道路の幅を広げるように敷地側に平坦地を拡大している。
根切工事が始まった「藻岩の家」の現場です。斜面にカーポートと住宅を配置するのでかなり土地の形状を変更せねばなりません。
前面道路幅が約4mと狭い(普通車二台がすれ違うのはかなりきつい)ので工事車両の出入りや駐車、資材置き場(水平な地面)をまずは確保してから計画的に工事を進めます。
実は先日、とある人とお話しをする機会があり、ブログの内容にこれから住宅取得を目指す人が参考にできる事柄を入れてほしいとのご意見を頂きました。言われて見れば確かにそうなので早速今回の記事から取り入れたいと思います。
元の地盤面の様子。日当たりと眺望の良い南斜面であることと、擁壁等がなく道路から入り易いこと。勾配が30°以下の為がけ地とならないところが有利な傾斜地。
一般に敷地全体が平坦で土地内の高さと全面道路との間に高低差がない程工事は楽になります。理由はシンプルで敷地内に乗り入れが簡単な事と平坦地なら荷崩れを気にすることなく資材を敷地内に置けたり、基礎工事で出た残土も流失を気にすることなく敷地内に積んでおけますし、残土処分費を節約したければ全部または一部を敷地内に敷きならしてしまうことも状況によっては可能だからです。
工事以外の観点、例えば計画上も道路から敷地内へ高低差なく出入りが楽なことは車や自転車、人や車いす(将来の高齢化対策等)を想定した動線計画を考える上でも容易になります。
その一方で土地の良さはなにも工事や計画の容易さだけで決まるものではありません。写真を見ても明らかなように緑に囲まれた豊な環境や日当たり、眼下にまちを見下ろす眺望の気持ちの良さ等々・・・平坦地では中々望めない魅力も傾斜地にはたくさんあります。
もしこれから土地を取得して住宅をと考えているのなら、この点をぜひ参考にしてみてはいかがでしょう。ポイントは「けして平坦地がよいという事はなく傾斜地の方が工夫次第では最高の敷地に化ける可能性がある」という点です。
その「工夫次第」の中味が知りたいという人は少しだけ勇気を出して作り手に会いに行くのもよいと思います。反対に一番損なのは、SNSからの情報収集で充分だと早合点してしまうこと。「肝心な話しほどできないのがSNS」というのは便利過ぎる今だからこそ憶えておくべきかもしれません。
元の地盤はこんな感じ。緩く左から右へ上がりながらも手前から奥側に傾斜している様子が分かると思います。