2012年8月30日木曜日

発寒の家 基礎工事その2

今日も暑いですね~(笑)、札幌版次世代住宅基準のハイレベルを狙う「発寒の家」。連日の快晴の中、順調に工程を消化しています。本日は打ち込みが終了したばかりの布基礎部分の確認と次の工程となる床スラブの確認に来ています。昨年の3.11を境に大きく変わりつつある私たちの暮らしとエネルギーの関係。私自身も自らの設計を見つめ直す大切な契機と考えています。50年後この仕事はどんな評価を受けるのだろう?より長期的な視点に立って物事を考えられる頭を鍛えたいと思います。「そうは言っても、目先の事の中にもたくさんの気付かない大切が隠れているんだろうな~?なかなか全部は見えないけれど。」そんなことを最近よく考えます。

「発寒の家」の基礎断熱は外貼りに18cm、内貼りに7cmの合計25cm。写真は外貼り用の18cmのもの。

左より断熱材7cm+基礎15cm+断熱材18cm=40cmの基礎厚さとなります。こうすることで1階の床は年間を通じて平均した温度を保つことができるようになります。冬場の快適さは当然として、夏場は特に絶大な冷涼効果を体感できます。コンクリートや石材のように熱容量の大きな材料は、必ず断熱と組み合わせて、温度変化を小さく抑えて使うことが大切です。

今日は昨日見た映画から、バックトゥーザフューチャーより。
100年後に行って街を見てきたいものです。(笑)

2012年8月28日火曜日

道新ニュースに登場

明日、8/29(水)17:15~の「TVH道新ニュース」にペーパーウッド(エコシラ合板)の話題で弊社設計の「菊水の家」と一緒に放送される予定です。かなり恥ずかしいのですが、クライアントさん私、生産者の瀧澤さん精一杯、収録を頑張りましたのでぜひご覧下さい。きっと一瞬だとは思いますが...(笑..汗...)。

2012年8月27日月曜日

前田の家 基礎工事

連日の暑さにもめげず、快調に工程を消化する「前田の家」。基礎のコンクリート打設直前。まずはいつもながらコンクリートに最初に隠れてしまうところを見て回ります。現在は、瑕疵担保責任賠償保険への加入が法律で求められるようになったことから、私の他にも、保険法人の検査員が配筋を確認するようになりました。1枚の設計図を建設会社、設計事務所、保険法人の三者でクロスチェックすることになります。他人に現場や設計図をチェックされることは緊張もしますが総合的な観点から見ると良いことです。特に構造的な部分は複数の目で確認し客観的に不足がないか確認する決まりごとを普段から癖付けること(システム化)はとても大切なことです。

配筋チェックのポイントは交差部分。定着長さや重ね継ぎ手の関係で鉄筋が混み合うところ。鉄筋が型枠に近すぎないか、コンクリートが入り込めないほど鉄筋が混雑しすぎていないか、間隔は指定寸法以内か等々、次々に確認して行きます。

重ね継ぎ手とされた隅角(コーナー)部

設備の管が出入りする部分には予め筒抜き(ケーシング)をしておきます。

現場に搬入された基礎断熱材。前田の家では外貼りに180mmの厚さのものを使います。このクラスの厚みになると現場での切断加工はとても難しくなります。現場での生産性を落とさないためには工夫が必要になります。現場所長の腕の見せ所ですね~(笑)。

今日は暑いからとうとう叫びたくなってしまいました。(笑)アアア~ア~!
というわけで今日はツェッペリンなんていかが?

2012年8月22日水曜日

TVHさんの取材

先週末は菊水の家でTVHさんに取材をしていただきました。今回のお題はペーパーウッド!白樺を再生してつくる美しい積層合板ですっかりおなじみの瀧澤ベニヤさんそして建て主さんと仲良く月末の番組に登場する予定です。少々お恥ずかしいですが、スケジュールが決まりましたらまたお知らせしたいと存じます。

ペーパーウッドを使ったキッチンを撮影している様子。今まで気にしていませんでしたが、ほんとうに長時間カメラって回すんですよね~。それが番組では2~4分に圧縮されるというのが現実で「実はすごく効率悪くてアナログなんです!」とのこと。なんだか誰かの仕事とも似た世界でした。

エコシシラ合板のデザイン性をさらに高め着色した再生紙を挟んだ「ペーパーウッド」写真の左下が、ノーマルのエコシラ合板。それ以外がペーパーウッド。一色~三色使いのバージョンが存在し色の組み合わせは無限大。渋い感じの多い木質素材の中では群を抜いたポップでカジュアルな印象となります。

断面はほんとうにきれいで、設計(デザイン)が楽しくなりますよね~(笑)菊水の家では一般部分にエコシラ合板、キッチンと食卓テーブルのセットを「ペーパーウッド」で作りました。ところでみなさんはなにを作りますか?(笑)

瀧澤ベニヤの二代目、貴弘氏曰く「今年あたりはそろそろブレイクしてほしんですが~」そんな願いを込めて今日はこんな感じで!


2012年8月21日火曜日

トマトステーキ

今日のお昼はトマトのステーキ!実は先日TVで紹介していたものをアレンジしてみました。すごく簡単でもの凄く美味しかったのでお勧めです!

一人分は中くらいのトマトを横二つ切りヘタはくり貫いて取っておく。にんにく一かけのスライスを大匙2杯のオリーブ油でじっくり弱火で炒め、香りが出てきたらトマトを投入。裏を焼いたら返して両面を焼く。

にんにくがきつね色になり、香ばしい匂いに変わってきたらピザ用チーズを投入。蓋をしてチーズが溶けたら出来上がり。(チーズは多少焦げるくらいが美味しいです!)フライパンの余白でソーセージや色取りの良い野菜を一緒に焼くとさらに手間が掛からず簡単。熱々をお皿に持ってさあ召し上がれ~(笑)

この暑さじゃ~やっぱラテンビートですよね~(笑)

発寒の家 基礎工事

いよいよ、第一回目のコンクリート打設が近づいた発寒の家。今日は配筋検査に来ました。鉄筋の径や間隔、継ぎ手の長さ、使用部位ごとの本数を確認して行きます。
敷地の奥から見たところ。手前の土の向こう側にベース部分(基礎の底盤)の型枠が見えます。


拡大写真がこれ。地面に水糸を張り、しっかり中心線を出して行う精度の高い仕事です。住宅の基礎は大切な部分。丁寧な仕事が欠かせません。


2009年以降、弊社では特に理由がない限り、二階建ての基礎は、鉄筋の本数を割り増しした長期優良住宅仕様のものとしています。上の写真はその部分。一番上の鉄筋が二本あるのが割り増し部分。第一回のコンクリートで隠れてしまうベース部分ともどもしっかり確認しておきます。

本日は夏の夜のラテンなんていかが?

前田の家 杭工事

昨日の大雨で一日ずれた杭工事。今日は朝から頑張りました。支持層(建物の加重を受け止められる硬くて安定した地盤)まで地表から10m程度あるので、杭も二本連結で打ち込みます。長い杭一本で打ち込んだほうが手間も減りますが、杭の長さが増すと杭の自重も杭打ち機も大きくなります。雨の後で地盤の緩んだ敷地の中で重量の大きな重機を使うと転倒やスタック(ぬかるんで身動き取れなくなること)が心配になります。そんな理由から連結杭を選択したI所長。安全第一ごくろうさまです!

小型の杭打器による打設の様子。近年は周囲への騒音や振動の懸念から打撃工法はほとんど行わなくなりました。従って意外に静か。そうは言っても今日一日で60本打ちました。

今日は待ちに待った着工を祝ってフォリナーなんていかがでしょう!

2012年8月17日金曜日

前田の家 地鎮祭



本日は、「前田の家」の地鎮祭でした。敷地の草を刈り、祭壇を設えて宮司さんを招き、建て主さんとそのご家族の無病息災、併せて現場の安全を祈願していただきました。仕事柄、地鎮祭には毎年参列するのですが今年はまた穏やかでよい催しとなりました。来週から杭打ち、いよいよ着工です。この場をお借りしてチーム前田を代表し、心よりお喜び申し上げます。
現場を担当するのは㈱剛建築工房さん。昨年の「宮ノ丘の家」、今もって高い人気を誇る「ニセコの家」を作っていただいた建設会社さんです。おなじみのI所長とM主任に腕を振るっていただきます。チーム前田の活躍もぜひご期待下さい。

宮司さんの朗々と響く祝詞(のりと)を聞きながら、無事に完成することをお祈りします。

全員にお払い。

「えい、えい、えいっ!」と掛け声をかけながら鎌(カマ)、鍬(クワ)、鋤(スキ)をそれぞれ三度づつ振るい、盛り砂を少しづつ崩します。ちなみにそれぞれ、設計者、建て主、施工者が受け持ちますが、これは建て主をはじめ工事に係るたくさんの人々の協力する様子を象徴しているようにも思います。式のあとの建て主さんの晴れやかな笑顔が印象的でした。

今日は、中孝介の「花」!奄美の歌声って聴いていて涙が出そうになりますよね~(笑)


2012年8月14日火曜日

宮ノ丘の家と家庭菜園

先日、「宮ノ丘の家」にお伺いしました。目に飛び込んできたのは立派に実った家庭菜園!上の写真がその時の様子です。誰かの?(笑)一年目とは大違いの大豊作状態。トマトもナスも鈴なり状態。ダイコンなんて売っているのより立派なくらいです。写真手前はジャガイモ。葉が枯れるのが待ち遠しいですね~。

ナスも立派な実を付けてます。揚げナス、焼きナス、糠漬けや煮物も美味しそう!夏の味ですよね~(笑)。

おダイコンもこの通り、しっかり頂いて帰りました。

お伺いしたときには、奥さまのほかに、お友達も一緒に畑仕事を楽しんでおられました。なにやらお話しを聞くと、畑や農作業がお好きとのこと。最近、若い方々の畑に対するニーズが高く、私としては実に嬉しい限りです。最近の高速化した時代の中で、ちょっとめんどくさく、時間が掛かる(そうは言っても2ヶ月程度ですけど...)ところがよいと思いませんか~?

初めての家庭菜園、初年度から大豊作はずれなし!となるように、ガーディナーの小坂さんがピートモスを土壌改良剤として添加してくれた良質土。ピートモスは効果が大きい反面、酸性が強いので石灰で丁寧に中和し、米ぬかを主体とした有機肥料により畑土としました。ちなみに、敷地にもともとある土を改良しここまで作物が育つようにするには何年も掛かります。小坂さんの調合土、大成功ですね~(笑)。

今日は田園!ベートーベンじゃなく玉置さんのほうで(笑)

2012年8月8日水曜日

前田の家 着工に向けて



着工直前、準備万端の「前田の家」です。小さくかわいい三角屋根の家ですが、ライフスタイルの変化にも対応できる可変性の高い室内と親世帯から子世帯へ住み継ぐことができるように工夫した間取りが特徴です。具体的に...

「前田の家」では、吹き抜けを増築スペースに割り当てたり、天井裏を作らない事で天井高を最大にしたり、非常に小さな外観ながら可変性の高い大きな室内になるよう意識しました。子育てに要する20年程度で陳腐化せぬように耐久力のある骨格をしっかりデザインすることを基本的なテーマとしています。

「前田の家」とは?計画編...について
敷地は、地盤が緩く、地下水位も高いことから一階の床を防水性と耐久性に優れるコンクリート製としました。これにより玄関とホールの間に生じる段差を完全になくしバリアフリーとすることもできます。また室内側に開放されたコンクリートの床は大きな熱容量を生かして夏涼しく、冬暖かな設えとして人気があります。二階の吹き抜けの水平窓からは手稲山の山頂が真正面に望めますが、この絶景は物干しスペースで毎日働くこの家の主婦のためのものです。天井は外貼り断熱による木製スラブによって軽快なリズムを刻み、家全体に連続させました。1階LDKの前に置かれた木製デッキやキッチンから使える屋外物置は最近の間取りの中では特にリクエストが多いものです。夏の週末、家族や仲間が集まって炭を囲み焼肉を楽しむ風景は北海道の短い夏の楽しみですが、その場所がいかにも貧しいこと(ガレージの中で煙まみれとか?/笑)が設計者としてずっと気になっていました。そんな理由で始めた木製デッキの提案ですが、ずいぶんと近年では受け入れられるようになってきました。食材の保存や道具の出し入れのようにBBQに関連する事柄をさばけるように動線を工夫するとさらに使い勝手がよくなります。屋根は切妻の三角屋根ですが無落雪です。最近は勾配屋根も陸屋根も基本的には無落雪しか作っていません。理由は落雪によるメリットよりもデメリットの方が多いことに気付いたからです。「前田の家」でも無落雪とすることで本来出入り口が難しい、平入り(雨が落ちる方向)の玄関としています。



建物位置が明示され杭打ちを待つばかりの敷地。

「前田の家」とは?性能編について
一般的に30年前の家を見て感じることは、熱に対する備えの不十分さです。暑過ぎる、寒過ぎるが当たり前で、現在の水準に引き上げようとすれば相応の出費も覚悟せねばなりません。冒頭の子育て終了後融通の利かない間取りに加えて、こうした基本的な備えのまずさを私の世代の設計者は自覚し、率先して改良に務めるべきだと思っています。たかだか30年しか経っていない家で、寒い暑いが理由で住めない使えないなど、やはり今後は恥ずかしいことだと思います。そこで「前田の家」では、これまで研究してきた成果を結集して簡単リーズナブルに300mm断熱を提案することにしました。5年前までは300mm断熱などというと変人扱いされたものですけど、ここ最近はむしろユーザーサイドでの関心が高く、驚かされます。弊社では建物の断熱性を特別なものではなく基本的な備えと捉えているので、平均的坪単価で実現できる300mm断熱の確立は事務所の目標としてきました。現時での計算ではQ値は1w/㎡k(自然換気)程度、札幌版次世代住宅基準のスタンダードレベルをクリアする内容となっています。

今日は、男女のサッカーオリンピック代表に贈ります!毎晩夢をありがとう!でも眠い(笑)



2012年8月3日金曜日

「発寒の家」着工に向けて



 いよいよ着工を迎える「発寒の家」。解体が終了し、後は重機の搬出を待つのみとなりました。想えば2011年3月に始まった計画。当初は大規模リフォームの予定でしたが、さまざまな変遷を経て新築建替えに落ち着きました。担当するのは、おなじみの㈱丸稲武田建設さん。武田社長と内野沢棟梁をはじめ「チーム発寒」全員の活躍が今から楽しみです。

■「発寒の家」とは? 計画編...について
 「コンパクトに暮らす都市型の省エネライフ」。一言で言うとこんな感じでしょうか?(笑)敷地は発寒の中でも、道幅が狭く建て込んだ地域に位置しています。敷地を接する隣家の窓は全てこちら側を向き、また用途地域上3階建ても可能なことから上階から覗き込まれることも考慮せねばなりません。唯一離れが取れるのは道路の位置する南側のみですから、東西と北側の三方に対して極力建物を閉じつつ、採光や換気通風、プライバシーの確保や使いやすい生活動線を考えねばなりません。方針がリフォームから新築にシフトする中で、直感的に浮かんだのが南側に大きく口を広げたラッパ状の形態でした。いつもそうなのですが、敷地に立つとなんとなく建物の形状が頭に浮かびます。間取りを考えながら敷地通いを繰り返す中で、変わらない形とどんどん変わってしまう形があって、最終的に生き残ったものを提案することが多いのです。また特に建替えの場合はクライアントさんが今までの暮らしの中で良いと思っていた事を新たな間取りでも極力引き継ぐようにしています。以前の家が南側の中二階の居間が明るく暖かで気持ちが良かったこと。反面、道路からの視線が気になって昼間からレースのカーテンが必用だったことから、新しい家では居間を二階に上げ、南側の壁面を100%ガラス貼りとし明るく開放的にしつつ、居間の前に設えたテラスの格子を工夫して外からの視線が気にならないようにしています。平面的には最近リクエストの多い大きな室内土間を備え、小さな家ながら二箇所の水廻り、主寝室の他に独立性の高い客間。さらに室内からも屋外からも使える物置、吹き抜けのある二階浴室やバスコートを兼用し星空を眺められるテラス、二階に居ながら下階のことが分かるスノコ床、もちろんキッチンは山本デザイン+クリナップ直需事業部特製となっています。(笑)
日当たりのよい南側の居間があった以前の家。

解体が終了し、現場は重機を運び出すばかり。

■発寒の家とは?性能編...について
 今年は、札幌市が定める「札幌版次世代住宅基準」の施行元年となります。国が推奨する次世代省エネ基準(99年基準)は少なくとも北海道においては、当初予想された程のエネルギーの削減に結びつきませんでした。むしろ家庭部門のエネルギー使用量は増加しCO2の排出量も90年を基準にすれば3割も増えてしまっています。そんな中、北欧の先進国並みの水準でつくられたのが「札幌版次世代住宅基準」です。当初私たち「チーム発寒」もトップランナーと呼ばれる札幌版の最高ランク、Q値0.5W/㎡kに挑戦予定でしたが、私の日頃の行いの悪さが影響し補助金の抽選に落選してしまい...(笑)まあ運は運、悔やんでも仕方がないので、補助金なしで二番目のハイレベルQ値0.7W/㎡kを目指すことに落ち着いた次第です。「なんだ~2番目か~」とご心配のあなた!まあそんなに残念がらずに、けして期待は裏切りませんから。(笑)まず「発寒の家」はライバルたちに比べて圧倒的に巨大な開口部を備えています。巾5m×高さ3.5mの開口部は「チーム発寒」の開口部担当である㈱エンヴェロップの指示により北イタリアの山中で生産され、先日道内に上陸しました。Q値を下げるためにライバルたちの多くが*注「壁の面積を最大に開口部の面積を最小に!」といった悩みを抱えざるを得ない中で開放度満点!を追求したいと思っています。また換気に関しては、熱交換換気とパッシブ換気の双方を備え、電源途絶時にも必要な換気が得られるようにしています。また断熱材は、まだ市販されていない新開発の超高性能タイプを投入し施工性や竣工後のデーター収集を予定しています。日射遮蔽はおなじみの外付けブラインド、低出力のペレットストーブやLEDによる照明、オールガスによる給湯、暖房等見所満載です。

*注:札幌市の基準を簡単に言えば、年間を通じた熱収支を黒字に維持することを目標にQ値を扱うというよりは、Q値そのものの低さを重視しているといえる。エネルギーの話をするときにお金の概念を用いると分かりやすいので引用すると、省エネは、「極力必用なエネルギー(貯金)が赤字にならぬように努力すること」となる。それでは貯金を維持するためにはどんな方法が有効だろう?もちろんひとつは「1:無駄使いを減らす。」となるだろう。要はこれがQ値の概念と考えてよい。Q値が低ければ低いほど熱が逃げにくい。すなわち「無駄使いが少ない。」となる。しかし貯金は無駄使いを少なくするだけで維持できるだろうか?どんなに見直しても必要なものは必用で、使った分はどこかで補わなくてはならない。当然ながら次に「2:合理的に補充できる。」という事柄が必要なのだ。しかし使った分の熱をそれ以上のコストをかけて補充したのでは省エネとは言えない。そこで無償のエネルギーである自然エネルギー。太陽熱の利用が欠かせないのだ。必用ならば太陽光を室内に取り入れ、溢れそうなときは即座に調節できる備え。(可変性の高い断熱開口部)が欠かせない。話をまとめると、省エネにとって望ましい設計思想とは、無駄使いを抑えつつ、合理的な収益を確保する。というように一見矛盾する事柄の両立といえるだろう。確かにQ値は省エネを語る上で大切な指標であることには違いないが、下げることにこだわるあまり、開口部を小さく絞りすぎると、豊かな太陽エネルギーが目の前にありながら、化石エネルギーで補うしか選択肢がなくなってしまう。実は、可変性を有する大きな窓にこだわるのはこんな理由からなのだ。特に先進国でありながら、電力の生産方法をまだ市民が自由に選択できない社会においてはなおさらである。

今日はTOTOなんていかがでしょう?