サッシにYKK430が入り付加断熱が概ね終わった「新琴似の家Ⅱ」です。屋根のタイベックと壁のタイベックは必ず連続していることを確認します。屋根の通気層に入った雨水や野地裏の結露水は屋根面を伝い壁の通気層から地面に向かって排水されるようにイメージしてタイベックの始末を確認しておきます。
タイベックで一旦外壁を全て仕上げてしまう感覚で実際の仕上げはそのタイベックを保護する感じに取り付けます。
先張り防湿シートは今やどこの現場でも当たり前のように行う気密工法ですが、グラスウール(GW)を覆ってしまう前に壁の断熱材充填を神経質なくらい丁寧に見ておきます。
GWは安価で費用対効果に優れた断熱材ですが同時に最も使いこなすのが難しい断熱材でもあります。その理由は本来の性能を引き出すために屋内側からは防湿、屋外側からは防風+防水+透湿を丁寧に整えてやらなければいけないからです。
高価なボード状断熱材のように断熱材自体が防水性や防湿性を兼ね備えている訳ではないので本来の高い断熱性を引き出すためにはこうした屋内と屋外の補完性を必要とするのがGW断熱の特徴です。
大工さんには申し訳ありませんが、こうした断熱を本当に神経質なくらいうるさく丁寧にお願いするのには実は理由があります。
その一番は「簡単に直せないから」二番目は「部分的に良くても意味がないから」です。
このブログをお読みの方はきっと「桂岡の家」の記事もお読みになったことでしょう。「桂岡の家」が1970年当時最新鋭の暖房設備を持ちながらもなぜ半世紀にわたって改修を繰り返さざるを得なかったのか?
それは設備的には最新でもその設備を生かすために必要な家の断熱性能が非常に低かったからです。
後からそのことに気付いた建て主は、現在の品質と量に比べても遜色ない断熱を部分的に行います。
窓が寒ければ窓を、北側の部屋が寒ければ壁の断熱を追加し床が寒ければ床にも追加するといった具合です。
結果はみなさんもご存知の通り部分的な切り貼りではGWの断熱性能を引き出す上で欠かせない連続した気密性や防湿性を直すことは叶いませんでした。
そんな貴重な体験から学んだ結果、断熱性能は絶対に失敗する訳にはいかない。ということです。
上の写真は付加断熱(柱の外側に増し張りし断熱性を更に強化する目的で行う断熱)の表面に石膏ボードを貼りGW内部に吹き込む風を防止し、併せて防火性を確保している様子。タイベックはこの上に貼ります。
室内は壁に断熱材を入れる、断熱工事の真っ最中です。
表しになる材料と壁の内部に隠れる材料が正しく選別されているか?予定している納まりに金物は影響しないかどうか?外壁廻りを確認しながら内壁もしっかり見て回ります。
サッシの廻りもこんな風にしっかりとタイベック(防風+防湿+防水シート)できれいに覆ってから通気層+仕上を取り付けて行きます。
今日はMuseなんていかがだろう。