみる家に建ち上げて行きましょう!(笑)

手前に見えるのが、長尺ものの梁。明日はクレーンを据えて建て方開始です。

今日は今注目のバイオリニストDavit Garrettなんていかが?
TOTO好きなお父さんへ!


2012年9月24日月曜日

発寒の家 建て方直前


建て方直前の「発寒の家」。足場が完成し材料の搬入を待つばかりです。(笑)
今日はその建て方に少しだけ触れてみます。
発寒の家の建て方は、他の家とは異なり。機械を併用して行います。最近は木造でも4.5mを超える大スパン(柱と柱の間隔。又は無柱で得られる空間の広さを指す場合もある。)が求められるようになりました。昔は小さな部屋の集まりだった間取りを一体の大空間に改良することで、家全体の規模は小さくしながら従来とは比べ物にならないほどの空間的広がりを得ることが可能になっています。私が木造を習い始めたころは、住宅のスパンは2間(約3.6m)程度と先輩に教わりましたが、現在はそれが5mを超えるまでになっています。特に北海道の建て主はLDKに代表される、大きな一体空間への憧れが強く、また比較的抵抗なく受け入れてきました。現在ではL(居間)、D(食堂)、K(台所)を分離するか?、集合するか?を話題にすると逆に怪訝そうな顔をする人さえいます。こうしたニーズを追い風に、設計者の空間改良ともいえる間取りへの挑戦も目覚しい進歩を遂げてきました。スキップフロアや吹抜け、私がスノコ床と呼ぶ上階と下階を透かした床、さまざまな間仕切壁のバリエーション、空間を印象付ける美しく華奢な階段、一見北国とは信じ難いほどの大開口部等々...中でもプレカット工場の梁の長さの加工限度が年々改善されてきたことは、それらを受け入れる空間自体も大きなものへと変えてきたのです。「発寒の家」では延べ面積が30坪少々と小粒ながら間口約5.5mの無柱空間をLDKとし20畳に迫る一体空間を生み出しています。当然ながら用いられる梁も5mを超える長物が多く人力のみによる建て込みには限度が生じますので、クレーンを現場に導入し、鉄骨現場の建て方よろしく、安全性と生産性を両立させながら進める予定です。
上の写真は2010年竣工の「南あいの里の家」の建て方風景。スパンは約6.4m(三角形の底辺の長さ)に掛けるA型トラスを吊り上げているところ。(写真撮影:㈱丸稲武田建設 武田司)

こちらは2008年竣工の「新川の家」。大きく重たい登り梁の多い現場で建て方時にクレーンが大活躍した。これ以降(正確には、大スパンが多い私の現場はほとんど/笑)建て方の時にはクレーンがセットでついてくるようになった。もちろん武田社長には感謝の言葉もない。まあ難点といえば、近くの他の現場の大工さんが「いったいなにが始まるんだ?」と見物に来て、全員注目の視線の中で作業をせねばならぬ事くらいでしょうか。同業他社の見守る中での作業はまあ~かなり恥ずかしいものがあります。(笑)


竣工した「新川の家2008」(施工:㈱丸稲武田建設)

今日はジャンクフジヤマなんていかがでしょう?


2012年9月18日火曜日

発寒の家 最終スラブ打設

さてこちらは埋め戻しもきれいに終わり、床のスラブを打ち終わった「発寒の家」です。もう数日でプレカット(柱と梁を加工すること)が終了するのでまたU棟梁の元気な顔が楽しみです。発寒の家は跳ね出し部分も多く、またその梁は、プレカット工場の製作限界一杯一杯の3.5間(約6.4m)なので少々時間が掛かっています。こちらも建て方が楽しみです。


建て方を待つ「発寒の家」、その前に土台下を水平に研ぎ出します。
いつまでも夏が続く感じです...暑いのは嫌いじゃないんですが~(笑)
まあ山下達郎でもいかが?



前田の家 建て方工事

連日の厳しい暑さの中、棟梁をはじめ大工さん4名でみるみる家になりつつある「前田の家」。1階の床をコンクリートで作ったために作業の効率が上がる反面、照りつける日射と照り返しで現場はまるでフライパンの上のようです。梁と柱に印刷された記号を合わせ、えいやっ!おう!とばかりに重たい梁を持ち上げ、かけや(建て方の時に用いる大きな木槌)で叩き込みながら家を建ち上げて行きます。

上の写真は5寸梁、まだこれくらいなら二人でも大丈夫。私は足場の上で、柱と梁の番付け(いろはと数字で柱と梁の組み合わせを座標化したもの。たとえば、「い通り」の「1番」の柱なら、「いの1」と呼称する。)を確認しながら見守ります。仕事に慣れた職人さんの動きは、一見ゆっくりに見えても、非常に無駄の少ないものです。現場の中で向きを変えたり、長い梁を振りまわしたりしなくても済むように、向きを確認し、完成時に顕しになる梁は事前に傷が付き難いように養生してから運び込みます。近くで二、三軒他の現場を見ましたが、現場のきれいさ、段取りのよさ、スピード、どれをとってもさすがはI棟梁とI所長のコンビは良いですね~(笑)

カラマツの長さ二間(3.6m)の8寸梁くらいになると、力自慢のI棟梁でも、少し加勢がほしくなります。しっかり養生した梁を担いで、これから吹き抜けに掛けるところです。
9月13日から始まった建て方ですが、I棟梁の抜群のスピードで現在は下のような状態。



外壁の構造用合板を貼りこみ、雨に備えて開口部にビニールを貼り、屋根にはブルーシートを掛けた今日の「前田の家」。「発寒の家」を現在のところは一歩リードです。

今日はドリカムなんていかが? お母さんいつもごくろうさま!
http://www.youtube.com/watch?v=_SJDg8EEFEs

2012年9月15日土曜日

東北の建築家のみなさまへ

今日は、「宮ノ丘の家」におじゃまして東北の建築家の皆さんをお迎えしました。
いつもお世話になっている、リプランさんと私の所属する日本建築家協会北海道支部のコーディネートで実現したイベントです。昨年の東日本大震災は私たちの社会を見直す契機となりましたが、その衝撃は設計の世界においても大きなうねりになりつつあります。北海道の技術や経験が少しでも復興のお役に立つのであればこんなに嬉しい事はありませんし、東北の地においてさらに改良され、よりよい工夫として根付くことを心より願っています。

2012年9月13日木曜日

前田の家 土台敷き

明日の建て方に向けて鳶さん達は足場を掛け、大工さんは土台を敷きます。

土台は下川産

写真は土台を敷いて水平を調整しているところ。

土台の巾の中央にピタリと揃えられたアンカーボルト。基礎屋さんの良い仕事です。

この写真を見て「おっ!」と目を細める人はかなりの通ですね~。(笑)今回は土台の下に不陸調整用のモルタルがありません。1階のコンクリート床をモルタルが不要になるほど精度良く仕上げたI所長のおかげです。コンクリートはそのままではけして水平にはなりません。近年は土台の下で気密を取るためにこのような工夫が欠かせなくなりました。ちなみに同時期の他の現場を見てみると.....

これが通常の精度の基礎。このままでは土台が敷けないのでモルタルで水平を出すか、もしくは水平になるまで削るのかどちらかを選択する必要があります。ちなみに昨年の「西野の家」では...レーザー水平器で丁寧に水平を出して削りました。

水平に研磨中の「西野の家」

水平研磨が完了した部分。


一息つくI棟梁。

今日は、少しづつ建物が出来上がるイメージの音楽。
ペンギンカフェオーケストラでもいかが?

2012年9月2日日曜日

海.水.浴

連日の猛烈な暑さ、今日も家の中は33℃です。さすがにどこかに行きたくなって、三男を連れて小樽築港の海岸へ。どうでしょう!この海と空の青!もう9月だというのにたくさんの人が海に来ていました。昔は祖母や母から「お盆過ぎたら海には入らないこと!」なんて言われて育った私ですが、今年の夏はほんとうに長く暑い日が続きます。海にも入りましたが温くて気持ちよし。海岸では、お肉を焼く炭の匂いや、若者たちの歓声、カモメの鳴き声に、電車の汽笛、海の家の軒先の風鈴の音や生姜の効いた味噌おでん。もうすぐ夏が終わります。

磯遊びで見つけた海草を得意げに...「これ食べられる~?」


「帰るよ~」と言ったら「やだ~まだ遊ぶ~」。なぜいつの時代も海は男の子を虜にするのでしょう?(笑)

海といえば、若大将~!
今日は加山雄三なんていかがでしょう?だいぶ夕方の風が気持ちよくなってきました。


2012年9月1日土曜日

前田の家 基礎工事その2

「前田の家」も昨日、布(立ち上がり)部分のコンクリートを打設しました。こちらは基礎部分に外断熱として18cmのEPS断熱材を用います。それでは上の写真を解説してゆきましょう。まず断熱材の頭にしっかりガムテープで養生しています。コンクリートは上から流し込むので飛び散ったりした余分なトロが厚み18cmの断熱材の上で固まってしまうのを防ぐためです。コンクリートが固まった後にテープを剥がすと断熱材の頭部分がきれいなまま現れます。もちろん養生をしなくても建物性能に変りはありませんが、仕事のきれいさにこだわるI所長らしい心配りです。次にアンカーボルトですがしっかり木製の治具をつくり基礎の中心に一直線に並ぶようにすることはもちろん、埋め込み深さを揃えるために小さく切ったスタイロフォームを二つ使いながら、ボルトのねじ山にコンクリートが付着しないようにしっかり工夫してあります。「前田の家」もこのあと床のコンクリート工程が残っていますので、ねじ山はしっかり守らなければなりません。


アンカーセット前、断熱材の上部にテープ養生が完了したところ。コンクリートの圧力が大きいので型枠(外側は断熱材が型枠代わりとなる)がはらまないように斜めの控えを入れている。

今日は相変わらず暑いし~ということで
C.クロスなんていかが? http://www.youtube.com/watch?v=ur8ftRFb2Ac