2009年10月22日木曜日

西岡の家 +現場につく間に

本日は、西岡の家に行く途中で素適なカフェを見つけました。

昔の建具を上手にアレンジしながら、楽しんでいるのが素適だと思わない?手作り感がまた気取らなくて、控えめで、えばった感じがないのがいいなあ~と思います。おそらくかなりのところが手作りのこういうカフェ、最近とても増えましたね~。嬉しいです。特に若い世代の人たちは僕らの頃と違って、インテリアや照明といった、建築的な感受性が高いように思います。毎日図面を引く私にとってこんなふうに建築を理解してくれる人たちが増えるのはとてもとても嬉しいのです。それが同業でなくてももちろんです。
インテリアが、建築家がつくるみたいに白くてすっきりしていないのがまた○!感激!!建築家が作るとこんな風に荷物や調度を入れると妙にきたなく見えます。ものを入れたり置いたりしたときに丁度よいくらいのさじ加減で内装を設計できるような建築家はごく少数です。でもそれがほんとうのマエストロなのよ!クライアントの家具や絵なんかが入ると、とたんに部屋がきたなく見えるようじゃお客に恥をかかせているような気がしない?そんな意味でこの絵はいい。生活の全てが見えているのに、写真を撮るとびしっとアングルが決まって絵になるでしょう?

スープは私には甘すぎたけれど、サンドイッチは美味しかったです。今は非常に珍しい赤ラワンのテーブルに無地の白い食器がとっても似合っていました。

民家を改造しているせいもあるのだろうが、茶色い木部が闇を作り出す。光大好き明るいのマニアの建築家とは反対に、だからこそむしろ光の大切さを感じる室内。暗いことはなにも悪いことではなくて落ち着きや、時代、歴史の流れなんていうものを連想させてくれる。現代の建材ではけして出すことの出来ない味わいを感じない?

本日の西岡の家、光に照らされると茶色が明るく変化します。
隠し格子を棟梁に作っていただきました。私は居間と玄関ホールの間に扉をほとんどつけません。でもどんなに小さな家でも、玄関を開けると居間が丸見えなんていうのは設計失格です。そこでいろいろ考えます。居間の食卓からは玄関戸が見えませんが、角度を変えると........

すーっと、玄関ホールの中に視線が通ります。こんな風にして空間を孤立させることなく、気になるところだけをどうにかする工夫をしています。

2009年10月21日水曜日

銭函の家 ガラス工事

本日はガラス工事です。サッシ工事とどこが違うのか?サッシは枠でガラスは枠の後ということになります。(笑)このガラス工事もたいへんです。北側に広がる美しい石狩湾の眺めを取り込みながら、高い断熱性能も両立せねばならず設計者としても実に頭の痛いところです。そこで最小限の部品でガラスを柱間に貼り付ける方法をとります。前回もお話した通り、サッシの枠はそのままだと大きな熱の逃げ道になります。ガラスをどんどん大きくしてゆくとむしろ熱の逃げ道となる枠自体がないほうが性能上は合理的になりますが、当然それには窓の専門家の高いスキルが要求されます。まさに地元の窓メーカー飯田さんの力の見せ所。特に担当者のWさんは、現場経験も豊富でキュートな女性です。数十枚に渡る、施工図を描き、私の無理な性能要求に答える開口部をデザインしていただきました。

トリプルガラスを柱の間にはめ込もうとしているところ。手前がWさん。3層ガラスともなると、この大きさで重量は125kgにもなります。運搬は当然人力。2階と3階まで男6人で運び上げます。

壁に立てかけたガラス。車のショールームなんかに比べたらたいしたことないけれど作業は見ていてかなり緊張感あります。
2枚のLOW-E(熱反射)ガラスに2層のアルゴンガス+普通ガラスで極限まで窓ガラスの断熱性能を高めます。この状態でK値は0.9W/㎡kくらい、厚さは4cmを超えます。


吹抜け部分にガラスを持ち上げているところ、大の男6人がかりです。

完成寸前の2階のガラススクリーン部分。
学生の頃、寒地住居論という授業で、「北国の住宅の開口部は熱の逃げ道だ」と教わりました。先生によっては、そんな土地柄なのだから窓などは極力小さくするのがよいとおっしゃる方もいました。しかしここ数年は、毎年窓のサイズが大きくなるばかりです。大きな開口部の気持ちよさに慣れるともう小さな窓には戻れません。「小さくすれば悩みもしないのに、大きくするから難しくなる。」なんていう人もいますが、まず性能が大切なのではなくて気持のよい自然さがあって、それを安全に実現させるために技術や性能が必要なのだと思います。カッコだけではかっこよくなく、性能のみでは味気ない。芸術でも科学でもないところに建築の奥深さと難しさを感じます。

2009年10月20日火曜日

銭函の家 サッシ工事

本日は雨、悪天候の中工事は進みます。みなさん足場の作業気をつけて!





本日は、サッシの搬入です。外部はアルミ、本体は木製の複合サッシですが、断熱性も特別に考えてあります。ガラスの性能UPのみでは限界があるので今回は、地元のサッシのメーカーである、飯田さんと議論を重ねた末、木製の断熱インサート枠を作っていただきました。

中央に見えるのが、断熱インサート、左側のアルミ枠が(外部)、右側が(内部/室内)になります。見ての通り、枠内部を熱が貫流する際に断熱材が抵抗する仕組みです。おそらく木製サッシでは世界初の二重枠スタイル。コラボレーションは様々な可能性を生み出してくれて、建築家として可能性を感じます。

ダブルスキンテラスドア、壁の厚さが40cm以上になるのを利用して、熱の逃げ道となるドア周りは、外開きと内開きを合体した作りになっています。
拡大するとこんな感じです。外戸と内戸が分かるでしょう?

西岡の家 造作工事

縦の押し縁が終了し、現在塗装中、しっかり仕上げの色を入れてゆきます。色が剥げたら素人でも簡単に塗れて何度でも新品並みに生まれ変わる外壁仕上げ、18mmの貫板を用いて定期的にメンテを行なえば50年以上、木の外壁は大丈夫。



本棚や作り付けの造作材等を加工しています。この時期になると各室の仕上げ各部の仕上げ等々の決め事をしっかり詰めておかねばなりません。
玄関の縦格子を加工しているところ。彫った溝は、材料の見付を小さく見せると同時にビス隠しに使います。材料はニレ、いいオイルを見つけたので拭きあげて木地のまま仕上げるつもりです。

吹抜けの上からだとこんな感じです。


この年代の家の特徴は階段が急で怖いこと。そこで段板の奥行きを4cm拡げ、蹴上げを3cmは低くしないと安心して降りられません。当時の平均では階段の段数は13段程度。これを15段にします。当然ながら段数も段板の寸法も増やすことで階段の全長は長くなります。反面、踊り場は狭くなってしまいます。そこで1階の窓の下枠の高さを踊り場の高さに揃え壁の厚み分踊り場を広げています。

読書家のご主人の本棚を吹抜けから見上げたところ。ランマのように空いた穴は1階に主人の気配をつたえ、昼間は吹抜けに溢れる光を天井越しに本棚の裏に導きます。中央の本棚に一つだけ空いた穴は、向かいの公園のプラタナスが中央に見えるように高さと場所を決めました。

2009年10月15日木曜日

西岡の家 家具探し

本日は旭川に出張です。11年ぶりに以前務めていた事務所で設計した家具の工場を訪ねました。社長さんには残念ながら会えませんでしたが、久しぶりに美しい家具たちを見て目の保養になりました。建物もよく手入れされていて古さを感じさせません。 旭川の近郊にある畑の真ん中に工場はあります。社長は会社の向の森の中に住んでいます。

打ち合わせロビーの様子


社長は第一級の職人です。創業当時からの愛用の道具達が展示してあります。


美しい家具たち。材料は、ナラ主体にタモ、ウオールナット、ビーチ、メイプル、セン、ニレ、チークetc、北海道で最も良質な家具の材料が集まります。肘掛のえぐりや、背板のカーブ、脚の肉抜き等々11年ぶりに見ても鳥肌が立ちます。一見札幌はいろんなものが集まるような気がするけど、家具と材なら上川盆地がやはり最高です。

2階のショールームより打ち合わせロビーを見下ろす。当時から好きなアングル。

美しいスツール。写真より本物は数倍機能的で美しい。座ると分かる。掛け心地は後ろに見える7チェアがかすみます。(笑)

2009年10月14日水曜日

西岡の家 ディテール

西岡の家も、あと少し。各部のディテールを決めてゆきます。今回は階段や床、枠等々を、得意のタモ(アッシュ)ではなくニレ(エルム)で作ります。写真はスケルトン階段の細部(ディテール)です。段板を支える力桁やコマの寸法や大きさに気を使います。部材をごつくすると強度は出ても、空間に威圧感のようなものが出て、軽やかな感じになりません。逆に華奢すぎると揺れたり不安感をイメージさせてしまいます。さりげなく、さりげなく...(笑)



吹抜けに、直接掛かる階段です。


外部から出てくる排気口のフードも今回は丸型のタイプ。壁に結露水が液ダレしないぎざぎざが分かるでしょうか?

壁の押し縁を付けた状態です。 ぐっと立体的に見えるようになります。


この縦ストライプ貼りは気に入っているので、すこし流行らそうかな?と思っています。




窓を壁より引っ込めて納めます。理由は、開口部は長期的に見ると弱点になりやすいからです。樹脂の窓と木製のもの両方を使っていますが、どちらも壁より内側に引っ込めて納めています。付帯的な効果として、窓の外枠が目立ちづらくなりよりすっきり納められます。

下部は水切を両端部を立ち上げて水が無理なく切れるようにしています。

全体を見るとこんな感じです。窓が壁よりも少しだけ引っ込んでいるのが分かります。

2009年10月10日土曜日

西岡の家 外壁工事



外壁は、トドマツの貫板18mm縦貼、もちろん板の表面はざらざらの挽きたてに外部用ステインを塗ってます。写真を見て「おっ!」と思った人はさすが(笑)。通常は無塗装の板を貼ってから、最後に塗装屋さんが塗装を行ないますが、私の現場ではあらかじめ塗装した材料を貼り、最後の仕上げを塗装屋さんにお願いしています。理由は木の裏に水が廻っても塗料があれば木は断然長持ちするからです。反面塗装を最後にすると、見えるところしか塗れないことになります。表面をノコで挽いた状態のざらざらで仕上げるのも、このけば立った状態が一番水をはじきますし、かんなを掛けたつるつるの木より2割も多く塗料を吸うからです。当然塗料の量が多い方が木材の耐久性は上がりますし色抜けも抑えられるというわけです。木はとかく腐る、狂う、割れる、燃える、等のネガティブな特性ばかりが取り上げられますが、使い方を間違えなければ、CO2を固定し、最も安価に耐久力を維持できる材料です。素人が塗っても、仕上がりがおかしくないようにカラーコーディネートしておけば、メンテも楽ですしなにより安価。ガルバリュウムもそろそろ飽きてきましたし、もっと見直されてもいい材料だと思うのですが。







デザイン上、大切なのは、各部の寸法(スケール)をバランスよく作ること、弱々しすぎても、ごつすぎてもいけません。今回の庇はすこしだけ根本が厚過ぎました。もっとこうスマートにシュッと作らないといけません。破風の板金の凹凸も少し気になります。「そんなこと建築家しか気にしない。」なんて言われますけど、見た目に丁度良いバランスは大切なのです。




吹抜けの窓から真正面に見えるプラタナスもずいぶん色づいてきました。駆け足で秋が通り過ぎてゆきます。

2009年10月5日月曜日

西岡の家 公開気密測定

昨日は、西岡の家の公開気密測定でした。家全体の隙間を測定し気密工事がどの程度成功しているかを判別します。この数字が十分低ければ、計画換気も計算通りに行きますし、室内の湿気が壁内に逃げてゆく冬型の結露も抑えられます。
ちなみに元の西岡の家ではこの隙間面積が概ね新聞紙一枚くらいでした。その結果、壁の中に湿気が逃げて柱が腐り非常に危険な状態になっていました。
新築以上を目指す「西岡の家」、検査を担当するのは、弊社の「建築物理」をお願いしているDr.T氏。あだ名じゃなくてほんとうに北海道を代表する工学博士です。残念ながら現在もほとんどの建築家が断熱や気密といった温熱性能の分野は、自らの経験に頼ったり、旧公庫の仕様規定の範囲で設計しているのが実状です。もちろん北海道の経済状況の中、厳しいのは設計費も一緒ですが、ぜひこのブログをお読みの方は相談してみることをお勧めします。かくいう私も目からウロコが落ちた一人。合理的で安全な設計が分かってきっと自信がつきますよ。(笑)


さ~てお楽しみの結果は??
家全体で25cm2、3回計りましたので、間違いないと思います。(笑)
ということは家全体で、5cm角の隙間。新聞紙1枚から名刺半分の面積になりました。
一般的なC値に直すと:25÷121=0.2cm2/㎡
新築の一般的な基準が2cm2/㎡以下ですから、10倍くらい良い結果となりました。
もちろん、一番安心したのは、棟梁と工務店の社長さん。
おもわず 「ホッ」が出てました。

2009年10月3日土曜日

銭函の家 断熱工事開始

秋晴れの中、工事は進む。

大工さんには、ほんとうに頭が下がります。

私の苦労なんて、彼らの技に比べたら小さなものです。
なんだかんだ言いながら
不完全な二次元の図面から、完全な三次元(本物)を作っちゃうんだからね~。
ブログを読んでくれている人たちにこの気持が伝わるだろうか?きっと伝わると思う。(笑)

クライアントと小さな図面の中で作り上げた建築が、日々形になる喜び!
何度経験しても飽きることのない最高のものづくり。
本日の3階からの眺め。北側に広がるこのパノラマをどうやって取り込むのか?床の高さ?窓の高さ?けっこう悩ましかったりして。(笑)

屋根の上で、寝転んで空を見るのも悪くありません。まあちょっと高すぎるけれど(笑)


南側に水平に伸びるパノラマウインドウは向いの田園の緑を切り取る仕掛けです。

一番いいところを、室内に取り込んで不必要な視線や風景を隠す位置に窓を設けます。

2009年10月2日金曜日

銭函の家 上棟

銭函の家が上棟(屋根を葺いた状態)しました。骨組みを下から見上げたのがこれ。外周部の柱は105×210で筋交いやブレースがガラスの向こうに見えないように、ロの字の筋交いフレーム(緑)をはめ込んでいます。仕口は全て金物工法でこちらの現場は、棟梁が自ら梁や柱を加工することはありません。材木業者が材料と共に接合部も加工するいわゆるプレカット工法です。コンピューター仕掛けのNCルーターで加工しますから、絶対精度は格段に高い反面、全て工場任せなので現場の融通はほとんど効きません。まあ一長一短、新築ならばそこそこいけますが西岡の家のようなリフォームの場合は棟梁自ら材の切込みを行い、きめ細かい現場合わせを行ないます。

屋根は少し変わっていて、今回は勾配0のシート防水です。敷地が道路よりも低いのに雨水と下水を分けて放流しなければならない、いわゆる分流地区、屋根の雨水を樋で集めても、ポンプUPしなければ雨水側溝に流せない土地の条件、さりとて落雪型の屋根では落雪の軌道計算でほとんど隣地に雪が飛んで、計算上アウト。そんな時に尊敬する先輩から教えられたのがこれ。やっぱもつべきものは先輩ですよね。

緑色に見えるのは、なんとアラミド繊維、ご存知防弾チョッキにも用いられる強靭な素材です。それを四隅に張ってロの字のフレームを組むとこれがいわゆる筋交いの代わりになります。北海道の構造屋さんが開発し現在売り出し中。テーマは地場産建築なので材料以外にもたくさんのノウハウコラボで作ります。

3階から見える海の景色。吸い込まれそうですね~。


ほとんどオープンな間取りのために独立柱が何箇所か出てきます。木柱だと150角にもなる断面が鉄パイプならば6cmの直径(60φ)の断面でOKです。今回は柱を華奢に見せるために見えてくる柱は基本的に60φで統一しました。

2009年9月29日火曜日

現場見学会のご案内


今最も注目されるキーワード”再生”再利用”。
建築で言えば”リフォーム”ですよね。

西岡の家は築32年の住宅を新築同様に再生するプロジェクトとして現在工事が進行中です。そんな中、中間現場説明会を企画いたしました。北海道の最先端のリフォーム事情にふれていただくとともに当日は設計者による説明会や性能向上をリアルに体験できる公開の気密測定試験を予定しています。また、補助内容等の説明も予定しておりますので、リフォームをお考えの方はぜひお越し下さい。

2009年9月28日月曜日

建築家展を終えて

旭川の建築家展は、よい経験になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。
ASJスタッフのみなさん、お手伝いで札幌より駆けつけていただいた㈱藤井工務店さま、なにより当日会場設営をしていただいた㈱橋本川島コーポレーションの担当者のみなさま、真剣に家づくりの夢や希望を語っていただいた来場者のみなさま、ほんとうにありがとうございました。みなさまの期待にそえますよう、心より努力いたしますのでよろしくお願いいたします。