2015年6月19日金曜日

山の手の家 各部確認

解体しながら時には修理し、新たに作り直すところの下ごしらえを行いながら上手く残材を使い回して現場を進めて行きます。写真は外壁のコンクリートが木造の外壁より30cm以上飛び出しちょうど棚のようになっていた部分。その上に雪が積もり落雪するので家の出入りや歩行者にとって危険でした。そこで外壁をコンクリートと同じ位置までふかし(延長して)雪の積もる部分をなくします。

両側にはコンクリートの柱型があるのでそれを手本にして木造の外壁も輪郭を合わせます。

3階を完全撤去したので、元は二階の床だったところが屋根になります。写真はその屋根の作り。

白く見えるのがタイベックと呼ばれる、防水+防風+透湿シートです。これを梁の上にピンときれいに貼って敷き、その上から45×105の根太を45cm間隔で留めて行きます。あれ?(笑)この構造どこかで見たことありませんでしたっけ?そうそう冷たくて仕方なかった2階の床の構造と似ています。今度はこの白いタイベックシートの下に詰め込む断熱材を湿気から守り乾燥させるための通気層としてこの根太材の間に積極的に空気を通すためにこの構造を考えました。

こちらは根太材に施す細工です。空気を一方方向だけではなく直交方向にも流すために根太の上部を僅かに欠き取ります。こうする事で空気がタイベックシートの上で淀みなく動くようになります。
 

こちらがタイベックシートとそれを押さえている根太を下から透かして見ているところ。断熱や耐力面材の使用を前提としていない時代の架構は伝統的に梁のピッチ1.8m間隔となります。新築なら梁の本数を倍にして0.9m間隔としたいところですが、リフォームで梁の加工を全てやり直すことは難しいので根太の寸法を増して屋根の野地合板が雪の重さで凹まぬように対処します。またタイベックを屋根面全面に貼ったのは従来の天井断熱のように雪や雨が吹き込む可能性のある屋根の断熱材を直接風に曝さぬためです。こうする事で断熱材は壁も屋根も必ずタイベックシート越しに空気と接するように考えました。

こちらは部分的に外部から石膏ボードを外して土台を露出させたところです。土台の下のコンクリート表面がボコボコしています。これはなんでしょう?

こちらは上から見たところです。これは私の推測ですが、後から土台の下にモルタルを詰め込んだ跡だと思います。床の気密が悪く、スースーして寒い事をなんとかしようと後から苦労したのかもしれません。断熱と正しい方向からの気密は一体のことですが、恐らく現場監督の理解も不十分だったのかもしれません。床下には高価な断熱材を使ったから大丈夫!でも蒸れて床が腐らないように空気だけは通したほうが良いと思い込んでしまったのかもしれません。今でもたまに空気の移動と水蒸気の移動を混同してしまう人がいますから、もしかしたら同じだったのかもしれないと感じました。
 
今日は大好きなT.Flanaganなんていかが(笑)