2018年5月6日日曜日

北欧 換気視察の旅 その3

法務担当取締役のミカ氏にたっぷりとレクチャーを受け頭もパンパンになった後。本日の晩餐と宿泊場所であるシステムエア社のゲストハウスに到着。実はここ100年以上前の領主の館を同社が買い取り、ホテル謙ゲストハウスとして世界各地から訪れる顧客を迎える施設。もちろん相応の断熱改修と全室暖房化が施され熱交換換気による全館換気が整えられている。
 
ホテルFARNA HP http://www.farnaherrgard.se/?cookieChecked=true
 
こちらが宿泊棟の客室。アンティークな調度と暖かくて快適なバスルーム付き。窓の外は雪景色。
 
こちらがその外観。パッと見100年前と変わらないが中味は現代的な居住に対応したもの。
 
左から、システムエア社、副社長謙東アジア担当のホーカン氏、前述の法務担当取締役のミカ氏、そして今回の旅の招待状をくれた技術統括取締役のマッツ氏。
 
絶対に日本では聞けない情報交換に全員興奮!(笑) ノルドビーグ(北欧建設展2018)なんか面白いと思うよ!我が社のブースにもぜひ寄ってほしい!
 
 
晩餐はかなり豪華。
 
 
こちらは既存建物の東側に増築されたサンルーム。4月だというのに太陽が低い。
 
こちらは宿泊棟の玄関エントランス。大きなパネルヒーターがお約束。室内を玄関から暖かくする設計はなにも北欧のみならず日本でも標準になってほしい。共用部が寒い(寒くてよい?)などという設計常識は正直ほとんど意味がない。習慣とは怖いものだと思う。
 
朝は氷点下。晴れ上がった空が北欧!と言いたいが空気感はまんま北海道だった。(笑)
 
よく、古い建物は断熱改修自体が難しいと言った指摘も聞くが、まだまだ自分たちが慣れていないだけじゃないのか?そんな思いが強くなった。古いものは直して使うことが当たり前。日本とは違う。
 
こちらはロビーの階段。
 
こちらがフロント。写真は清算をして出発直前の小川氏。
 
こちらはホテルからストックホルムに帰る途中で寄ったコンビニ。もうすっかりお馴染みのサプライ(給気)用のディフューザー(吹き出し口)。どこの施設に行ってもホコリや汚れたものは見なかった。換気機はしっかりとした清掃を前提に使うものなのだろう。
 
システム天井のモジュールの中にピッタリ入るようなデザインがされている。
 
サッシは出入り口のドアも含めて全てトリプルガラス+温水パネルヒーターがお約束。こっちも北海道に似ている。さすがにコンビニはトリプルガラスじゃないけど(笑)
 
こんな感じで郊外のガソリンスタンドと一体になっているのが多い、スウエーデンのコンビニ。
 
換気はしっかり1種。こちらはトイレのドアの上にある回収空気用のグリル。要は室内の空気は一端全てWCの室内に集められそこで熱交換され外部に捨てられる。一方、熱交換された外気は前述のサプライ用ディフューザーから室内に供給されるという具合。
 
ドア上の吸気用グリルで店内の空気はWCの室内へ。
 
こちらがWCの室内から見たグリル。汚れていないでしょ?しっかりメンテナンスしていることがよく分る。
 
今日はカーリーなんていかが

2018年5月2日水曜日

釧路の家 着工


先日無事、地鎮祭を終え「釧路の家」が着工しました。道東では初めての工事なので私も楽しみにしています。遠隔地ににも関わらず、札幌まで何回もお越しいただきお打ち合わせを頂いた建て主さまと、土地勘もなく施工者の選定に苦慮していたところ八百坂建設さんをご紹介いただいたOさんに心より御礼申し上げます。今後は八百坂さんと協力してよりよい家づくりにしたいと思います。
 
さて八百坂建設さんは釧路市の隣町、白糠町の建設屋さん。ちなみに私の事務所から現場までは320km程、離れている。高速を乗り継いで約4時間。「これから現場で打ち合わせしよー」等とは気楽に言い難い距離がある。もちろん私はいつにも増してしっかり図面を描き、不要な質疑や現場での混乱が生じぬよう祈るしかない。きっと相手もどんな設計屋なのかと不安だろう。そんなことを思っていた矢先に、「基礎の施工図を描きました。」とメールをいただいた。
 
普段から現場で使えない意匠図面が嫌いな私はそのまま施工図として現場で職人さんたちが使うことを前提に意匠図を描いている。もちろん印刷物やPDFの他にデーターとしても渡す。従って担当者に一定の技量があればミスはずっと少なくなる。
 
しかしそのデーターを用いてスカート断熱の着色までして描き直した施工図が届いて感心してしまった。立場は違えど同じものづくりに携わるものとしての注意深さと丁寧さを感じる。二年前に「東光の家」でお世話になった美瑛町の清水建設さんもよかったが、今地方が大変な時代にあって公共工事から個人宅の門塀の修理、店の開店から、家づくりに除雪まで・・・要はコンクリート造から鉄骨、木造、土木・・何でもござれの地方ゼネコンはなかなか凄い。ご存知、北海道と言えども地域を問わず、公共工事の頭(主契約者)は本州大手ゼネコンの場合も多い。しかしその本州仕様の設計図を地元で不具合を生じぬように全て直し、予算も含めてまとめるのは地元の建設業の仕事でもあるのだ。今後は、お互いの経験を出し合い相手を尊重してよりよい結果を出せるように頑張りたい。
 
株式会社 八百坂建設HP http://yaosaka-kensetsu.com/
 
上が八百坂建設のK部長の描いてくれた基礎伏図。下がその元となった私の基礎伏図。床下暖房配管の位置やパッシブ換気の給気管、予熱ヒーターの位置、鋼製束の位置、土間&スラブ配筋、
各部の高さ等を5mm文字で記入する。A4に縮小しても読めるように。
 
各通り番手は設計屋の好きなX-1、Y-1は使わない。地元の木造の技術標準は、「いろは~」と「1,2,3~」だからプレカットだろうと手刻みだろうと手板の流儀通りに書く。大工さんの読めない図面に価値なんてないから。
 
今日はアッコちゃんなんていかが(笑)
 

2018年4月29日日曜日

北欧 換気視察の旅 その2

 
いよいよ始まったシステムエア社、スキンスカッテベーリ工場視察。案内役はマグナスさん。ダメもとで・・・「写真は?」と聞くと意外にも「全てOK!隠すものなんてない」とニヤリ。
 
おいおい・・グローバル企業の工場内を全て撮影していいの??まじ?
 
つーことは・・・御社の
 
最新型の全熱交換気の製造ラインやロータリー型熱交換素子の内部やドレン、凍結防止ヒーターや内部結露防止の数々の工夫、フィルターの種類や素材、それらのアジアの生産拠点までぜーんぶ分っちゃうけど・・・もし私が○○電気の回し者だったら??(笑)
 
確かに熱交換換気自体の原理は新しいものじゃない。けど生産現場はその企業が数々の失敗を元に蓄積してきたノウハウの宝庫。それを惜しげもなく「いいよ!」の一言・・
 
のっけから・・クラクラ来ました。(笑)
 
こちらは本体を製造するためのコイル。溶融亜鉛めっき鋼板。使用想定環境によって亜鉛ジンクの皮膜厚みが異なるものを使用します。
 
工場に取り付けられた顕熱型ユニット。配管は全て巨大なスパイラルコイル管。当然ながら外気導入管はしっかりと防露されている。工場内は室温16℃で管理されている。
 
本国の工場らしく徹底的に自動化され人が少ない。
 
サプライ(給気)の方向と量を自由に調整し分散するグリルデフューザー(吹き出し口)。
機能もさることながらデザインもカワイイ。
 
システムエア社の定番商品である3種のユニットを指差し、説明をするマグナス氏。
同社の製品の多くが、たとえ古いものでも内部のモーターを最新のECモーターに交換することが可能とのこと。うーん日本とはぜんぜん製品の設計思想が違う。
 
ニルセンさんが案内してくれたのは大型のユニットの生産現場。新型のGENIOSを作っている。
 
こちらは現在建設中のテクニカルセンター(実験研究棟)
 
えっ本当に中見ていいの?(笑)
 
こちらがその内部。工事中だけれど既に空調が稼動していて内部は快適。完成後にはじめて設備を動かす日本とは逆。案内はジョニーさん。
 
こちらは巨大な無響室。もちろん世界最大。扉を閉めると完全に近い無反響環境が得られる。室内に空気を満たしたまま、音すなわち空気の波の影響を受けない実験環境で熱交換後のサプライ空気の伝播や拡散をスモークとレーザーで観測することができる。
 
当然ながら、室内の空気温と熱交換後のサプライ空気の温度は微妙に異なる。これをいかに穏やかに混ぜ有害な気流感を抑えるか、要は比重の異なる空気の混合という難しい仕事を担うディフューザー(吹き出し口)のデザインを決めるために欠かせない施設なのだ。
 
この他にも反響がほぼ抑えられるので機械そのものの騒音の大きさを正確に把握することが出来る。
 
この他にも恒温実験室。要は世界中の気候をリアルに再現する施設で、機械や配管内部の湿度&温度変動を観測しホコリや汚れがどんな風に蓄積するのか、カビやウイルスの繁殖環境も再現可能とのことのようだ。
 
世界中で製品が使われる企業にとっては、むしろ当然のことなのだろう。
 
 
こちらは新型の全熱交換型ユニットのGENIOS。内部では巨大なロータリ型素子が回転している。でも凄く静か。デフロスターの熱源は電気ではなく温水。左奥の上に赤い膨張タンクが見える。平たく言えばこの機械の中に温水パネルヒーターが内蔵されていて、必要時は通水して内部を加温する。 
 
 
こちらは新しいオフイス。
 
 

様々な方向を向いたディフューザー(吹き出し口)配管施工の品質が高くインテリアみたい。基本的に隠すという意識自体が薄い感じ。
 
 
こちらは食堂。
 
天井はこんな感じで意匠的な配管が整然と並ぶ。
 
こちらはシステムエアの法務担当取締役のミカ氏。ヨーロッパや北米各国の工業規格に精通している。ヨーロッパ内でも各国の規格はかなり異なるから、製品を安定的に販売するためには共通規格化のために大元となる各国のローカルレギュレーションの研究が欠かせない。また、断熱気密空間を前提とした空調と言うビジネスの世界において万が一の事故やその訴訟に備える姿勢は当然ながら自己防衛の観点からも欠かせないのだろう。
 
「たとえばドイツの○○規格の大もとは○○で、北米の△△規格とほとんど一緒・・・・・」
 
うわ~っすげ~・・・っていう感じ。
世界中の膨大で複雑な工業規格の世界が一気に簡単になる。
 
 
「でっ!わざわざスウェーデンまで来た目的は?なにか私に手伝えることはあるかな?」とミカ氏。
 
本国で用いる空調配管の施工方法やその清掃に関する規則や手引きはありますか?
 
「イエス!あるよ・・・データー丸ごとあげるから・・・メモリ足りる?(笑)」
 
うーんミカさんありがとう。  学ぶ環境って大切ですよね~(笑) 今日はここまで。
 
今日はJazzTronikなんていかが
 
 

2018年4月23日月曜日

南幌まちなかの家 板金工事

そろそろ外壁の板貼りが始まる頃合、大屋根はシート防水ですが、小庇や見切り、水切りなんかは板金工事で納めてゆきます。写真はレンジフードの排気と庇が競るので庇の上を抜いた部分です。ここに上下開放型のセルフードを取り付けて軒天が湿気でいかれないようにします。 

上部から見ると同時給排のために管が二本見えます。
 
 
こちらはデッキを敷く梁の天端。必ず板金の笠木を被せておきます。

こちらは唐松材をウッドトリートメントで仕上げたもの。グリーン材を用いて安価に行きます。

小屋根の端部、薄い野地板を板金で包んで破風を省略します。

横から見るとこんな感じ。
 
今日はWorld Orderなんていかが

北欧 換気視察の旅

とある日、一社)北海道建築技術協会、環境・設備・エネルギー研究会にて・・・現状の「換気」に対する素朴な問題提起からそもそもの話しは始まった。

「北海道って1973年の第一次石油危機を契機に断熱の取り組みが地域に広がって、まずは全室暖房が可能になって、断熱気密の質が向上してくると、計画換気の大切さが認識されて北欧(主にスウエーデン)や北米(主にカナダ)から様々な機械換気を輸入してここまで来たよね?だから古いものだと30年以上前の一種、三種換気なんかも残っていて実動してる。ところでそれが今どんなことになってるか知ってる?」

「えーと・・・BIS講習の換気を担当している三浦先生が過去のアフターも含めて現在国内の第一人者だと思いますけど、最大の問題は汚れだそうです。中でも深刻なのは、換気器本体やグリル類はなんとか取り外して洗浄&清掃できたとしても天井や壁内に隠蔽されている配管の中までは素材やサイズの問題があって清掃は難しいんだそうです。」

「うーんだよね~。ところで、素朴な疑問だけど本国はどーしてるんだろ?、計画換気といえばダクト型が主な国では建物用途を問わず配管やその保守点検、住い手(使い手)への注意喚起等々に対する意識がずっと高いはずだし、その施工を職業とする人のためにはマニュアル。設計仕様として伝えるためには仕様書。安全や生命財産保護の観点からはそれらを縛る法令が存在するはずだよ。もちろん換気器の生産者ならそれらを全て調べた上で機器の生産を行わなきゃいけないはずだよね?」

「一応日本も、2003年に建築基準法第28条の2、要はシックハウス法が出来て国内の計画換気は全て機械換気に統一、必須化されたんだけど、これは新建材からの揮発物質の排出が目的だったから、そもそも住いの断熱気密化に対応したものじゃなかった。だから換気量が優先されたよね。そんな風に考えると”断熱気密目線”の計画換気って意外にもスッポリ抜け落ちている分野だよね?」

「たまたま北海道が古かっただけで実はまだまだローカルなお話し、でも今後は過去の過ちを繰り返さぬように、正しい配管や保守点検も含めたマニュアル化を急がないと・・・維持保全計画がそもそも不可能な「長期優良??住宅」なんかが増えて行く!つーことだよね?」

「です・・ね~」

「ところでスウェーデンにコネクションある人いる?」

「いまーす!(笑)」

まあ~要約するとそんなやり取りを経て、会員である小川氏のアテンドで旅程が計画された。

視察企業は世界屈指の機械換気メーカーであるシステムエア社。そこに北海道建築技術協会の名前でコンタクトを取った。

下記は、会談と工場視察を含め本国から届いた招待状。

署名はスウェーデンのスキンスカッテベーリ工場、技術統括取締役のマッツ氏。
こちらは見学のスケジュールが記されたもの。対応いただく各部門ごとの担当者の名前が記され、私たちのリクエストに答えて、特別に法務担当取締役のミカ氏との質疑も盛り込まれた。一日の終わりにはゲストハウスへの宿泊や副社長のホーカンレンネッソン氏との会食までがセッティングされている。
 
かくして、巨大工場の視察はスタートしました。
 
出荷を待つストックヤード。ここから全世界に向けて製品が送られる。ウーンでかい!そして驚いたのは工場内がどこも暖かいこと・・・!先進国の労働環境がどんなものかを痛感する。
 
今回はここまで・・・
 
今日はMondo Grossoなんていかが
 

 
 
 






2018年3月31日土曜日

南幌まちなかの家 断熱工事

雪が融けるとともに、強い風の吹く南幌の春が来ました。現場では屋根のシート防水が完了し、特徴的なバタフライ屋根がはっきりと分るようになりました。
 
こちらがシート防水の終った屋根。雪止めを等間隔に入れて雪が滑り全て谷部に集中しないように考えてあります。シート防水は優れた屋根ですが表面は滑りやすいので勾配を用いる場合は適宜雪止めを設置します。谷部に集まった雨水は水平部の軒先から樋で受けて地盤面へ、都市の下水インフラに負担を掛けずに自分の屋根の雨水は敷地内で浸透処理します。従来のM型スノーレーンのように屋根を破って縦樋を床下まで落とすことはしません。極力トラブルを抑え、正常進化させたM型屋根を目指します。
 
余談ですが、現在、一般的に広く普及しているM型スノーレーンは1961年に札幌在住の建築設計士である前田敏男により考案されたのが最初とのことです。当時からいかに雪を落とさず屋根に留めるか、に苦心した様子が感じられます。

大判のタイベックを屋根に隙間なく貼り、その上から通気層を兼用する垂木を置いている様子。お隣の山之内さんのブロック造外断熱の住宅の屋根です。屋根のタイベックはそのまま壁と連続しますから、たとえ屋根の通気層に雨水が侵入したとしても屋根のタイベック表面を流れ壁を伝い腰水切りから地面に排水される仕掛けです。このようにタイベックで一端、防水&透湿を完結させた上に通気層+仕上げ(屋根なら防水)を順序よく重ねて行く方法は北海道独自のものです。室内側から1:「構造レイヤー」、2:「断熱レイヤー」、3:「通気&仕上レイヤー」の順で考えます。たとえば持ち送り梁のようにタイベックを破って上部の垂木を支持するような構造は最近では珍しくなりました。

広幅の0.2mmの厚手ビニルで室内側を防湿します。

ビニルの重ね巾は本州で一般的な30mmではなく北海道では100mm以上。これにテープを用いて更に気密を上げてゆきます。
 
今日はWORLD ORDERなんていかが


発寒の家Ⅱ竣工

昨日は「発寒の家Ⅱ」のお引渡しでした。ほっと一安心です。
工期中はクライアントさんをはじめ、サブコンストラクターのみなさん、現場をまとめ美しく、最後まで仕上げていただいた㈱アクト工房の松澤部長さん、女性の細やかさでいつも助けていただいたT所長、K主任、U棟梁にH職長、株式会社ADさん、新弘設備工業㈱さん、アポロ販売㈱さん、NIPPROさん、東北木材さん、新宮商行さん、クリナップ直需事業部の石川さん、その他現場に係った全てのみなさまに心より御礼申し上げます。今までほんとうにごくろうさまです(笑)。

本来はI型対応であるクリナップのSSマイスターシンクにエンドパネルと対面パネルを製作し合体したメーカー純正の対面型SSマイスター。もちろんこの世に一台だけ(笑)

対流型のかわいい薪ストーブはモルソー社のもの。

パッシブ換気の回収スリットは夜間フットライトに。

2階の天井は北海道産の唐松。

玄関収納もたっぷり。扉は布貼りです。
 
今日はSting&Shaggyなんていかが