外壁を貼り始めた「福井の家」です。
外装に使うのは地場産の貫材。寸法は幅105mm×厚み18mmの松材になります。全道の材木屋さんで100年以上前より使われてきた寸法と材料なのです。
要は・・そもそもカタログ落ち?モデルチェンジ?とは無縁の材料。きっと材木屋さんという業種が続く限り100年後でも同じ貫材は手に入ります。
何が言いたいのかといえば・・メンテナンスフリーで壊れない外装は?・・というべき終わりなき疑問への当事務所なりの回答なのです。
よく同様の回答に高耐候性鋼板(ガルバリュウム鋼板のような板金外装)を推す人もいますが、色一つとっても100年後に同じものは手に入りません。塗装で比べると建築に対して遥かに手間のかかる車で考えても10年前の車は経年で退色しています。
仮に100年後に新築時と同じ色品番が選べたとしても、既に100年間の色変わりに合う色ではないはずです。
当然ながら新築後に修理が必要になれば、節約も含め部分的に行います。たとえ同じ色でも直した部分は新しく、そうでないところは以前のままですから、必然的に修理痕は目立ちます。状況によっては外装が・・まだら模様になることも考えられます。
結局、物理的な耐久性ばかり高くても外見の印象や質感が既存と大きく違えば、こと修理に関しては使い難い外装とならざるを得ないのです。
まだ部分的にしか傷んでいないのに、全ての壁面を張り替えたり塗り替えたりするのは、個人的にたいへん勿体ないと思います。
写真は現在の外壁の様子です。保護材にどぶ漬けした貫材が白っぽく見えます。意外にもこの状態から数年で大きく色変わりするものの、その後は非常にゆっくりと色変わりするようになるので、数十年経っても外観の印象は変わりません。
上の写真は「西野里山の家2013」の完成直後のものです。
たった1年で、こんな風に変化します。自然にエージングして行くので、一番新しく建った家なのにすぐに周囲に馴染んでしまいます。仮に部分的に外装を貼り直したとしても、数年で馴染んでしまうので修理痕を気にする必要はありません。
そんな風に考えると・・地場産の木材ってすごく良いと思いませんか/笑 もちろん木が嫌いな人にはお薦めしませんし木以外にも良い外装はたくさんあります。その一方で、傷まないものばかり探すのではなく、いつの時代であっても簡単に修理できるものを選ぶという発想もぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。
北東側の壁面です。
通りを見渡す北東側の水平連続窓の上には庇が掛かります。
庇に開けられた穴は大屋根の縦樋が貫通する部分。
こちらは薪ストーブの煙突が貫通する眼鏡石の部分です。
今日は葛飾トリオなんていかがでしょう