2011年7月22日金曜日

今日の出来事とこれからの出来事へ

本日は、十勝より住宅に真剣に取り組んでいる工務店さんのご一行が菊水の家を見学に来られました。代表のA氏は大学時代の先輩、それにいつもお世話になっている住宅雑誌リプランのM編集長のご推薦とあっては、しっかりご案内せねば。でも相手もプロだとなかなかに緊張してしまいます。(笑)なによりお客様が快く見学をお許しいただいたので無事、実現いたしました。この場を借りて御礼申し上げます。

緑に映える赤い木壁、お隣も工事が始まった様子です。


話は変わりますが、今年は300mm断熱プロジェクトが目白押し。
断熱工法も、グラスウールによる300mmや複合断熱、完全外貼りとバラエティー豊か。要は断熱方法別の設計スキルを高めることで、あらゆるスタイルの内装を自由自在に実現する事が今年のテーマです。

「宮ノ丘の家/平成開拓者の家」
 以前にもお話しましたが、厚く断熱すること。それ自体に大きな意味はありません。断熱することで得られる効果が大切なのです。外貼り断熱を極めれば、本物の柱や梁を室内に自由に顕わすことができます。日本の伝統的なデザインである真壁(シンカベ)は室内から見て柱が見えますよね~。(笑)...そうです~っ!もうお解かりのように壁の外側で断熱してしまえば本物の柱や梁を使った和の内装が自由に寒冷地でもできます。冬の期間が長い北海道では屋内の暮らしが大切になります。飽きずに日々暮らして味わい深いこと。ペレットストーブの燃える「炎のある暮らし」。内装は極力白くなりすぎず...(笑)、リラックスできる木肌の家が目標です。

「西野の家
グラスウールを用いた300mm断熱は社会普及のための願いを込めて、リーズナブルなコストデザインを心がけています。今年で3年目を迎える300mm断熱プロジェクトですが、3.11の大震災以降、耐震性とささやかな断熱のみでは寒冷地の住まいの備えがあまりに不十分であることを痛感いたしました。電源途絶しても凍えない家、エネルギーを非常時のライフラインとしない発想がいかに大切か...そんなことを考えているうちに、300mm断熱を標準仕様にできないか?と考えるようになりました。震災以前は主に省エネ+自然エネルギーのスタンスからの普及目的でしたが、おなじみ丸稲武田建設さんを巻き込んで、耐震性のほかに、最低限の熱的なサバイバルスペックを住宅に持ち込もう。そんなテーマで臨みます。
 
「旭川の家/春光BASE」
複合断熱を用いて、断熱性や静粛性といった異なる要望を両立し、外に開かず中庭を介して内側に開く家。平屋でありながら各部屋に塔屋を持ち、独立した天窓から採光と通風さらには熱回収も行うユニークなサスティナブルデザイン。外観は一見城壁のようでもあり、Dr.タギ氏の故郷のマルシェ(市場)の排気塔の立ち並ぶシルエットにも少しだけ似ている。
暖房方式はほとんどの人が「あっ!と驚く...」
 
今日は大好きなバンドアパートで!
 
とにかくかっこいいです!! http://www.youtube.com/watch?v=d_FdvgXFdC8

もう一つ凄いの見つけたんで... http://www.youtube.com/watch?v=sqxYJhNLyKs&feature=related
 
 

2011年7月20日水曜日

あたらしいカメラ

現場記録用にあたらしい小型カメラを買いました。
今まで愛用してきたカメラの調子が最近おもわしくないのと、現場の工程写真は、二度と撮れない大切な記録として、もし写っていなかったでは済まされないからです。以前はずっとフジを愛用してきましたが今回はキャノンに浮気して、撮ったのがこれらの写真。ほんとうに日本の技術は凄いと思いませんか??(笑)

明るいレンズのおかげで、スローシャッターも気になりません。暗いと気になるノイズもほんとうに穏やかです。

色調(デジカメではホワイトバランス)も簡単に切り替えることで目で見た印象に近い写真も簡単に撮れます。(小樽の臨港線/運河沿い)は黄色のナトリウム灯の街灯ですから目で見た印象はこんな感じです。

WB(ホワイトバランス)を調整するとピシッとクールに色調が変わります。もちろんとっても簡単に。(驚!!)

水面の写りこみも忠実に再現してくれます。三脚も立てず手持ちのスナップでこれだけ撮れるなんてほんとうに信じられません。

二年前に、完成写真用に奮発して購入した一眼レフカメラの写真がこれ。値段は確か今回の二倍以上でしたっけ(苦笑.....)。
まあ~人間も機械に追い越されないように頑張りますわ~。
むしろブログの写真もグレードUPしますし~。
今年は愛用のキャノンで現場と皆さまをつなぎます。乞うご期待!

ところで私はROCK Age!
最近一番のスモークオンザウオーターをどうぞ!

2011年7月16日土曜日

西野の家 基礎断熱工事

現在の西野の家の現場です。基礎の外側には見慣れない白い断熱材が貼られています。今までは、ほとんどXPSと呼ばれるものを使ってきましたが、西野の家では、より高い費用対効果を目指してEPSと呼ばれる素材に変更しています。前者が「押し出し法ポリスチレンフォーム」という名前で呼ばれるのに対して、後者は「ビーズ法ポリスチレンフォーム」として、魚市場の魚箱として有名です。もちろん全く同じものではなくより性能の高い特号と呼ばれるもので、断熱性は同じ厚みのグラスウールに勝ります。簡単に厚いものができるので(道内では50cm程度まで)、基礎や壁の納まりを工夫して今回は基礎部分に20cmの厚みで使います。もちろん基礎の外周を断熱する外断熱で断熱材のポテンシャルを最大限引き出します。

ご覧のようなかなり分厚い感じになります。EPSの特徴としては、発泡の際に用いるのがガスではなく、水蒸気であることや、シロアリの食害に強い等々、多少断熱性を犠牲にしても多くのメリットが存在します。出来上がった後の性能ももちろん大切ですが、多くの種類の材料を組み合わせる建築では材料ひとつひとつの生産時の環境性も無視できません。今後は性能対コストに加え、こうした素材のグリーン化等も含めた広い見識が設計者に要求されるでしょう。

アースチューブによるパッシブ換気を用いる予定の「西野の家」では床下に外気を導入する管が通る穴が必要になります。図面の指示通りの位置であることを確認します。

しっかりビニールで養生されていて、コンクリートは流れ込んでいません。

土台を固定するアンカーボルトにコンクリートのトロが飛んで固まってしまわないように、ボルト全てにテープで養生がしてあります。ボルトのねじ山にコンクリートが付着すると土台が通らなかったり、ナットが締まらなかったりと後にいろいろと問題が出る可能性があります。そこでこのような養生がとても大切なのです。基礎屋さんの気遣い、「良い仕事です。」また断熱材の天端(上端)に合わせてコテでピシッと高さをあわせてあるのも好感が持てます。土台の下に気密レールを敷き土台の下でも気密を取るのが弊社の標準工法ですが、当然ながらコンクリートの凹凸が大きければせっかくの気密レールのゴムがしっかりと密着しません。そこで基礎屋さんは神経質にコテで極力水平を出すべく丁寧に仕事をしてくれるのです。誠に細かい話ですが(笑)こうした事柄は、完成形を各分野の職人が十分理解しているからに他なりません。現場で大切なことはまめなコミュニケーションにより仕事の意味を理解してもらうこと。つぼを押さえたよい仕事は、後から来る職人たちも楽になります。そうした積み重ねが建築の品質を作るのです。

話は変わりますが、パイプオルガンはお好きですか?


2011年7月7日木曜日

西野の家 基礎工事

現在、ベースコンクリートを打ち終わった西野の家です。コンセプトは「愛犬と暮らす楽しげな家」。屋外にドッグランを兼ねた前庭を持ち、周囲の視線を気にせずに犬たちと時を過せるように、また暑い夏場はコンクリート土間の涼しげな1階に彼らの居場所を作り、冬場は一転そのコンクリートがペレットストーブの熱を吸収し放熱することで寒さのない穏やかな室内を作る等々、北国の室内をデザインしてゆきたいと思っています。もちろん見栄えにも、またよりリーズナブルに300mmの断熱環境が提供できるようにコストデザインや断熱仕様の研究にも昨年以上に取り組んでゆきたいと思っています。
というわけで、西野の家を担当するのはおなじみ丸稲武田建設さんです。今年の目標である坪50万円代前半でなんとか(笑)「建築家がデザインする300mm断熱の家」をまとめていただきました。実は、今後の普及を考える上で価格激戦区となるこのプライスゾーンに対する取り組みは昨年からの課題でもありました。理解ある建て主の下で「チーム南あいの里、菊水」によるチャレンジは断熱による大きな可能性を見せてくれましたが、今年はさらなる普及と多様なバリエーションへの応用にチーム全員で取り組みたいと思っています。


西区の山側は基本的に地盤のよい地域が多く、西野近辺も杭の必要性は高くありません。しかし以前の家の基礎を引き抜いた後につくる点や、古い基礎を引き抜く過程で地盤をかなり緩まさざるを得ないこと等を勘案してベースは巾を50cm→60cmとしています。もちろんその下の砂利層
 も厚みと量を増して念入りに転圧をかけています。

一昨日の豪雨の後なのに全く穴の底には水が溜まっていません。地盤の良い土地の特徴は水はけのよいこと。昨年は地盤のよくない「南あいの里の家」の基礎工事において水はけのよさと強度、コストパフォーマンスの両立に悩みました。憶えています~う?(笑)、写真で見るとたいへん地味な基礎工事ですが実際に要求される事柄はかなり多く。設計者、施工者の知識が試される部分です。

「西野の家」は長期優良住宅ではありませんが、基礎の仕様はほぼ同じです。写真を見て「ほうっ!」と目を細める人はかなりの事情通ですね~(笑)。そう一般的な住宅用の布基礎に比べて長期優良住宅の基礎は主筋量が倍になります。通常は1本しかない鉄筋が2本になり、基礎の巾も15cm以上となって強化バージョンの基礎になります。

縦筋と横筋の間隔も弊社の場合は20cm以内とかなり狭く、全体に鉄筋量の多い基礎仕様になります。ちなみに30年前の一般的な布基礎の標準は縦横おおよそ35cmとほぼ倍近く粗いものでした。中には全く鉄筋のないものもありました。

こんな風に数箇所に分けて鉄筋の間隔や各部のサイズ、鉄筋継ぎ手の定着長さ等々を測ってゆきます。たいへん地味ですがけしておろそかにできない工程なのです。

ふと気がつけばもう夏ですね~、次は宮の丘の家と旭川の家。もう少しだけ待っていてくださいね。
今日は素敵な夏の歌。ぜひご一緒に。



2011年7月2日土曜日

拝啓 畑より

初夏の暖かな日を浴びて最近では葉物野菜がまずシーズンですね。写真はサニーレタスですが、本格的にハウスで種から栽培したものではありません。よくスーパーの野菜の種コーナーにあるミックスベジタブルの種、撒いておいて約3~4週間で立派なサラダ菜に水菜ルッコラにレタスなんかが一気に採れるというわけです。ベランダのポッドでも簡単にできるこの種、お勧めです。(笑)


一方、苗を育てるのも簡単でたくさん採れてお勧めの方法です。4人家族ならパセリの苗を二本も買って植えておけば、夏中買う必要はありません。前述のミックスベジタブルも生育が早いので私のところでは二回撒いて秋口まで葉物が採れるようにしています。

こちらはご存知ハーブの王様のバジル。よい香りでパスタにもサラダにも大活躍。オリーブ油と一緒にミキサーですりつぶせばバジルオイルが簡単にできてなんにでも使えます。大匙三杯のオリーブ油でにんにく一かけの薄切りを炒め、薄いきつね色になったら、パスタのゆで汁を150cc加えます。油が熱いのでやけどに注意です。(笑)そこに茹でたてのパスタを加え、大匙一杯のバジルオイルを絡めて食べてみてください。きっと病み付きになりますよ~(笑)。

*:パスタを茹でる際には、茹でるお湯の量の1パーセントの塩をお忘れなく。
  味付けは塩コショウもしくは粉チーズで。(パスタ400g、約4人前までこの分量でOKです。)

ピーマンも小さいながら、これからが楽しみです。

トマトは毎度おなじみお勧め、中玉トマト。


こちらは、イタリア原産のルンゴだそうです。大玉のソース用との事なので赤くなるのが楽しみですね~。

きゅうりの黄色い花が目に付くようになると夏がもうすぐそこです。

なんだかヘンデルを聞くと田園の景色が浮かぶのは私だけ?

2011年6月30日木曜日

ASJ青森イベントを終えて

青森に来たのは修学旅行以来、でも飛行機で30分で着くんですね~(笑)

飛行機も小さくてかわいいサイズです。

それこそあっという間の本州上陸です。

青森の街は想像していたのとは大違いで、並木が美しく海にも面した都会でした。

いったいなんだろう??と思いきや~

実は「青森観光物産館」、内部はお土産物屋さんの屋台が連なり賑やか。

街路樹の植益にツル薔薇?なんだかお洒落でした。

会場の青森県立美術館には、本州の建築家の皆さんたちがほとんどで、北海道からは私を含めて二人のみ。でもそこは同じ建築家同士、最近のプロジェクトのお話やご当地事情で和やかに盛り上がりました。左側が金沢の小笠原さん、右が埼玉の岡平さんです。小笠原さんはビフォアー&アフターのいわゆる匠でもあります。

ホテルから見た市街と港の風景。海に面しながらかなり平野部の多い街の構造は北海道では珍しいなあ~と思いました。函館も小樽も坂が多く山が迫っているでしょう?

雪国なら皆屋根で苦労している様子をホテルの窓から写しました。でもこの屋根作るの難しそうですね~(笑)

こちらは三角屋根の雪が隣の屋根に落ちてしまい、仕方なく雪止めを全面に付けた様子にお見受けいたしました。(笑)そういう隣の家も自分の雪が滑って裏に落ちぬように屋根の真ん中に雪止めを付けながら落雪量を加減している苦労が伝わります。

今回のASJのイベントは二日間、たくさんのご来場をいただきまして誠にありがとうございます。またホストとして準備をしご招待いただきましたASJ関係者の皆さま、㈱阿部重組のスタッフの皆さまにもこの場を借りて御礼申し上げます。

2011年6月24日金曜日

青森

 本日はASJのイベントで青森に来ています。青森は中学校の修学旅行以来でしょうか、本日の天気は曇り、でもずいぶん暖かいですね~。
 実は今日の晩ご飯は、同じ札幌から参加した建築家の浅香さんと一緒でした。一緒に差し向かいでお話しするのは初めてですが、これからの社会のこと、建築の未来のことをいろいろと話し合いました。「建築は社会的なものであるべきで、建築の設計に夢を持つ若者たちを応援したい。」そんなお話を聞きながらまた素敵な建築家を見つけてしまいました。(笑)普段はあまり一緒に交流することが少ない私たちですが実際に会って相手の話を聞くことはお互いにとても刺激になります。

明日は二人とも初の青森イベント,精一杯がんばります。


浅香さんのHPです。おしゃれですよ~(笑) http://www5.ocn.ne.jp/~aad/

さて今日は尊敬するビリーの曲一緒にいかがですか 

http://www.youtube.com/watch?v=gU3tF2OkFCY

2011年6月23日木曜日

旭川へ

本日は旭川へ、写真は駅前の西武デパートと買い物公園通りです。実施設計の途中経過報告と今までのご無沙汰のお詫びも兼ねて(クライアントさんごめんなさい。)行って参りました。

敷地は古くから開発された住宅街の一角にあります。既に周囲に建物が建てこんでいる中での計画ですから、視線の遮断や採光に通風の確保、要は建物にフィルターとしての仕掛けをいろいろと盛り込み必要とするもの以外の交通整理をすることが今回のメインテーマです。もう少し分かりやすく言うとたとえば採光と換気のために窓を作ったとして、その前に交通量の多い国道や大通りがあれば通りの騒音や排気ガス、視線が気になって閉めっぱなしになりやすいですよね~?特に女性の一人暮らしだったりすると防犯上もよろしくないわけです。
 一般論として窓は壁に腰上の高さに付けますが前述の通り、周囲の状況によってはその一般論自体が意味を持たないことも多いところが建築の難しさです。そこで私たち設計者は窓や建物にいろいろと工夫を盛り込んでこうした一般論では解決しづらいケースに対応するのです。たとえばわざと足元に窓を下げて視線を入りにくくするとか、高窓にして曇りガラスを併用することで天井と壁を室内の反射板にして家の奥まで少ない光量で明るくしたり、あえて開閉しないFIX窓とし通風は断熱ガラリから取って、防犯性と通風を両立したり、建物全体を白くして街灯の少ない裏の通りを明るくしたり等々様々な手を考えるのが市街地の建替えの楽しみでしょうか?(笑)

同じ敷地であっても異なる建築家が向き合うと全く異なった方法論を考えますよね~?
でもそれってとても不思議だとは思いませんか?(笑)

今日はすっかり「のだめ」で有名になったショパンのエチュード。
凄まじいテクのリシッツアも圧巻ですが、天才少女の愛実ちゃんも凄い。
音だけ聞くと、若い愛実ちゃんのほうが巨匠の落ち着きを感じるのは私だけ?(笑)

さて明日は青森まで行って来ます。

2011年6月20日月曜日

着工

昨年より進めてきた西野の家が無事着工しました。建替えなので地鎮祭はありませんが、先代の家を解体した後にテープを張って、建物の位置を明示し建て主さんに確認していただきました。図面と現場の差を理解していただくためと、まず着工時に大切な①道路→②敷地地盤→③エントランスレベルの確認を行います。要は建物に入る階段やスロープの高さを、道路、敷地内地盤、から逆算して無理のない高さに決めることを行うわけです。この手順をミスると、なぜ玄関ポーチの一段目がこんなに高いの?とか低すぎるの?なんてことに陥ります。安全に容易に家の中に入れることがまずは大切。そんなわけでこの高さの基準をどこに置くのか決める作業はたいへん重要なのです。

たとえば右隣のお庭の地盤面が高いままだと降った雨は自分の敷地に流れ込みやすいですよね?この程度の差なら少し盛り土や敷き砂利で調整可能です。

以前あった前庭の盛り土レベルに合わせて植えられていたオンコは盛り土を排除すると当然ながら高くなります。この場合も敷地内に少し盛り土をする等して(オンコの廻りに残る石を埋めることで)新たな玄関前のレベル(高さを)つくり、玄関ポーチの一段目を最適に設定します。
高齢化社会においては、こうした屋外と室内の普遍的な動線の確保が欠かせません。かつての高床スタイル(1階:車庫、中二階:玄関)のように若いときにしか住めない間取りもまだまだ作られています。「子育て中物入り時代」の一時のために収納性を重視するのは分かりますが、二~三十年で家に入ること自体が困難になるようなつくりは、やはり改善の余地があると思います。

2011年6月16日木曜日

東京オリンピックの年に

事務所の向い、1964年、東京オリンピックの年に完成したアパートの解体が始まった。ご存知、商店街の中にある私の事務所の近辺は、昭和レトロな雰囲気が漂う一角。昨年最後の入居者も離れずっと無人の建物だった。まあ建物に興味のない人にとっては古いだけのボロアパートにしか見えないが実はこのアパート47年前の竣工当時はたいへん画期的なものだったそうな。



この頃はまだ無落雪屋根は登場していない。屋根に雪は載せておくべきものではないと考えられ、仕方なく道路側に雪が落ちる三角屋根スタイルだった。

断熱はまったく入っていない。ストーブを持ち込むことが冬への備えだった。当然ながら集合煙突は欠かせない装備だった。しかし当時の灯油の安かったこと。資源のない国ながら燃料の安さは驚異的だった。

最も当時の間借り人たちを驚かせたのがこの斬新な間取りだった。それはなんと言っても、玄関の有無であった。
 そう、当時自らの専用玄関を通りに対して持つなどという贅沢極まりない間取りはたいへん珍しいものだった。通常は下宿よろしく、共用玄関、トイレも炊事場も共用が当たり前。そんな時代、隣戸と壁を共用するのみで、専用の玄関ドアに炊事場やトイレ、なんと浴室までが各戸に設えられた借家の画期的だったこと!当然、家賃は高額で一流企業の社員やその美しい若妻たちが主な入居者たちだった。当時を知る床屋の久美さんは言う「記念にドアノブをもらったの、今でも通ってくれるお客さんに見せてあげたくて。」
始めることとやめることは簡単、続けることはたいへん。
私もいつか久美さんのようになりたいと思う。

でも1964年はこんな感じだった。 http://www.youtube.com/watch?v=DSRyUvem8UM

2011年6月15日水曜日

6月に想うこと

6月は、露地栽培の野菜も採れ始め、気候が穏やかになるよい季節ですよね~。
このブログをお読みの皆さんに本日伝えたいのは、6月の今時分の温度の心地よさについてです。寒くもなく暑くもない6月の.い.ま.ご.ろを冬場に再現することを目標に建物の室内気候をデザインしているのです。

これに関してもう少し詳しく説明しますと、一年の中で今の季節が最も床、壁、天井そして窓の温度差が小さくなり、気温は20℃少々ながらほとんど寒さを感じない室内環境となります。まさに自然が季節を先生にして「山本君、高品質な暖房とはこうした寒さのない状態ですよ。冬の室内のお手本にしなさい。」とささやいている。といったらきっと分かっていただけるでしょう。(笑)

みなさんにぜひこの温感に対する感受性に目覚めていただけたらこんなに嬉しいことはありません。冬の室内がなぜ20℃では寒く感じるのに、6月ならむしろ快適に感じるのかもうお分かりだと思います。部分的な25℃よりむらのない20℃。気温より各部の表面温度。快適さや健康性は大切なデザインです。家中を有害な寒さのない穏やかで健康的な気候に調整することは、欠かすことのできない北国のデザイン。見た目もたいへん重要ですが、こうした見えないところも入念に心がけています。けして必要以上に暖かく(エネルギーを無駄使い?)することなく、大切なことは、寒さがないこととなにより穏やかなことです。

なかなか文章で表現が難しいのですが、なにかこう「ふんわりと居心地のよい感じ」というのか、いつの間にか夜になって、「ところで暖房入ってなかったの?」みたいな、寒がりの人がストーブやヒーターにかじりつくこと自体を無意識のうちに忘れている...(笑) 要は今の季節のような家を今年も仲間たちと一緒に精一杯つくりたいと思います。

音で表すとこんな感じでしょうか(笑)

 http://www.youtube.com/watch?v=uVDqWNqsEAg&feature=related

2011年6月11日土曜日

R住宅と住宅検査人

新築の際は、法的に定められた手続きや守るべき基準がたくさんありますが、リフォーム(修理)はほとんど建て主の裁量に任されているのがわが国の実情です。自由である反面野放し状態となりやすくリフォーム詐欺のような被害も後を絶ちません。でもストック型社会とは文字通り、新築よりリフォームの割合が多くなる世の中です。今までのスクラップ&ビルドのほうがむしろ不自然。これからは新築力よりリフォーム力ってことでしょうか?しかしリフォームもいろいろなブランドや仕様があって迷いますよね~?私の事務所では二年前からR住宅仕様の「大規模リフォーム」に積極的に取り組んでいます。

 北海道、住宅供給事業者、不動産業者が官民一体で取り組むR住宅は、いわゆる「リフォームのミシュラン」、改装計画をたてる際に第三者(この場合は住宅検査人)の診断を設計に盛り込むことが一つの条件になっています。まさにセカンドオピニオン。従来の調査人=設計者=工事業者といった一人3役の弊害を改め、複数の専門家の診断がリフォームの中身に生かされるところがR住宅の一番の特徴なのです。

 検査をしていただいたのはエスパス一級建築士事務所の宮下氏。R住宅にリフォームする上で必要となる住宅検査人の資格取得者、第一号です。同社は既存住宅の調査に特化したノウハウを有し、丁寧な仕事には定評があります。この日も約4時間掛けて家中を調べていただきました。毎度の事ながら、家づくりに対する環境はたいへん恵まれているのが北海道のよいところです。

今年もR住宅の参加事業者の募集が始まりました。

詳しくは:R住宅HPまで http://hokkaido-r.jp/

既存住宅の調査.診断なら エスパス一級建築士事務所 http://www.espas.biz/


R住宅の検査内容は現在、目視検査の中では最も詳細なものの一つでしょう。写真は床の高低差をレーザー水準器で測っているところ。


こちらは床の傾斜を計っているところです。


拝啓 日本人の皆さまへ(私も含む)

これから大切になる思考法の一つに「ものからしくみ」への発想の転換があると思います。思えば福島の原発は電力不足の解決を目的にした巨大な「もの」にほかなりません。2011年3/11以前まではそうした「もの」による解決があらゆる面で最適と考えられていました。原発に疑問を呈する人は現実的な視点に乏しいと非難されました。しかし3ヶ月を経過した今、だれも原発を最も安全で安価な解決策とは思っていませんし、自然エネルギーへの転換を笑う人の方が少なくなりました。むしろ「たった一度の事故でなんて高くつく代物だろう。最終的にどこまで被害が拡大するのか想像もできない。」というのが本音でしょう。一方、こうした悲劇を契機に安易に「もの」に頼らず「しくみ」「しくみ」づくりに目をむけた動きが高まっています。節電という意識を社会全体で実践することで電力ピークは予想以上に下げられることに気付きましたし、そのほうが次世代?省燃費エアコンという「もの」の登場をまつよりずっとスピーディーでした。(笑)大企業の経営者でさえ自然エネルギーの分野こそむしろ将来性が高いと声を上げ始めていますし、不安定な自然エネルギーを生かして暮らすためには、太陽電池の効率UPより、それらの本質を多くの市民が正しく理解することや、社会に根付く仕組みづくりが欠かせないことに今皆が気付き始めています。ハイテクとは明日には古くなる技、ローテクとは1000年後も廃れない技。こんなことを考えている私はやはりマイノリティーなのでしょうか?
今日でちょうど3ヶ月。お亡くなりになられた方々に心より黙祷を捧げます。また被災地の一日も早い復興をお祈りしています。

I LOVE ビリージェイ! http://www.youtube.com/watch?v=cDBlqu6KF4k