2013年10月9日水曜日

西野里山の家 建て方その2


本日は、屋根垂木掛け。2×10(ツーバイテン)の大垂木を30cm間隔で渡し掛けて行きます。在来軸組み用の材料ではないこうした輸入材はSPF材と呼ばれ、2×4住宅の床組みや屋根に使われるのが一般的です。しかし木構造の研究が盛んで大らかな北海道では壁は在来軸組み工法、屋根は2×4工法といったルーツの異なる組み合わせが比較的抵抗なく取り入れられてきました。この垂木を外貼り断熱とし美しい連続性を室内に顕しながら特徴的なインテリアとする方法はもうすっかりお馴染みですよね~。(笑)

室内に垂木を顕しにするために品質表示の印刷等は落としたほうがきれいです。そこでこの垂木は両面ブレーナー(自動カンナ)掛けとしてきれいな木肌を一皮剥いています。

間仕切壁の上部は二枚合わせとした大垂木の間に35mmのコマを挟み10.5cmの巾にします。こんな風に在来木造の柱の寸法に異なる寸法体系のツーバイ材を合わせてやると、壁の仕上げが垂木の連なりの中に自然にすっと消えてゆく間仕切りができます。

真ん中に挟むコマ。さすが!棟梁(笑)

いつもお伝えしているように気密性能はとても大切です。写真は先張りシートといって、材料で気密シートを挟み付けながら屋根組みを作っているところ。断熱建物に欠かせない工夫が気密ですが、北海道ではこの断熱を構造と同じ大切さで捉えている事がよく分かる写真です。以前は、「在来木造はその特性上気密には向かない。気密を上げたいなら外国生まれの2×4だ」なんて言われましたが、今聞くと大昔のお話のように聞こえます。私のブログで何度も実測の様子をお伝えしているように今では木造住宅の気密性能はコンクリート造さえ凌ぐほどです。しかしその影には保守的な在来工法を粘り強く改良してきた工務店さんやたくさんの大工さんの努力があることを忘れてはいけません。
 
奥に見える梁は梁成寸法が約40cm。二本の長い通し柱でくわえ込んで支持します。余談ですが材料を素のまま見せるところは血色の良い赤みの唐松材。壁や天井で覆ってしまうところは白色のとど松材。プレカットの図面を書く人と加工担当のオペレーターはさぞや面倒くさいことでしょう。(笑)しかし表面を飾り立てるデザインも悪くありませんが、柱と梁が組みあがったときにその骨組みに想いが込められているとしたら、それもまた別の良きデザインだと思うのです。骨組みを全て隠してしまうのではなく美しく見せることを忘れない。最近はそんなアプローチが増えてきました。


玄関の上に跳ね出す梁成40cmの梁
 
一層、上の梁も同じように、柱ががっちりとくわえ込む柱勝ちの納まりです。

隅柱は材寸を上げて10.5cm×18cm。ごつい20knのホールダウン(引き抜け防止)金物が取り付きます。もちろん土台廻りも気密レール付きの先張りシートです。

 
金物は極力全数、指定のもの以上であることを確認します。
 
今日はV.リシッツアでOP25-NO.12。なんというテクニック!しかしショパンってどうしてこんなにロマンチックなんでしょう?