2022年6月29日水曜日

追分の家 屋根断熱工事

本日、「追分の家」は屋根ブローイング工事を完了しました。吹込み厚は約43cm。目指す熱伝導率はλ:0.038W/mK。よく誤解されるんですけど・・この破砕GWの吹込み工法、熱伝導率ごとに製品が異なるのではありません。そこが壁のマット状断熱材との違い。

要は同じ製品でも・・吹込み密度を調整することで性能がλ:0.052~0.038(W/mK)まで変化するのが吹込み工法の面白い特徴。別の視点で見るとλ:0.052なら10kg/m3程度の吹込み重量に耐える天井組でかまわないけど、λ:0.038だと22kg/m3の重量に耐えるようにしないといけない。華奢な天井だと吊り木ごと落下し易いんで注意が必要だ。「断熱なんて大工の仕事じゃない」なーんて言ってられない理由がここにもある。各種断熱工事の特色を充分理解した上で最適の下地や天井組ができないとこれからの大工稼業は難しい。話は変わるけど・・完成写真を見ての通り下地の間は盛り上がるのでもう一度天井下地を流してから天井仕上げのボードを施工します。

表示通り22kg/m3以上の吹込み密度で必要な断熱性能を確保します。

天井に約43cm吹込みが完了したGW

この上から壁と同様に防湿シートを貼ってから天井を組み上げます。

断熱屋さん的には斜めの上向き仕事で中々たいへんです。これからもっと暑くなると全身防護服&マスクにゴーグルは暑くて暑くてたいへん。いつもご苦労様です。

今日はApneumoなんていかがだろう・・




 

2022年6月28日火曜日

藻岩の家 基礎工事


傾斜地を切り開き多量の土砂を取り去って進む「藻岩の家」の基礎工事。実は写真奥から手前に向けた単純勾配ではなく、左から右にも傾斜しているという少々複雑な状況なので、基礎を階段状に切り替えて対応しています。
こちらがその切り替え部分。約40cmの段差を設けて敷地勾配に馴染ませている。
毎回設計する住宅の敷地はそれこそ様々ですが、最近は傾斜地であっても家の内部は段差のないバリアフリーフロアに設計することが求められるので基礎底の高さは段差を設けても基礎上部の高さは同じにする必要がある。
従来のように低い地盤に位置する側の部屋は床を低く、反対に山側の高い部分に位置する部屋は高くというような設計では室内床が土地の傾斜に沿ったスキップフロアとなり易い。もちろんそれはそれでよいと思いますが、ほとんどの人がローン年数以上暮らすことを考えると室内に極力段差は作りたくないと考えています。

そんな理由から基礎内部の高さは非常に高いものとなります。実際にはこのままだと高すぎるので砂利で基礎内を埋め戻し、床下の天井高さが約90cm程度になるようにして床組みします。
基礎断熱は高性能XPSの120mm。床下の室温も1.2階と変わりなくなりますので、1年目から床が暖かな家になります。

今日はKep1erでUPなんていかがでしょう















2022年6月18日土曜日

藻岩の家 製作キッチン

今日は「藻岩の家」のキッチンの打ち合わせ。担当していただくのはもちろんクリナップのキッチンスペシャリスト石川さん。

今までほとんどの家のキッチンを作っていただきました。クリナップさんといえば水廻り総合メーカー大手として数々の定番を生み出してきたキッチン業界の老舗。クリンレディーやSS、ステディア等々・・一度は名前を聞いた人も少なくはないはず。

そんな数々のカタログモデルが有名なクリナップさんの中にあって石川さんの所属するのはオーダーキッチンを専門とする特別な部署。北海道の白樺で美しいキッチンを作りたい。せっかく家を建てるんだから住まい手さんにはそんな地域色溢れるキッチンを毎日使ってほしい・・そんな建築家のわがままを嫌な顔一つせずに聞いてくれて、白樺のキッチンは生まれました。

特に最近は木に対する好感度が上がって住まい手さんもすごくセンスの良い人が増えました。ひと頃の・・木は狂うとか汚れる・・とか以上に一つ一つの木目の違いや床やインテリアとのバランス。一点豪華主義よりもトータルな上質さに関心が集まっているようでとても嬉しいです。

ひと頃のコロナの緊張感が少しだけ和らぎ、週末のショールームには賑わいが戻りつつあります。今さらながら・・疫病や戦争のない平和な社会のありがたさを感じます。現場を担当していただいている飛栄建設の松田さんにも一緒に付き合っていただきキッチン選びは進んで行きます。

今やキッチンの天板も様々な仕上げのステンレスや人工大理石以外にセラミックや木製まで幅広く選べます。一部はカタログモデルの部品を使いそれ以外はカスタムのような作り方もできたりして凄く選択肢が広がりました。写真はステンレス天板の磨き方に対するレクチャーです。仕上がりは美しいものの傷に弱い加工とかあえて傷つけることで使用後の傷が目立たないとか、そうした両者の融合とか・・私も迷っちゃいます。

これからもぜひ素敵なキッチン作りに挑戦したいと思っています。

常盤の家2020

桂岡の家Ⅱ 2021

新琴似の家Ⅱ 2019

菊水の家 2010

今日はHSCCなんていかがでしょう













 

2022年6月10日金曜日

とっとり健康省エネ住宅改修(ReNE-ST)の話し

 

昨年から鳥取県のみなさん、私の所属する北海道建築技術協会や北総研さんと共同でReNE-ST(とっとり健康省エネ住宅改修)のテキスト作成に取り組んできましたが、みなさんのご協力のおかげで無事完成しました。

想えば半世紀以上にも渡って住まいの熱環境の研究に取り組んできた北海道。地元の作り手なら誰でもごく自然に断熱建物の設計ができるのもそうした環境が主な理由です。

その一方で50年後の現在はといえば、かつては温暖地といわれた地域でむしろ積極的に住まいの断熱化の必要性が叫ばれています。時代って変われば変わるものですね。

私としても慣れ親しんだ地域の技術が鳥取県さんのお役に立つのは嬉しい限り、もちろん北海道のやり方がそのまま使えるところばかりではないので岐阜の森亨介さんや鳥取県の作り手のみなさんとの綿密な情報交換がテキストの質を上げる上で本当に役に立ちました。

あらためて、住まいの熱環境の研究を通して様々な基準や仕様書、解説書を作って来た先輩たちの知見と功績を誇りに思います。今後も北海道の住まい手を笑顔にする家づくりに打ち込みたいと思う反面、北海道以外の地域のお手伝いにも積極的に関わって行きたいと思うようになりました。


テキストが出来上がったらすぐに講習が・・ReNE-STは北海道のBIS(断熱施工技術者)同様に鳥取県が技術者を認定し登録することを前提にしていますから、二日に渡って朝から夕方までびっちりと講習が組まれ、最終日は考査も実施されました。

残念ながら・・コロナのおかげでリアル講習からZOOM講習になってしまいましたが、鳥取県さんのお計らいで県外の作り手も聴講が可能な講習にしていただきCPD単位も9単位も付くとあってか全国から140名もの熱心な聴講者が集まりました。


最近は鳥取県や北海道のみならず、国に先駆けて住まいの断熱化に舵を切る自治体が全国に増えつつあります。よくよく考えて見れば家を作るのは生き物の中で人間だけ、その理由は様々ありますが、一番の目的が外部の寒さや暑さ湿気や風雨から身を守ることにあることはいうまでもないことです。それなのに未だに住まいの断熱が義務化できていない我が国に複雑な思いを感じる反面、今回のような経験はそんな憂鬱を吹き飛ばしてくれるようにも感じました。ReNE-STと鳥取のみなさんの成功を心よりお祈りしています。

今日は・・やっぱ鳥取県といえばヒゲダンでしょう/笑








2022年6月6日月曜日

フィンランドからの見学者

 先日6月3日はフィンランドからユンニ先生、ミッコ先生、北海道大学と日本福祉大学合わせて5名のみなさんに「追分の家」の現場を見学していただきました。

国として住まいの断熱法制化はまだ3年先ですが、寒冷地北海道は国に先んじること30年以上前、1988年から北方型住宅と呼ばれる断熱気密住宅を産学官協力のもと作ってきました。

そん理由もあって地元の大学と北欧圏の専門家交流も長い歴史があります。みなさんようこそ北海道へ! さて現場では・・

ユンニさん:なぜこの梁だけ材質が違うの?

山本   :寸法を揃えるためにそこだけより強い材にしました。

ミッコさん:フィンランドでも柱外に安易に耐力面材を貼ると

      結露が不安になるが北海道も同じか?

     (壁模型を見ながら)

山本   :同じだ。合板外の断熱抵抗比を倍以上取り防湿層

      を最も室内側に寄せて湿害をクリアしている。

ミッコさん:無言で頷く(分かってるようで安心したという顔)


ユンニさん:戦争のせいでロシアの陸路が使えないから日本向

      けの木材を出荷できない。主に日本と取引している

      企業も国内にはあるのに・・

山本   :残念です。特に最近の木材高騰はひどいです。

ユンニさん:初めて日本の住宅現場を見たがOSBが貼られていて

      フレーム&パネル(枠組み壁工法)みたいだ。

山本   :元々はOSBなんて貼らずに筋交いだったが、最近は

      面材を貼る現場がほとんど。みなさんの国との違い

      は現場で面材を貼ってパネル化すること。もちろん

      ユーロや北米規格のフレーム&パネルもあって、

      地域ごとに工法が違うところも特色です。

ミッコさん:この家床下があるのか?

山本   :北海道は地層的に新しくラドンは検出されません。

      なので基礎断熱をして床下汚染を気にせず室内と

      して使う場合が多い。


ミッコさん:この水平な断熱はなに?

山本   :スカート断熱といって凍結深度を軽減し基礎資材

      を節約するために使う。

ミッコさん:おーそうか!フィンランドにも似た方法がある。

山本   :似てますね(笑)

ミッコさん:似ている。同じだ(笑)

山本   :計画換気は3種で冬は特殊な自然換気を使います。

ミッコさん:なぜ1種熱交換を使わない?高いがフィンランド

      でも使うべきだとロビー活動している人もいる。

山本   :残念ながら北海道は石炭火力によるブラック電力

      が7割以上。電気料金も日本一高い。その状態で

      1種を使うと温暖な南部はともかく寒冷な地域で

      は増エネ&増コストになり易い。

ミッコさん:その感覚はよく分かる。再生可能エネを増やさな

      いといけない。

山本   :お恥ずかしい・・

ユンニさん:北海道では世界中の木で家を作るのか?

山本   :はい・・森林資源は豊富でも地域材活用は遅れて

      いるのも残念ながら実情です。この家も柱はオー

      ストリアから梁はフィンランド、合板はEUから入ってきています。


その他・・色々・・話題山盛りで楽しめました・・ 

アテンドいただいた坂口先生、森先生、サウナワーラ先生、

素敵な交流をありがとうございます。国は違えど・・北国同士、不思議に話が合いました。またぜひ北海道にお越しください。

今日は日本でもおなじみのフィンランド民謡なんていかが



2022年5月30日月曜日

家庭菜園

 

今年も事務所の家庭菜園に苗を全て植え付けました。趣味と実益を兼ねて・・また住まい手さんに屋外と関わる楽しさを伝える機会として、家庭菜園のご提案もしています。

写真は最近特に人気のトマトの数々、当事務所のお中元としてけっこう有名になりました。

こちらは長粒種のミニトマトでアイコ

夏にはたくさんの野菜が簡単に採れます。

こちらは「宮の森の家2014」の昨年の家庭菜園。

いつも外構でお世話になるガーデンジャパンさんによる特性の畑土で野菜も元気いっぱいです。

ズッキーニは特に巨大化

すごくたくさん採れちゃいます。

こちらは「恵庭の家2013」の家庭菜園。家の前にたくさんの苗が植わって楽しそうな家族の様子が伺えます。

今年も事務所の家庭菜園には・・・

お茄子・・・

レタス(今年はサンチュ)

昨年から定植したフェンネル

もう数年前から定植しているタイム

毎年植えるバジル

5~6年前から定植しているセージ
その他にもトマトやシシトウ、ピーマン、パプリカ、キュウリにジャガイモ・・・今年も夏が待ち遠しいです。

家をどんな風に作るのか?も大切ですが、家庭菜園という名の屋外もぜひ取り入れてみてはいかがでしょう・・きっと楽しいですよ。

今日はBrave Girlsなんていかがでしょう







2022年5月27日金曜日

藻岩の家 根切工事

道路の幅を広げるように敷地側に平坦地を拡大している。

根切工事が始まった「藻岩の家」の現場です。斜面にカーポートと住宅を配置するのでかなり土地の形状を変更せねばなりません。

前面道路幅が約4mと狭い(普通車二台がすれ違うのはかなりきつい)ので工事車両の出入りや駐車、資材置き場(水平な地面)をまずは確保してから計画的に工事を進めます。

実は先日、とある人とお話しをする機会があり、ブログの内容にこれから住宅取得を目指す人が参考にできる事柄を入れてほしいとのご意見を頂きました。言われて見れば確かにそうなので早速今回の記事から取り入れたいと思います。

元の地盤面の様子。日当たりと眺望の良い南斜面であることと、擁壁等がなく道路から入り易いこと。勾配が30°以下の為がけ地とならないところが有利な傾斜地。

一般に敷地全体が平坦で土地内の高さと全面道路との間に高低差がない程工事は楽になります。理由はシンプルで敷地内に乗り入れが簡単な事と平坦地なら荷崩れを気にすることなく資材を敷地内に置けたり、基礎工事で出た残土も流失を気にすることなく敷地内に積んでおけますし、残土処分費を節約したければ全部または一部を敷地内に敷きならしてしまうことも状況によっては可能だからです。

工事以外の観点、例えば計画上も道路から敷地内へ高低差なく出入りが楽なことは車や自転車、人や車いす(将来の高齢化対策等)を想定した動線計画を考える上でも容易になります。

その一方で土地の良さはなにも工事や計画の容易さだけで決まるものではありません。写真を見ても明らかなように緑に囲まれた豊な環境や日当たり、眼下にまちを見下ろす眺望の気持ちの良さ等々・・・平坦地では中々望めない魅力も傾斜地にはたくさんあります。

もしこれから土地を取得して住宅をと考えているのなら、この点をぜひ参考にしてみてはいかがでしょう。ポイントは「けして平坦地がよいという事はなく傾斜地の方が工夫次第では最高の敷地に化ける可能性がある」という点です。

その「工夫次第」の中味が知りたいという人は少しだけ勇気を出して作り手に会いに行くのもよいと思います。反対に一番損なのは、SNSからの情報収集で充分だと早合点してしまうこと。「肝心な話しほどできないのがSNS」というのは便利過ぎる今だからこそ憶えておくべきかもしれません。

敷地の眺めの良さが分かるアングル。敷地の高さを利用して2階建てながら3階以上の眺望の良さを獲得する狙いで計画しました。

元の地盤はこんな感じ。緩く左から右へ上がりながらも手前から奥側に傾斜している様子が分かると思います。



 

2022年5月23日月曜日

藻岩の家 手続き完了

 

昨年より取り組んでまいりました「藻岩の家」の着工前手続きが完了し現場が始まります。

担当していただくのは飛栄建設株式会社さん。昨年は性能向上リフォームの現場として「南沢の家」を仕上げていただきました。今回は傾斜地に加えて止水工事や風致地区(緑化義務有)と取り組み甲斐のある敷地条件。

数ある設計者の中からご指名を頂いた建て主さんと三者協力してよい家づくりにしたいと思います。

□飛栄建設さんとの仕事




追分の家 外張り断熱工事

 

「追分の家」は外張り断熱のキモとなる工程に到達しました。

外張り断熱材は現在市販されているボード状断熱材の中で最も性能の高いフェノールフォーム。通称ネオマの愛称で大活躍している高性能品です。

窓廻りの四方枠と外張り断熱材の接合部はウレタンガンの口金が入るように10mm程度隙間を設けそこにウレタンを充分盛り上がるまで注入します。硬化後、カッターできれいに削り、丁寧にテーピングを行います。

一カ所ごとに丁寧にウレタンを削ります。北海道以外の地域の大工さんは断熱工事をしない場合も多いのですが、道内の大工さんは標準業務の中にGWやボード状断熱材の仕事も含んでいます。

北海道がこと断熱に関しては最も安価で高品質な理由が大工工事における断熱施工の標準化(当たり前化)です。


道民には意外かもしれませんが、現在わが国では2025年を目途に断熱の法制化が進んでいますが、それは言い換えればまだ任意でもかまわないのが断熱なのです。そんな理由で北海道以外の地域ではほとんど断熱をしない現場もまだまだ少なくありません。

温暖地域だからといって必ずしも家の中が暖かくないことは冬に本州に出張した経験のある人なら誰でも知っていますよね。根拠のないイメージって厄介です。

平たく言えば国内で概ね沖縄以外の地域は程度の差こそあれ断熱が欠かせないのが日本の住まいの現状です。そんな意味で言えば見ただけですぐに暖かな住まいの大切さが思い浮かぶ北海道は住まいに対する断熱の必要性を疑う人がいないという意味で、とても幸運だったと思います。

長い180mmの高価なパネルビスさまを使い、これまた高価な100mm厚のネオマさまを留め付けて行く。生粋の外張り屋のリノアさん・・外壁はなんと長い3×10版・・断熱設計屋冥利に尽きる・・もちろんこの他に壁内にはGWが105mmしっかり入ります。

足場には看板も設置され中々現場らしくなってきました。㈱リノアさんの看板カッコいいですね~(笑)
今日はDEF LEPPARDなんていかがでしょう