着工直前、準備万端の「前田の家」です。小さくかわいい三角屋根の家ですが、ライフスタイルの変化にも対応できる可変性の高い室内と親世帯から子世帯へ住み継ぐことができるように工夫した間取りが特徴です。具体的に...
「前田の家」では、吹き抜けを増築スペースに割り当てたり、天井裏を作らない事で天井高を最大にしたり、非常に小さな外観ながら可変性の高い大きな室内になるよう意識しました。子育てに要する20年程度で陳腐化せぬように耐久力のある骨格をしっかりデザインすることを基本的なテーマとしています。
「前田の家」とは?計画編...について
敷地は、地盤が緩く、地下水位も高いことから一階の床を防水性と耐久性に優れるコンクリート製としました。これにより玄関とホールの間に生じる段差を完全になくしバリアフリーとすることもできます。また室内側に開放されたコンクリートの床は大きな熱容量を生かして夏涼しく、冬暖かな設えとして人気があります。二階の吹き抜けの水平窓からは手稲山の山頂が真正面に望めますが、この絶景は物干しスペースで毎日働くこの家の主婦のためのものです。天井は外貼り断熱による木製スラブによって軽快なリズムを刻み、家全体に連続させました。1階LDKの前に置かれた木製デッキやキッチンから使える屋外物置は最近の間取りの中では特にリクエストが多いものです。夏の週末、家族や仲間が集まって炭を囲み焼肉を楽しむ風景は北海道の短い夏の楽しみですが、その場所がいかにも貧しいこと(ガレージの中で煙まみれとか?/笑)が設計者としてずっと気になっていました。そんな理由で始めた木製デッキの提案ですが、ずいぶんと近年では受け入れられるようになってきました。食材の保存や道具の出し入れのようにBBQに関連する事柄をさばけるように動線を工夫するとさらに使い勝手がよくなります。屋根は切妻の三角屋根ですが無落雪です。最近は勾配屋根も陸屋根も基本的には無落雪しか作っていません。理由は落雪によるメリットよりもデメリットの方が多いことに気付いたからです。「前田の家」でも無落雪とすることで本来出入り口が難しい、平入り(雨が落ちる方向)の玄関としています。
建物位置が明示され杭打ちを待つばかりの敷地。
「前田の家」とは?性能編について
一般的に30年前の家を見て感じることは、熱に対する備えの不十分さです。暑過ぎる、寒過ぎるが当たり前で、現在の水準に引き上げようとすれば相応の出費も覚悟せねばなりません。冒頭の子育て終了後融通の利かない間取りに加えて、こうした基本的な備えのまずさを私の世代の設計者は自覚し、率先して改良に務めるべきだと思っています。たかだか30年しか経っていない家で、寒い暑いが理由で住めない使えないなど、やはり今後は恥ずかしいことだと思います。そこで「前田の家」では、これまで研究してきた成果を結集して簡単リーズナブルに300mm断熱を提案することにしました。5年前までは300mm断熱などというと変人扱いされたものですけど、ここ最近はむしろユーザーサイドでの関心が高く、驚かされます。弊社では建物の断熱性を特別なものではなく基本的な備えと捉えているので、平均的坪単価で実現できる300mm断熱の確立は事務所の目標としてきました。現時での計算ではQ値は1w/㎡k(自然換気)程度、札幌版次世代住宅基準のスタンダードレベルをクリアする内容となっています。
今日は、男女のサッカーオリンピック代表に贈ります!毎晩夢をありがとう!でも眠い(笑)