2014年11月17日月曜日

宮の森の家 外壁木貼り工事

快調にピッチを上げて外装の一回目がほぼ完了した「宮の森の家」です。実は以前にも触れましたが、私の設計する案件はこの木貼りの外装に人気が集まっています。安価な貫材を縦貼りした簡素なものですが、意外や完成からほぼ一年で味わい深く色変わりします。

隣地の賃貸マンションの窓が敷地に向いてずらりと並んでいるので、後から家を建てる当方としては何らかの配慮が必要となります。いろいろ考えたのですが近すぎるのと見下ろされる位置関係に配慮してこの方向には窓を全て付けないことにしました。相手側から見れば室内は暗くなりますが、窓を開けると美しい縦貼の木壁のみで視線を気にする事もない。こちら側も、窓がなければ普段から気を使いすぎることもない。日本の住まいは割と隣地に向けて窓を簡単に取ろうとしますが間取りを考える段階から、特に建て込んだ敷地の場合は視線の交錯に十分注意したいものです。

押し縁で板と板の間を塞ぎますがその押し縁よりも外に水切りが出ているか確認しておきます。

外部に木を貼る場合には乾燥や湿気で動く事を想定して3~5mm程度隙間を開けます。このフリクション吸収の工夫がないと力の逃げ場がなくなって、外壁が盛り上がったり、狂いやすくなったりします。

南側敷地でありながら全ての隣地の窓が近接する条件の中で、視線の交錯を避けながら必要な採光や通風を取る事はなかなかたいへんです。写真は二階北側の寝室の前に設けたテラスを下から撮影したところですが、このテラスの目的のひとつが裏の家の居間の窓との視線交錯を避けることです。
 

化粧吸音石膏ボードの割付けを前提にした天井下地の確認です。天井の構造材を顕した力強い表現も人気がありますが、通常通り天井を貼り仕上げたものも捨てがたい魅力があります。特に天井を、大胆な吹き抜けにし易い二階居間プランが多いせいか、一般的な水平天井はほとんど二階では用いません。空間の面白さを追求すると天井をはじめ垂直方向の要素をより注意深くデザインした方が効果的であることに気付きます。そんな訳で天井の演出は毎度ながら欠かせないのです。