2013年1月31日木曜日

セミナーのご案内

2/6(火)北方型住宅のセミナーで北斗市におじゃまします。近隣の方はぜひお越し下さい。

セミナーのご案内

「北方型住宅をデザインする」(北方型住宅技術指導事業講習会)

優れた住宅の地域ブランドとして1988年から始まった「北方型住宅」の取り組み。中でもハイエンドバージョンの「北方型住宅ECO+」は北海道版長期優良住宅としてすっかり有名になりました。

セミナーでは「これからの性能とデザインの可能性」について300mm断熱等、今までの実践から見えて来たお話しをさせていただきたいと思います。

詳しくは(財)北海道建築指導センターHP
http://www.hokkaido-ksc.or.jp/










2013年1月30日水曜日

やっと椅子ができあがりました。

今日は「前田の家」と「発寒の家」のダイニングチェアが出来上がりました。両家の建て主さま、お待たせしてしまって誠に申し訳ありませんでした。(笑)

さっそく匠工芸の二代目と現場に納品に向かいます。まずは「前田の家」。椅子の脚の裏に傷防止のフェルトを貼って納めます。

6脚勢ぞろいした「前田の家」の椅子たち。材料は明るいタモ材でテーブルと合わせました。


こちらは「前田の家」の玄関ホールの黒板。楽しい落書き、家に遊びに来た人たちのメッセージや家族の伝言がほのぼのとして「いい感じ」でした。

前田の家の後は「発寒の家」へ。こちらは黒の布テープでちょっと北欧風の装い。材料も重厚感のあるナラ材です。

先にお使いいただいていたテーブルも少し油染みが目立っていたので簡単に紙やすりの400番で表面を削りワックスで拭き上げます。私の場合は現場で建て主さんが簡単に補修できない仕上げは特別な場合以外使いません。多少汚れても簡単に元に戻せることが毎日の暮らしには欠かせないからです。だから小さなお子さんのいる家庭のお母さん、汚してもあんまり怒らないであげてくださいね~(笑)

こちらも完成!無事納品完了です。(笑)

今日は久しぶりにモーツアルトなんていかがでしょう?
ところでなぜこの曲かって?
それはもの凄い吹雪で外はたいへんなのに家の中はこんな感じだったからです。(笑)

西野の家Ⅱ 板金工事

「西野の家Ⅱ」の外装が進行中です。ここ最近の印象とはがらりと異なり板金仕上げの外装で完成を目指します。色は北海道に馴染みの深い赤系の色ですがこの板金で外装のほとんどと小屋根をコーディネートしました。

縦ハゼ葺きという貼り方で外壁を仕上げてゆきますがこの貼り方なかなかに味わい深いものがあります。もともと板金は屋根に用いる等、耐候性の高い材料ですが、壁に使ってもとても丈夫で長持ちします。今回は赤系の色を用いましたが白系や茶系、グレー系とほとんどの色が揃います。同じ色でも葺き方や貼り方によって価格帯もさまざまですが、なんと言っても簡単に防火構造に出来るところが材料的には魅力です。敷地のほとんどが準防火地域の「西野の家Ⅱ」にとっては防火性の高い窓と外壁の選定が計画上の鍵となりましたが、こうした厳しい条件になればなるほど木造にとっての板金素材の優位性が際立つのです。

窓の周りは厚物の板金でしっかり抱きを作り、窓を壁より室内側に引っ込めます。ゆがみやぼこぼこ感が出ないように板金屋さんは慎重に作業を進めます。

北海道の風景によく登場する赤い屋根のサイロと牛舎は地域のランドマークにもなっていますよね。

こちらは以前、先輩建築家の石田悟との共同設計で建てたグループホームです。この赤系の色は曇りの日と晴れの日ではとても表情豊かに印象を変えます。

2013年1月29日火曜日

北海道新聞に掲載していただきました。

先日1/22(火)に行われたセミナーの様子が北海道新聞に掲載されました。北海道の建築文化に目を向けていただくことはとても嬉しい事ですよね。この場をお借りして心より御礼申し上げます。建築も北海道でポピュラーな農業や漁業と同じように地域の基幹産業としてまた守るべき地域のものづくりとして捉えていただくと、大きく暮らしの視点が広がります。今後ともぜひよろしくお願いいたします。(笑)


2013年1月28日月曜日

セミナー”超”満員御礼!(笑)


1月22日の「第一回北海道型パッシブハウス勉強会」では定員を大幅に上回る60名もの方々にご参加いただきまして誠にありがとうございます。またせっかく応募していただいたにもかかわらず会場に入れなかった20名以上のみなさま、ほんとうにゴメンナサイ!そしてありがとうございます。

次回も今回を上回る面白い企画を予定しておりますのでぜひお越し下さい。
当日は、建築技術協会会員をはじめ、研究者、生産者、サブコンストラクター、流通事業者、施工者、編集者、ジャーナリスト、大工のみなさんたちに加え一般の市民のみなさんにもお話しを聞いていただくことができてとても有意義な催しとなりました。

なかでもこれからの建築を担うUN40の若手建築家の皆さんが多数参加してくれたことはとても頼もしいな~と思いました。恵み豊かな北海道をヒントに素敵な建築をたくさんつくって見せてください。建築の意匠という小さな枠にとらわれずたくさんの市民を巻き込んで楽しもうとする姿勢に心より賛同しています。またそこには建築をカジュアルな文化として共有しようという新しくてわくわくする未来が見え隠れしていますよね!これからの皆さんの仕事を心より応援しています。(笑)

追伸

今後とも(一社)北海道建築技術協会ではこうした勉強会を通じ魅力的な建築文化を市民のみなさまに発信したいと考えています。北海道といえばまずは食材!「美味しいもの」が全国区ですが建築もそれに負けぬように頑張りたいと存じます。(笑)



西野の家Ⅱ 上棟式

本日は「西野の家Ⅱ」の上棟式、午後から棟梁たちは現場を片付け、紅白の幕を張ってハレの場を作ります。宮司さんに恥ずかしくないようにきれいにきれいに。でも「あれれ~今頃上棟??」なんて言われそうですが年末でなにかと忙しかったのと、大雪や寒さの影響で、年明けの断熱工事終了まで伸びてしまったのです。地元の神社から来ていただいた若き宮司さんはとても優しげな印象、一方で祭事は堂々としていてとてもよい式になりました。

数々の家の完成を祝ってきたであろう年季の入った紅白幕。現場がぱっと華やぎますよね~。

祭事を行う宮司さん。現場が安全で建て主さまとそのご家族全員の無病息災をお祈りします。



これが天井裏に納められる棟札。今度この札を見るのはいったい何十年後の誰でしょう?きっともう私はこの世にいないと思います。しかしこの札には工務店の名前や棟梁の名前と共に私の名前も記されています。50年後か100年後にこの家が解体されたときに「なーんだ」と笑われぬようにあと少し現場のみんなと精一杯頑張ります。
お忙しい時期にもかかわらず、現場のために心のこもった上棟の催しを開いていただきました建て主さまとご家族の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。もう少しだけお待ちくださいね~(笑)。

2013年1月24日木曜日

西野の家Ⅱ 気密測定第一回目

「西野の家Ⅱ」の気密工事が終了し、第一回目の測定を行いました。まだまだ一般的な木造の現場ではなじみの薄い気密測定ですが弊社ではすっかりおなじみになりました。繊維系の透湿抵抗の低い断熱材(一般的な綿状の断熱材)を用いる場合はある特別な場合を除き室内の湿気が壁内に逃げ込まないようにビニールを用いて気密工事を行うことが必用です。

「西野の家」Ⅱは24時間換気にパッシブ換気、その他はパイプファンや天井扇を用いていますから躯体を貫通する箇所が増えます。そこでアクリルテープでしっかりと管の周りの気密を行います。

居間の下の床が「外気に接する床」となる箇所を念入りにシーリングする武田社長。


おなじみDr.タギによる計測中の様子。

結果はC値で0.2cm2/㎡。ほとんど機器の計測限界。さすが武田社長!(笑)ちなみに武田建設さんの現場は0.2と0.1しか最近は出ないです。つい最近までは1.0の気密を下回るのが難しいとされていましたがそんな時代が懐かしくなるほど木造の工法は大きく進歩しています。

2013年1月21日月曜日

建築技術誌に掲載していただきました

 「札幌版次世代住宅基準」についての記事を「建築技術1月号」に掲載していただきました。

国に先駆けて始まった札幌市独自の省エネ住宅への取り組み。世界屈指の先進国でありながら住宅建設部門の省エネは遅れが指摘されている日本において各地の取り組みが注目されています。

詳しくは建築技術HPへ http://www.k-gijutsu.co.jp/




2013年1月19日土曜日

私の考える 「北海道型パッシブハウス」講演会のご案内

私も所属する、(一社)北海道建築技術協会主催の勉強会に講演者として出席します。当日は様々な分野で建築に関わるみなさまと意見交換できることを楽しみにしています。300mm断熱の家もおかげさまで10棟目となりました。その中で明らかになった意外な?お話し、新たな視点で問い直す「断熱の未来」、「断熱」をきっかけに発見した各部の新たなディテール(特にこれから求められる開口部のトレンド)、断熱を新たな計画言論として自らの建築に取り組んだE.アソシエの仲間たちの話、プロジェクト別の各チームから施工者、生産者やパートリーダーたちの話をしたいと思います。ぜひいらしてくださいね~ 一般市民のみなさまも大歓迎です!(笑)


日時:2013年1月22日 13:30~(詳しくは添付ファイル参照)

2013年1月15日火曜日

西野の家Ⅱ 各部確認!


本日は準防火地域に立つ「西野の家Ⅱ」の各部分を確認しに来ています。日本で建物を設計する場合、なんと言っても配慮を求められるのが耐震性、次に防火性でしょう。「西野の家Ⅱ」では外壁は全て「防火構造」、建物で延焼の恐れのある部分に設置する窓は防火窓(防火設備)、外壁を貫通するパイプで一定口径以上は防火ダンパーが要求されます。特に防火窓は断熱性の良いものが少ないので悩ましいのですが、この北欧製の窓は国内の防火窓の認定も取得しているばかりか、抜群の費用対効果で価格、デザイン、性能を高度に両立することが出来ました。
寝室をわずかに暖かくするために部分的に床下に敷設した樹脂製の暖房用パイプ。(本来はコンクリートに埋め込んで使いますが今回は床下のコンクリート上に置いて用います。


最近は1階の床下の点検を容易にするために大きな床梁(大引)を用いません。その代わりに鋼製束と呼ばれるつっかえ棒を細い梁の下に取り付けて床のたわみを防止します。注目するのはコンクリートとのつなぎ目。接着剤を用いて不用意に束がずれないように配慮してあります。

一見、頼りなげですがこれで床が上下にたわむことはありません。

切断面がきれいな新型グラスウール。張りが強く形状の安定性も抜群。隙間なく施工することが簡単になります。

この防火窓の優れているところは、ガラスに網入ガラスを用いないで防火認定を取得しているところ。街中のマンションや繁華街のお店なんかを見ると気づきますが、日本の場合は防火用のガラスはこの網入りが普通。それなのにわざわざ高価な結晶ガラスを用いて認定を取ってくれるなんて...ガデリウスさんありがとうございます。(笑)

室内から屋外に跳ね出す天秤梁。窓の外に2m以上も張り出した庇が折れないように支えています。ちょうど窓の上の梁が、室内から屋外に跳ね出してゆく梁を受けているのが分かるでしょうか?

こちらはおなじみの通気部材ですが、防火地域専用のもの。火災に合うと内部の耐火発泡剤がふくれ、空気を遮断して延焼の拡大を防ぎます。

内部に見える耐火発泡剤が見えるでしょうか?


こちらはおなじみシート防水の0勾配屋根(通称:小室屋根)の最先端部分。立ち上がりが雨水を右側に落とすのを防ぎます。

最近こだわっているのがこの軒先の薄さ。シャープに丈夫にデザイン性と強度の求められる部分ですので色々と考えながら進化させてきた納まりです。下に先ほどの防火用の通気部材が見えます。

今日はパリスマッチなんていかが? http://www.youtube.com/watch?v=vOH76AqxwrQ



2013年1月9日水曜日

U型テレビのロケ

本日は、建築家の大坂さんのピンチヒッターでU型テレビ(毎週:月~金15:55~UHB)のお手伝いに行ってきました。 私は一応、専門家の役です。(笑)

ずばり今年の寒い冬を乗り切るために手軽に出来る工夫の数々を検証する企画!

実際にどうやって確かめるのか?というと...

工業試験場からサーモグラフィー(熱画像カメラ)を持ち込み、家の各部の温度差や食前食後の体の温度変化を見える化し、それぞれの工夫の効果の程をレポーターさんと私とで検証してゆきます!という かなり本格的な内容。

温度を色で現す熱画像は分かりやすくて面白い!ということを再認識しました。(笑)

断熱処置したガラス(向かって右)としないガラス(中央)、断熱性の高いカーテン(左)の表面温度を見える化する。赤は高温。反対に青は低温を示している。

熱画像カメラ本体。今回の企画に大活躍!

カメラマンさん、音声さんの影の苦労にはほんと頭が下がります。レポーターさんやスタッフのみなさまほんとうにお疲れさまでした。

でもロケってたいへんなんですね~、人数も多くてびっくりでした。ちなみに明日、1/10(木)に放送予定とのこと。いつもながらへたくそですがお時間のある方はぜひご覧下さい。(笑)

2013年1月8日火曜日

西野の家Ⅱ 断熱工事その他

そろそろ新年の気分も抜け、再び通常速度に復帰した「西野の家Ⅱ」の現場です。現在はすっかりおなじみになった「ほとんど3軒分断熱工事」(笑)に取り掛かっています。既に外貼り断熱の14cm分は完了し、かなり断熱材が減った状態でも、ご覧の通り2階の天井に届きそうな勢いです。写真だけ見ると「使いすぎでは?」とお思いの方も多いと存じますが、実際はその反対。こんなに寒く、近年は夏さえも厳しい地域なのに北海道で一般的な断熱仕様は本来必要なものの半分程度に過ぎないのが残念です。

世界的な潮流から見れば、地域を問わず建築の要点に「広義の断熱」の概念を据えるのは常識になりつつあります。従来のように寒さのみを撃退しようとして消極的に行う断熱は誠に後ろ向きな感じがしませんか~?(笑)

そんな心の奥底には、必ずといってよいほど 「本来、寒くなければしたくないのに」 という恨み節的な意識が生まれます。おなじく「北海道の建物は高断熱高気密!」といった根拠に乏しい「勇ましいイメージ」も同様です。類似した気候を持つ他の国の住宅と断熱の水準や気密の数値を比べて高低を論じるなら分かりますが、北海道の建物を根拠なく「高○○、高△△」とイメージ化して発信することは誤解を生むばかりかむしろ自らのよさを損なわないか心配です。

そろそろ意識を変えませんか!

断熱を単なる「冬の寒さの欠点対応」と狭く捉えることをやめて、一年を通して欠かせない住いの知恵と考えるとまったく違った景色が広がります。

寒さばかりか暑さを防ぎ、平時は燃費良くエネルギー消費を改善し非常時には自宅非難の容易さと生存率も高めます。部屋同士の温度差を穏やかにすることでヒートショックによる事故を減らし、暖房機の周囲のみならず家全体を生活の場として使うことが可能となります。精神的には寒さを楽しむ余裕が生まれ、その余裕が従来ネガティブな印象だった冬を豊かな恵みとして再認識させてくれます。

断熱はたいへん簡単で地味であります。 ダ.ン.ネ.ツ...響きも冴えません。(笑)

しかし現在、困難といわれている多くの問題を解決できるポテンシャルを秘めている古くて新しい概念なのです。


日射遮蔽(窓からの日射で室内がオーバーヒートすることを防ぐ工夫)と雨や雪から高価な木製サッシを守るための庇も完成しています。

写真奥の赤いミシン目が防風透湿シート(*:この下に外貼り分14cmの断熱材があります。)、次が通気層、一番手前のベージュ色の板が石膏ボードです。

こちらは石膏ボードを貼る直前の写真。四角い穴の中を空気が通ります。

昨年12月に完成した「発寒の家」ではサッシの組み立てと取り付けを専門の職人さんが行いましたが今回は接合部分も含めてU棟梁の指揮のもとに大工さんたちが行います。私が選ぶ木製サッシは主にガデリウスのエリートフェンスターが多いのですが、それらの特徴を熟知し考案した接合部分を確認してゆきます。

写真は4つのサッシが集まる接合部分。設計で最も重視しているのは後から容易にサッシを交換できるように納めることです。残念なことに北海道で一般的な樹脂サッシのほとんどは後に交換することを考慮したものではありません。今後開口部は現在より遥かに性能の良いものが出来るでしょうから、その時に建て主さんが困らないように室内側からカームスクリュー(木の変形を調整できるタイプの金具)と木ねじを用いて取り付けます。

こちらは屋外の独立柱の足下です。今回はバフ掛けしたステンレスで作ってあります。

壁から約50cm突き出る庇は内側に補強のプレートを入れて、大人が上に乗ってもびくともしないように改良してあります。