2019年8月8日木曜日

高砂台の家 建て方開始

8/6から旭川の「高砂台の家」ではクレーンを据え付けて建て方が始まりました。
 
周囲を山々に囲まれた上川盆地に位置する旭川では連日の快晴が続き、当日も外は33℃。ほぼ無風の中で過酷な建て方工事は続きました。
 
今回はじめて現場を担当いただくのは鍛冶川 伸吾棟梁。
 
昨年の冬にオーナーさんのご紹介でお会いし、「高砂台の家」を計画中と打ち明けたのが始まり。その流れで、小屋組みを顕しとしたいとか、普段から大工の仕事が仕上げの陰に隠れてしまう家はあまり好きではないとか、プレカット図の段階から打ち合わせに加わってほしい等々、、、色々とワガママをお願いいたしました。

果たして計画は進み・・・旭川市の夜景を見下ろす絶好のロケーションを生かすべく居間は2階に計画され、その前には約1.8m空中に跳ね出したテラスが用意され、片流れの小屋組みはスパン約5.5mの登梁で掛け渡す構造となりました。
 
そんな間取りを実現させるためには長くて重たい梁が二階床で3本、小屋組みでは5本必要となりますからこの日のために友人の大工さんを応援に呼んで総勢5名で作業に当たっていただきました。
私は設計者ですが、自らの設計した木造住宅の建て方には、極力顔を出すようにしています。
必ずお茶とコーヒーを買って(笑)
 
近年はプレカット工場で加工された柱や梁を現場で大工さんが受け取って組み立てる方法が一般的ですが、建て方の時に大工さんから得られる要望や困り事が私の図面を改良する大きな動機になります。
 
私たち設計者の描く設計図面は最終的には住まい手さんの要望を満たし構造的にも環境的にもコストデザイン的にもバランスの取れたものにしなくてはいけませんが、この図面の最初のユーザーが大工さんであることは意外に知られていません。
                              

床に重たい厚手の合板を敷いてから仕上げを行う剛床は地震に強い丈夫な床構造としてすっかり一般的になりましたが、大工さんにしてみれば重たい合板を抱えて梁の上を慎重に歩かなければなりません。そこで大梁の間隔を従来の1.8mから半分の0.9mにその梁同士をつなぐ根太材は45cm間隔に縮めて足場の良い作業環境となるように工夫しています。
 
上の写真は足場の上から眺めた旭川市街。大工さんが居るところが居間になりその奥に1.8m空中に跳ね出したテラスが見えます。

床の厚物合板を固定した後、雨や汚れで合板が傷まぬように養生のビニールシートを貼る鍛冶川棟梁。

現場を見ていて本来カラマツ材で加工されるべき柱が通常の白木(ホワイトウッド)で加工されていることを発見しました。
 
柱や梁そのものを見せる場合は血色の良いカラマツ材を用いることに決めているので、このままだと2本だけ間違いが目立ってしまいます。
 
そこでその事を棟梁に告げて、すぐさまプレカット工場に連絡していただきました。二時間後にはカラマツで加工し直された柱が現場に搬入されました。
 
こんな風に手戻りが生じても臨機応変に作業工程を変更し現場を止めることなく時間を稼ぎながら現場を進めてくれたことで一件落着。思わずホッが出ました。(笑)
 
棟梁ありがとうございました。(笑)
 
 
今日はブライアンセッツアーなんていかが!