2025年12月15日月曜日

マンション外断熱改修 2025.12.15

ここ数年、築深コンクリート造マンションの外断熱改修に積極的に取り組んでいる。

ご承知のように積雪寒冷地として知られる札幌市マンションのニーズが高い。戸建てに比べて、修理や管理、除排雪の容易さや利便性の高い都心の暮らしに魅力を感じて分譲マンションを選択する。隣戸に対する生活音や近所付き合い等の不安がありつつも、都心にそびえる我がマンションの雄姿に頼もしさを感じる人も多い。


その一方で、一見頑強そうに見えるマンションだが実は12~15年毎の修繕工事(修理&修繕)が欠かせない。コンクリート造は意外にも脆いのだ。さらに言うならば外壁にタイルを貼っている建物は必ず経年と凍害によるタイルの剥離や落下を経験することになる。タイル仕上げのマンションの多くが、定期修繕の際に浮いたタイルを貼りかえることが多く、遠景から見ると既存タイルとの色違いが気になる経験をした人も多いと思う。

マンションにとって壁と屋根(躯体)は雨漏りや凍害で傷むと最も修理にお金が掛かる部分でもある。したがって定期修繕の際、配分すべきコストの優先順位を下げることは難しい。これ以外にも、エレベーター(EV)や給排水管のような日常生活のインフラに当たるものにも当然ながら定期修繕は必要となる。

住民にとってこれら1:躯体、2:EV、3:給排水といった三大工事をいつのタイミングで適切にスケジュールすべきか?、必要となる修繕積立金はどの程度用意すべきか?当然ながら定期修繕を重ねるたびに建設物価は上がるのだからそれらも想定し積立金の計画的な値上げをどのように意思決定し合意形成しておくべきか?・・・思わずそれは管理会社の仕事・・と口から出そうになるが、そもそもこの問題の当事者はどこまで行っても住民なのである。
マンションによっては”揺りかごから墓場まで”・・よろしく販売会社のみならずその系列の管理会社に改修工事業者まで取り揃えて、煩わしさなし!を強調するケースもあるが、住民なら誰でも疑問に思う瞬間があるはずだ。

上のグラフを見て頂きたい。黒点線が一般的な通常改修(15年毎)を繰り返すと仮定した場合、必要となる修繕積立金の推移を示し、黒実線がその際に躯体修繕にかかる工事費の額を示している。当然ながら工事費だって15年毎に価格上昇するのだから、上昇する工事費に見合った修繕積立金の値上げが必要となる。

例えば30歳でマンションを購入した人の場合、1回目の大規模修繕工事が45歳の時、2回目は60歳の時となる。近年は働き手不足の影響で定年も延長傾向であるとはいえ、定年後の75歳で必要となる修繕積立金を負担できる住民は果たしてどのくらい残っているだろう?現実的には難しいと言わざるを得ないのではないだろうか。

そこでまだ返済能力が十分な1回目又は2回目の定期修繕を15年しか持たない通常改修ではなく、より耐久性向上が期待できる外断熱改修に切り替えるとどうなるだろう、本来ならば3回必要だった定期修繕工事を2回に圧縮してしまえば一番出費の厳しい3回目の定期修繕の時期をさらに後ろ倒しにできる(時間に余裕ができる)。もちろん通常改修に比べて外断熱改修はより高価な工事となり易いが、返済能力が健全な内に15年以内(通常改修のサイクル以内)の返済期限で可能な資金計画が立てられたとしたら十分に魅力的な方法となる。

黄色点線は毎月の修繕積立金の中からその一部を返済に回した場合の修繕積立金残高の推移を示す。従来のように全額を積み立てる訳ではないので貯まる速度は落ちるが、躯体の長寿命化が実現できるので積み上げを急ぐ必要はなくなる。躯体が傷む心配がなくなるので、躯体のために割いていた修繕積立金は余る。結果的に躯体にかかる修繕費は減る。管理組合としてはそうして安全かつ合理的に節約したお金を様々なところに回す余裕が生まれる。

市内には20年前に外断熱改修を終えたマンションが存在し、それ以降に外断熱化されたマンションも年々増えている。その多くで改修サイクルを延長することのメリットが聞かれるようになった。札幌市もこうした実績を受けて様々な施策を設けている。

札幌市既存集合住宅省エネ改修コンサルタント派遣事業(相談に対する補助) https://www.city.sapporo.jp/toshi/jutaku/konsaru.html

札幌市既存集合住宅外断熱改修事業補助金(工事に関する補助)

今日はHSCCでクリスマスカバーなんていかがでしょう


2025年12月9日火曜日

南6条の家 夏対策


夏目線の断熱気密住宅を考える。平屋は家の中央が暗くなりがち・・そこでLDK上部を1.5階分の塔屋(吹き抜け)として南側から光を入れる。もちろん暑い夏の光ではなく冬の光がより多くはいるように庇を付ける。理由は簡単で冬は主に明るさを入れたいし、反対に夏は暑すぎない程度に熱を入れたいから。なぜ暑い時期に熱を入れるのか?といえば塔屋内にあるエアコンの冷気で壁が結露しないように吹き抜け内を適切に加温したいと考えたから。もう一点はエアコンが温度(暑さ)を感じ続けられるように(まだ下階が冷える前に停止してしまわぬように)したいと考えたからです。

そもそも高断熱高気密住宅は冬を前提に発達してきたが、近年の酷暑であっても冷房の効く家として評価が高まりつつある。その反面、エアコンのつくる低温による結露やカビに注意が必要であることも分かってきた。

そんな酷暑時代の北海道のスタンダード住宅として「南6条の家」には色々な工夫を盛り込んでいます。
今日はKOIAI・・凄いです!


2025年12月4日木曜日

南6条の家 2025.12.03

 

「南6条の家」にて、エアコンを納める塔屋を足場から見る。防水はシートの0勾配。中央の2本がパッシブ換気用の煙突、右の円盤が24h換気の排気口。塔屋の左側の小庇はハイサイドライトの上部を覆う。塔屋内に日射熱を取り込むことでエアコンが停止しづらいように、また過低温による結露から躯体を守ることを考えました。

通りから見た風景はこんな感じ。窓が少なくて殺風景に感じる人もいると思いますが、実は家の前におなじみ二台分のカーポートが建ちます。要は車から降りて雨や雪に当たらずに自宅に入れる動線です。
こちらは南側の大開口。建て主さんのご要望に従って窓の上には深い庇を設けました。庇の存在って建物がヴィジュアル的に安定することはもちろん、もう一つの理由は昨今の異常な暑さ対策。従来の北国型エコハウスの常識である冬の日射熱取得の最大化(南面大開口)だけでは夏が暑すぎてたいへん・・残念ながらここ10年ほどの間に一般的な庇のない四角い家は地域の実情にどんどん合わなくなってきているということなのです。

そんな理由で、庇のない箱型から庇のある箱型に姿を変えたのが「南6条の家」。冬の暖かさはもちろんのこと、日差しの強烈な夏場も家に入る日射を減らして、しっかり冷房が効く室内環境を作ります。

今日はLexington Lab Bandでデフレパードのカバーなんていかが


本物が聴きたい人はこちら・・


2025年11月21日金曜日

南6条の家 2025.11.21

本日の「南6条の家」です。予定通り屋根の防水が終わり、外装の下地となる白い防水透湿シートも貼り終わり・・庇も宇野棟梁のおかげで完成いたしました。もう雪が来ますから、外装の木材を早く張ってしまいたい。

そんな思いで現場の大工さんたちにも頑張っていただいています。

室内では電気工事と充填断熱工事が同時に進行中です。

夏の暑さをいなしながら冬にはしっかり日が入る庇。約1m跳ね出して窓上に取り付けました。写真は南側の居室。1.2m角の窓から低い冬の日差しが入ります。

こちらは居間の吹き抜け部分。南側のハイサイドライトから入る光です。平屋は家の中心が暗くなりがち。そこで居間の上を低い吹き抜けにして床は粗目のスノコとして光を下に落とそうと考えました。

今日は久々にバンアパ・・いい曲です!


2025年10月31日金曜日

北郷の家 2025.10.31 お引渡し


今日は性能向上リフォーム「北郷の家」のお引き渡しでした。

15:00からでしたのですぐに外は暗くなり・・暖かな室内の光が印象的でした。


北郷の家のお花は黄色。毎回、事務所のある商店街のお花屋さんでアレンジしていただいています。室内に映えるアレンジのセンスにいつも感謝しています。

季節柄、ペレットストーブの炎が恋しくなる今日この頃・・(株)ケイズの井上さんによる丁寧な取説です。住まい手さんはセントラルヒーティングの住まいは初めてとのこと。今までのお住まいは寒かったそうですから、セントラルヒーティングの穏やかさよりもストーブの高火力に体が慣れています。そんな経験が長いと、新居に越しても、慣れるまでの1~2年は家が寒いと感じてしまい易い。そんな時に炎の存在は暖かさを連想させるうえで大変分かり易い。じゃあ2年後にはストーブなんて使わなくなるかといえばそんなことはなく、むしろセントラルヒーティングを調整しながらペレットストーブとの気持ちの良い塩梅を各家庭ごとに見つけて行く・・各人焚き方は様々でも、不思議なことに全員に共通するのは冬が大好きになることです。

午後四時過ぎですっかり日が落ちる今日この頃、ストーブの炎に癒されます。奥さまの「ずっと見てられますね/笑」という言葉が印象的でした。

今日はもしもカシオペアがYMOを演奏したら・・面白いすよ/笑!



南幌まちなかの家Ⅳ 2025.10.18 お引渡し

 

10/18は南幌まちなかの家Ⅳのお引き渡しでした。いつものようにお花を買って、竣工図一式と、各届け出の製本を持って伺いました。

今年は4月から建築基準法の大改正が施行され、混乱の中の着工となりましたが初めてご担当いただいたネオス建築さんの奮闘で無事現場を納めることができました。

この場をお借りして現場をご担当いただきました中野所長さん、タイムラプスを撮影していただいた広報の泉さん、いつも大らかにお打ち合わせを進めて頂いた佐藤社長、そして南幌にて4棟目のご指名を頂いた建て主さまに心より御礼申し上げます。

いよいよ北海道でも本格的な夏対応(全室冷房)が求められるようになり、通年型のパッシブ換気や深い庇による日射遮蔽、縦格子による視線と西日の制御等々・・従来の冬目線に加えて夏も気持ちの良い住まいが益々求められるようになっています。そうした新たな挑戦の機会は、自身の設計にとって大きな転換点になりました。

もうすぐやって来る冬もきっと暑いであろう来年の夏もご家族全員で気持ちよく過ごしていただけるといいなと思います。

写真は新宮商行さんによる薪ストーブの取説。薪ストーブを楽しみながら、安心して調理ができる家は今でも意外と多くありません。パッシブ換気による柔軟な燃焼用空気量の増減でC値が0.3cm2/㎡といった超高気密な室内でも安心して炎を楽しむことができます。

ぜひ、今シーズンから薪ストーブライフを満喫してほしいです。

今日は、最近はまっている「もしもシリーズ」・・えっYMOなのになぜベンチャーズ?/笑


2025年10月19日日曜日

北郷の家 2025.10.19

 

性能向上リフォーム「北郷の家」がもうすぐ完成します。上の写真は縦格子の付いたテラスをアプローチ空間から眺めたところ。居間の前に用意された半屋外の空間は一年を通して大活躍します。

光と視線をある程度通す方法でテラスを覆うのがコツ。こうすることで屋外の解放感と通りからの覗かれ難さを両立できるからです。なぜ両者の両立にこだわるのかといえば・・質の高い空間(こんな空間あったらいいなあ~と思う空間)は覆い方の工夫で決まるからです。

要は単純に壁と屋根で覆えば単なる室内になっちゃう・・でも屋根は付けるけど壁は空気と視線、光が出入りできる程度にあえて粗く作っておく・・そんな風に覆い方に濃淡を付けると・・昔はなかった空間が出来上がります。

屋外から覗かれにくい空間があると・・風呂上がりに薄着でくつろぐもよし、BBQをするもよし、洗濯干し場や、食品の一時貯蔵、冬場に自転車を置いておく等々・・様々に使えます。季節ごとの設えが多い北国だからこそ、こうした半屋外の空間が大切!寒いから大きくて暖かい室内が何より重要・・なんて以前は信じていましたが、丁寧に暮らしを観察するようになってからは室内以上に半屋外の空間に目を向けるようになりました。

こちらは段数を増やして架け替えられた階段。日本の住宅の良くないところは・・急な階段。1階の暮らしを重視する人が多いせいで、とかく無視されがちなのが二階への動線の質。急な階段は安全上も室内の有効活用の観点からもお勧めできません。

布の壁紙に取り付けたスポット。織り糸の黒と呼応していい感じです。

床下に設置された暖房配管だけで家中で必要な暖房熱はあらかた供給が可能となります。でも、長い冬を楽しく過ごすためには炎の暖かさで室温の仕上げをしたいと思います。

キッチンより吹き抜けのあるダイニング方向を見たところ

こんな風に1階の縦格子からの明るさが減っても吹き抜けに設けたハイサイドライトから光が落ちてきます。

今日は汐れいら・・なんていかがでしょう


2025年10月4日土曜日

北郷の家 2025.10.04

性能向上改修工事「北郷の家」は現在内装工事中です。クロス屋さんが現場に入り、高いところから(天井から壁へ)順番に作業を進めて頂いています。

住宅街に少し異質な木外壁が現れました。この木外装・・以前もご説明した通り北総研(旧道立寒地建築研究所)による防火木外壁として防火構造認定を取得したものですので、一般的な住宅街(22条地域/屋根の不燃化地域)や準防火地域(外壁は防火構造以上+所定の開口部は防火戸とすべき地域)でも木張りの外装が楽しめます。

自らの室内から自分の家の外壁を眺めるという少し変わった体験ができるように、別棟のアプローチ棟はコの字に中庭ができるように考えました。

クロスの上に壁紙が貼られて行くと見る見る工事現場が人の住処に変わって行きます。

1階のLDKの天井もきれいに貼り上がりました。

壁紙が決まってくると大工さんの丁寧な仕事も相乗効果で際立ちます。

こちらは、階段下の出入り口とその上部にミニ仏壇を格納する造作ですが細部をよく見ると・・・・・

枠が太鼓上に美しく面取りされていることに気付きます。宇野棟梁ありがとうございます。「ただ切って組み立てるだけじゃないんだぜ~」という声が聞こえたように思います/笑。

とてもきれいに作っていただいたので見学会のご相談を建て主さんにしてみようと思います。

今日はILLITなんていかがでしょう


2025年10月2日木曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 住設取り付けタイムラプス

ネオス建築さんと取り組んできた「南幌まちなかの家Ⅳ」の住宅設備取り付けの様子です。広報担当の泉さんにタイムラプスを作っていただきました。どんどん室内になって行く模様が楽しいです。ぜひご覧ください。

内部はクロスが貼られた後、設備機器が次々と設置されいよいよ完成間近となりました!今回はキッチンとタイルの施工風景をタイムラプス版で纏めました✨

https://www.instagram.com/reel/DPNUEolks7K/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==


今日はHSCCでマイケルのカバーなんていかがでしょう


2025年9月30日火曜日

南6条の家 2025.09.29

 

「南6条の家」の配筋が組み上がりました。基礎の根掘り深さは地盤面-450mm。本来は-600mmが札幌市内の凍結深度ですが、スカート断熱工法によって凍結深度を安全に15cm緩和し、コンクリート量を抑えて強い基礎を作ります。

スカート断熱工法設計施工マニュアル/ 地方独立行政法人北海道立総合研究機構https://www.hro.or.jp/upload/24251/skirt_manual_sekkei.pdf

最も凍結の心配される基礎外周部分は基礎下が凍上せぬように土間下の断熱材を水平に延長させます。

また基礎の外周部分は基礎断面が一般的な布基礎の逆Tの字型ではなくL型となり、土間下の断熱材と立ち上がりの断熱材が連続します。

スカート断熱による浅基礎は十分な強度を持ちながら環境負荷の高いコンクリートの量を節約し基礎を作る上で欠かせない排出土量も抑えます。

こっから先は余談ですが・・ガソリン&灯油価格が安かった時代は燃費の良い車なんて人気がありませんでした。理由は単純で燃料費を気にする必要がなかったからです。

また安価な燃料価格は広い北海道で輸送コストを低く安定させ、重くてかさばる建材を全道各地に安価に配送することが可能でした。

その一方で現在の状況は真逆。燃料価格の高騰は電気代を上げ、その電力で生産される物の価格を上げ、交通費を上げ輸送費も上げています。

私は建築の設計者ですからこうした状況に対し十分な安全を確保しつつ費用対効果の求めに応じなくてはいけません。今のインフレ(物価高)を逆手にとって設計をより進化させたいと考えています。

今日はクラシックロックショーでG.ムーアなんていかがでしょう


2025年9月28日日曜日

南幌まちなかの家Ⅳ 内覧会のご案内


 春先より、ネオス建築株式会社さんと取り組んできました「南幌まちなかの家Ⅳ」がいよいよ竣工を迎えます。 この度、きた住まいるヴィレッジのルールと建て主さまのご厚意で見学会を行うこととなりました。

ご希望の方は必要事項(見学希望時)をご記入の上当事務所のお問い合わせフォームよりお申込みいただければ幸いです。

*:注 10/11.12のご同業者の見学等はご遠慮いただきますようお願いいたします。

お問い合わせフォーム https://ako-a.com/contact.html


◆「南幌まちなかの家Ⅳ」とは

令和を生き抜く世代が持つべき家

例えば35歳で家を建てたとしてローンが完済するのは70歳・・その間に家族が増えたり、職場復帰したり、入学や受験、進学や就職・・子供が巣立って一安心と思ったら、今度は両親の介護や同居に相続等々・・

僅か35年の間にここまで住まい手を取り巻く環境は変わる。というか・・これがむしろ当たり前。当然ながら・・今のあなたの思いで作っただだけの家だとすぐに陳腐化せざるを得ない。少なくとも35年後により多くの人が魅力を感じる家でなければ、長年苦労して返す数千万の工事費は、けして自らの未来を生かすお金とはなり難い。

実家の母が言っていた「子育て中は何でも自分一人でしなきゃと思って、どこにでも手の届くキッチンが理想だったのよ・・でも無理言って一人用に作っちゃったから、今娘と二人で立つには狭いのよね/笑」、父も言っていた「当時は家なんて大きな方がいいと思ったけど、光熱費も高いし今は二人暮らしなのに無駄だよね、何で壊れない断熱じゃなくて、家の大きさや壊れやすい設備にお金かけたんだろう?若かったのかな/笑」・・・

自分も開業して今年で27年。同じようなお話を散々聞いてきました。そこでどんな風に作っておけば・・住み始めから家を去るまで困らないのか?そんなテーマで取り組みました。
「南幌まちなかの家Ⅳ」には、そんな各世代の知恵に溢れています。ぜひご覧いただければ幸いです。

◆北方型住宅ZEROについて

北海道が1988年から年次改良を続けている「北方型住宅」時代の流行りに流されることなく誰にとっても大切な、快適性、ユニバーサルデザイン、耐久性、省エネ性、地域性、設計図の保管とそれらの見える化を進めてきました。その最新版である「北方型住宅ZERO」の基準を満たしています。

ZERO基準はそのベースとなる北方型住宅2020基準に10ポイント以上の更なる省エネ要件をプラスしたものですが、南幌まちなかの家Ⅳは+10ポイントとなっています。特に外皮性能のUA値:0.18W/㎡Kは国の定める最高等級7(断熱等級/UA:0.20W/㎡K)を超えるものです。

◆BELSについて

今日は小室さんのカバーなんていかがでしょう。時代を感じますよね~/笑


2025年9月25日木曜日

北郷の家 2025.09.25

 

すっかり秋っぽくなりました。本日の「北郷の家」の様子です。

工程的には内装の直前。仕上げの大工仕事が見頃です。担当するのはもちろん宇野棟梁。階段廻りは特に見せ場となります。

以前の階段が急過ぎたので、段数を増やして緩勾配とし、階段の断面がギザギザに見えるようにデザインし直しました。

こんな風に断板は24mm、け込み板は15mmの白樺合板を君合わせて宇野棟梁に作っていただきました。

単に断面を見せるだけではなく床に貼ったフローリングを階段の腰壁部分に張り上げ、断板との間に5.5mmの目透かし貼りとしました。

きらりと光る宇野棟梁の技。床のフローリングの割り付けとピッタリ腰壁に貼るフローリングの割り付けを合わせることで、水平の床が垂直に折れて腰壁に連続するように納めてくれました。
家の真ん中にある階段は採光が取りにくく、ともすれば暗い印象になりがちですがこんな風に階段の片側手すりを壁にするのではなく、光を通しやすい鉄骨の手摺を後付けする方法にすればかなり明るさや圧迫感は減る設計になります。

その反面、もちろん手間は何倍も掛かるし、難しいし階段の施工に関してはいつも宇野さんにお世話になっています。特にリフォームの場合は元床の精度がやはり現代に比べるとよくはありませんから、どうやってその狂いを全体に散らして自然な昇降感を得るかは正直、棟梁のセンスが試されます。端的に言えば・・1階の床と2階の床が平行ではない建物にどうやって平行に作った階段を掛けるのか?

図面なら意識せずに完全な水平や垂直の線が自由に描けますが・・こと現場となるとそんな幸せな場面はめったにありません。新築(機械加工のプレカット)と既存(手加工)は前者の狂いが少なく、後者は大きいというだけの話し。当然後者を自然に見せるためには、大きな狂いをいかに自然に見える小さな狂いに分散させるかが腕の見せ所となります。

キッチンのカップボードが取り付きました。

作り付けのTV台もきれいに太鼓面が取られた白樺の積層合板で納めて行きます。いよいよ来週からは建具屋さんの採寸。その後はクロス屋さんが仕事を始めます。一気に工事中の現場が家になる瞬間が楽しみです。

今日はオールスターでKARAのステップなんていかが


2025年9月13日土曜日

南6条の家 2025.09.13着工

 

「南6条の家」が無事着工しました。

チーム南6条は飛栄建設さん。もうすぐ完成の性能向上リフォーム「北郷の家」をはじめ当事務所の仕事をたくさんお引き受け頂いてきました。松田社長さん、宇野棟梁さん共々また精一杯、家づくりに打ち込みたいと思います。

さて、平屋とはいえ今年の4月から始まった新法改正の影響を受け建築確認申請の審査に3週間を要しました。以前だと1週間程度で何とかなっていたものが3倍~4倍の審査期間・・

運がよいことに今回は審査項目が2階建てより少ない平屋なのでなんとか3週間で済んだものの・・一般的な2階建てだと2か月以上掛かる・・というのが道内の現状とのこと。益々家が建てにくくなってきています。

審査期間について北海道指導センターHP https://hokkaido-ksc.or.jp/assets/files/06_event/R_BELStoshinsakikan

ここまで読んでいただいた方の中には、こんなに時間と手間がかかって大変なのかとお思いの方も少なくないと思いますが、むしろ南6条の家の場合は合理的に話が進んで無事着工にこぎつけられた好例といえます。

現地に初めてお伺いしたのが4月、今は9月ですから約5か月間。内訳は・・
基本設計   :2か月
積算&価格調整:1か月
実施設計   :1か月(確認申請+性能表示等級+BELS)
審  査   :3週間(但し、確認申請のみ)

新法改正後の混乱期にもかかわらずこの短期間で着工までこぎつけられたのは、何といっても建て主さんのおかげ。メールに対するリアクションの速さ、要所の決断力、矛盾を含む難しい判断に対する発想の柔軟性や転換力等々・・おかげさまで何とか雪の降る前に基礎工事に取り掛かれます。ここまでのご協力とご理解にこの場をお借りして御礼申し上げます。

報道等でもご存知のように今の国内は8か月連続で3%超の生活物価高騰(インフレ)が続いています。もちろん世の中のすべてが等しく3%の値上げなのではなく顕著なのは何といっても食料品です。お米が高くて買えない・・は一時期注目されました。そんな中、建設物価も上がり続けています。地元新聞が一面で建設物価の高騰による深刻な住宅着工戸数の下落やマンションの修繕費が5割も上がり改修断念の様子を報じる中、少しでも安く家を建てるためには意思決定の迅速さが欠かせないのです。


デフレ期(今思うと懐かしいですが/笑)は建築工事の見積額は1年後もさして変わりませんでしたが、現在では2か月限定が一般的です。要は3000万円のお見積もりを出してその金額で工事をお引き受けできるのは見積提出から2か月までですよ・・ということです。

昔は業者の販促目当てのテクニックと一笑されましたが、今は全然違ってそれがむしろ当たり前。今や工事費って時価なんです。

設計を担当する私たちの仕事の進め方も間取りの途中であっても参考見積を取りながら進めるように変わりました。特に面積が増える方向の建て主要望を頂いた際には、口頭にて価格上昇の可能性を告げるとともに迅速に参考見積を示して判断を仰ぐようになりました。工事費に割ける金額は最初から決まっていますから、気に入った間取りこそできたものの、後から価格的に全く折り合わないとなると必ずトラブルとなり易いからです。

住宅着工戸数17%減(道新デジタル) https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1202381/

最近、お金の話しばかりなので・・今日は美しいギターなんていかがでしょう


2025年9月11日木曜日

北郷の家 2025.09.11

 

性能向上改修工事「北郷の家」アプローチが完成しました。北海道の家って除雪の関係で塀や門が作りにくいですよね。その一方でこんな風に低層のアプローチを前面に配置するとすごくバランスよく家の構えがまとまると思いませんか。

北海道に合った通りの風景も当事務所のテーマ。もうすぐ完成です。

こんな風に主屋の玄関まで雪や雨に当たることなく通り抜けられるように考えました。


アプローチの後ろに主屋が続く構成です。

こんな風に半屋外の大きなスペースが除雪の手間を大幅に軽減します。

今回もう一つ力を入れたのが階段の緩勾配化。従来は一段の高さが20cm以上もあった階段を18.6cmに低く抑え段数を増やして架け替えました。もちろん踊り場には危険な回り段はなし正方形の踊り場としました。

2階から見下ろした階段です。踊り場に回り段がないことが分かるでしょうか?日本の家がよくないのは部屋数にばかりこだわってその部屋同士をつなぐ空間をしっかり作らないところ。二階をしっかりと使いたいのならば部屋もさることながら登り降りを楽にする階段の設計が欠かせません。例えば35歳で家を建てたとしてローンを払い終わるのは70歳。それなのに階段は一段の高さが20cm強??なんていう設計も相変わらず多い。当事務所の新築は階段一段の高さ(蹴上げ寸法)が18cm。大規模改修でも特別な理由がない限り18cm台に低くします。ぜひ実際に歩いてみてほしい。楽さと怖さが全然違います。

今日は懐かしく・・新しく・・