足場が掛かった「発寒の家Ⅲ」、工程としては二階の天井まで解体が完了し二階の小屋裏まで全て目視点検が可能となりました。印象に残ったのが・・1階と2階でモルタルの下地が異なること。最初の確認申請が出された1981年、モルタルの下地は12mmのバラ板の横貼。それから8年後の1989年に2階を増築した際に使われたのはなんと耐力面材のシージングボード。当時はまだ筋交いの代わりになるという意識は薄く筋交いと併用されています。このシージングボードが中々曲者で・・ラスを留め付ける又釘が室内側に飛び出しその先端が壁内結露して円形の染みを作っていました。外付けアルミサッシの端部も漏水か結露水でシージングボードはブヨブヨでした。多少濡れても腐敗限度内なら染みだけで持つ木材と少しでも水が入ると破綻する新建材・・製品差以上に壁内に水分が入らない断熱構造とデイテールは設計者の大切な仕事だとあらためて感じました。
こちらが二階のシージングボードを室内から見たところ。黒色の染みが一面に・・
犯人はラスを留め付けるための又釘が室内に露出しその先端が結露したから。もちろん又釘は錆びて真っ赤です。
二階の外付けアルミサッシの端部は盛大に漏水痕がありました。窓は壁厚内に引っ込めるべきですね~・・・
冬場、暖房で暖まった高温高湿の室内空気が天井裏に逃げて、陸屋根の雪でキンキンに冷やされた野地板の裏面で結露します。その繰り返しがこの結露痕。でも12mmの野地板は腐りもせずに屋根上の歩行が可能です。
こちらが当時の新建材であるシージングボード。キャッチフレーズは「省エネで耐震だそうな・・」
最近の製図のお供はFIVE NEW OLDですねえ~