2022年6月30日木曜日

藻岩の家 基礎コンクリート打設

 

本日は「藻岩の家」の基礎コンクリート(2回目)を打設しました。前面道路がかなり狭いので、ミキサー車が来ると道を塞いでしまいます。

タイミングよく次々にミキサー車の配車を進めながらコンクリートを打ち終えました。最近雨ばかりでしたからようやくコンクリート工事が再開できてホッとしました。

北西側の背後には雑木林が迫り、かなり鬱蒼とした感じ

その一方で北東側には隣家が迫ります。

今日はパガニーニの主題をリストの編曲で・・凄い





2022年6月29日水曜日

追分の家 屋根断熱工事

本日、「追分の家」は屋根ブローイング工事を完了しました。吹込み厚は約43cm。目指す熱伝導率はλ:0.038W/mK。よく誤解されるんですけど・・この破砕GWの吹込み工法、熱伝導率ごとに製品が異なるのではありません。そこが壁のマット状断熱材との違い。

要は同じ製品でも・・吹込み密度を調整することで性能がλ:0.052~0.038(W/mK)まで変化するのが吹込み工法の面白い特徴。別の視点で見るとλ:0.052なら10kg/m3程度の吹込み重量に耐える天井組でかまわないけど、λ:0.038だと22kg/m3の重量に耐えるようにしないといけない。華奢な天井だと吊り木ごと落下し易いんで注意が必要だ。「断熱なんて大工の仕事じゃない」なーんて言ってられない理由がここにもある。各種断熱工事の特色を充分理解した上で最適の下地や天井組ができないとこれからの大工稼業は難しい。話は変わるけど・・完成写真を見ての通り下地の間は盛り上がるのでもう一度天井下地を流してから天井仕上げのボードを施工します。

表示通り22kg/m3以上の吹込み密度で必要な断熱性能を確保します。

天井に約43cm吹込みが完了したGW

この上から壁と同様に防湿シートを貼ってから天井を組み上げます。

断熱屋さん的には斜めの上向き仕事で中々たいへんです。これからもっと暑くなると全身防護服&マスクにゴーグルは暑くて暑くてたいへん。いつもご苦労様です。

今日はApneumoなんていかがだろう・・




 

2022年6月28日火曜日

藻岩の家 基礎工事


傾斜地を切り開き多量の土砂を取り去って進む「藻岩の家」の基礎工事。実は写真奥から手前に向けた単純勾配ではなく、左から右にも傾斜しているという少々複雑な状況なので、基礎を階段状に切り替えて対応しています。
こちらがその切り替え部分。約40cmの段差を設けて敷地勾配に馴染ませている。
毎回設計する住宅の敷地はそれこそ様々ですが、最近は傾斜地であっても家の内部は段差のないバリアフリーフロアに設計することが求められるので基礎底の高さは段差を設けても基礎上部の高さは同じにする必要がある。
従来のように低い地盤に位置する側の部屋は床を低く、反対に山側の高い部分に位置する部屋は高くというような設計では室内床が土地の傾斜に沿ったスキップフロアとなり易い。もちろんそれはそれでよいと思いますが、ほとんどの人がローン年数以上暮らすことを考えると室内に極力段差は作りたくないと考えています。

そんな理由から基礎内部の高さは非常に高いものとなります。実際にはこのままだと高すぎるので砂利で基礎内を埋め戻し、床下の天井高さが約90cm程度になるようにして床組みします。
基礎断熱は高性能XPSの120mm。床下の室温も1.2階と変わりなくなりますので、1年目から床が暖かな家になります。

今日はKep1erでUPなんていかがでしょう















2022年6月18日土曜日

藻岩の家 製作キッチン

今日は「藻岩の家」のキッチンの打ち合わせ。担当していただくのはもちろんクリナップのキッチンスペシャリスト石川さん。

今までほとんどの家のキッチンを作っていただきました。クリナップさんといえば水廻り総合メーカー大手として数々の定番を生み出してきたキッチン業界の老舗。クリンレディーやSS、ステディア等々・・一度は名前を聞いた人も少なくはないはず。

そんな数々のカタログモデルが有名なクリナップさんの中にあって石川さんの所属するのはオーダーキッチンを専門とする特別な部署。北海道の白樺で美しいキッチンを作りたい。せっかく家を建てるんだから住まい手さんにはそんな地域色溢れるキッチンを毎日使ってほしい・・そんな建築家のわがままを嫌な顔一つせずに聞いてくれて、白樺のキッチンは生まれました。

特に最近は木に対する好感度が上がって住まい手さんもすごくセンスの良い人が増えました。ひと頃の・・木は狂うとか汚れる・・とか以上に一つ一つの木目の違いや床やインテリアとのバランス。一点豪華主義よりもトータルな上質さに関心が集まっているようでとても嬉しいです。

ひと頃のコロナの緊張感が少しだけ和らぎ、週末のショールームには賑わいが戻りつつあります。今さらながら・・疫病や戦争のない平和な社会のありがたさを感じます。現場を担当していただいている飛栄建設の松田さんにも一緒に付き合っていただきキッチン選びは進んで行きます。

今やキッチンの天板も様々な仕上げのステンレスや人工大理石以外にセラミックや木製まで幅広く選べます。一部はカタログモデルの部品を使いそれ以外はカスタムのような作り方もできたりして凄く選択肢が広がりました。写真はステンレス天板の磨き方に対するレクチャーです。仕上がりは美しいものの傷に弱い加工とかあえて傷つけることで使用後の傷が目立たないとか、そうした両者の融合とか・・私も迷っちゃいます。

これからもぜひ素敵なキッチン作りに挑戦したいと思っています。

常盤の家2020

桂岡の家Ⅱ 2021

新琴似の家Ⅱ 2019

菊水の家 2010

今日はHSCCなんていかがでしょう













 

2022年6月10日金曜日

とっとり健康省エネ住宅改修(ReNE-ST)の話し

 

昨年から鳥取県のみなさん、私の所属する北海道建築技術協会や北総研さんと共同でReNE-ST(とっとり健康省エネ住宅改修)のテキスト作成に取り組んできましたが、みなさんのご協力のおかげで無事完成しました。

想えば半世紀以上にも渡って住まいの熱環境の研究に取り組んできた北海道。地元の作り手なら誰でもごく自然に断熱建物の設計ができるのもそうした環境が主な理由です。

その一方で50年後の現在はといえば、かつては温暖地といわれた地域でむしろ積極的に住まいの断熱化の必要性が叫ばれています。時代って変われば変わるものですね。

私としても慣れ親しんだ地域の技術が鳥取県さんのお役に立つのは嬉しい限り、もちろん北海道のやり方がそのまま使えるところばかりではないので岐阜の森亨介さんや鳥取県の作り手のみなさんとの綿密な情報交換がテキストの質を上げる上で本当に役に立ちました。

あらためて、住まいの熱環境の研究を通して様々な基準や仕様書、解説書を作って来た先輩たちの知見と功績を誇りに思います。今後も北海道の住まい手を笑顔にする家づくりに打ち込みたいと思う反面、北海道以外の地域のお手伝いにも積極的に関わって行きたいと思うようになりました。


テキストが出来上がったらすぐに講習が・・ReNE-STは北海道のBIS(断熱施工技術者)同様に鳥取県が技術者を認定し登録することを前提にしていますから、二日に渡って朝から夕方までびっちりと講習が組まれ、最終日は考査も実施されました。

残念ながら・・コロナのおかげでリアル講習からZOOM講習になってしまいましたが、鳥取県さんのお計らいで県外の作り手も聴講が可能な講習にしていただきCPD単位も9単位も付くとあってか全国から140名もの熱心な聴講者が集まりました。


最近は鳥取県や北海道のみならず、国に先駆けて住まいの断熱化に舵を切る自治体が全国に増えつつあります。よくよく考えて見れば家を作るのは生き物の中で人間だけ、その理由は様々ありますが、一番の目的が外部の寒さや暑さ湿気や風雨から身を守ることにあることはいうまでもないことです。それなのに未だに住まいの断熱が義務化できていない我が国に複雑な思いを感じる反面、今回のような経験はそんな憂鬱を吹き飛ばしてくれるようにも感じました。ReNE-STと鳥取のみなさんの成功を心よりお祈りしています。

今日は・・やっぱ鳥取県といえばヒゲダンでしょう/笑








2022年6月6日月曜日

フィンランドからの見学者

 先日6月3日はフィンランドからユンニ先生、ミッコ先生、北海道大学と日本福祉大学合わせて5名のみなさんに「追分の家」の現場を見学していただきました。

国として住まいの断熱法制化はまだ3年先ですが、寒冷地北海道は国に先んじること30年以上前、1988年から北方型住宅と呼ばれる断熱気密住宅を産学官協力のもと作ってきました。

そん理由もあって地元の大学と北欧圏の専門家交流も長い歴史があります。みなさんようこそ北海道へ! さて現場では・・

ユンニさん:なぜこの梁だけ材質が違うの?

山本   :寸法を揃えるためにそこだけより強い材にしました。

ミッコさん:フィンランドでも柱外に安易に耐力面材を貼ると

      結露が不安になるが北海道も同じか?

     (壁模型を見ながら)

山本   :同じだ。合板外の断熱抵抗比を倍以上取り防湿層

      を最も室内側に寄せて湿害をクリアしている。

ミッコさん:無言で頷く(分かってるようで安心したという顔)


ユンニさん:戦争のせいでロシアの陸路が使えないから日本向

      けの木材を出荷できない。主に日本と取引している

      企業も国内にはあるのに・・

山本   :残念です。特に最近の木材高騰はひどいです。

ユンニさん:初めて日本の住宅現場を見たがOSBが貼られていて

      フレーム&パネル(枠組み壁工法)みたいだ。

山本   :元々はOSBなんて貼らずに筋交いだったが、最近は

      面材を貼る現場がほとんど。みなさんの国との違い

      は現場で面材を貼ってパネル化すること。もちろん

      ユーロや北米規格のフレーム&パネルもあって、

      地域ごとに工法が違うところも特色です。

ミッコさん:この家床下があるのか?

山本   :北海道は地層的に新しくラドンは検出されません。

      なので基礎断熱をして床下汚染を気にせず室内と

      して使う場合が多い。


ミッコさん:この水平な断熱はなに?

山本   :スカート断熱といって凍結深度を軽減し基礎資材

      を節約するために使う。

ミッコさん:おーそうか!フィンランドにも似た方法がある。

山本   :似てますね(笑)

ミッコさん:似ている。同じだ(笑)

山本   :計画換気は3種で冬は特殊な自然換気を使います。

ミッコさん:なぜ1種熱交換を使わない?高いがフィンランド

      でも使うべきだとロビー活動している人もいる。

山本   :残念ながら北海道は石炭火力によるブラック電力

      が7割以上。電気料金も日本一高い。その状態で

      1種を使うと温暖な南部はともかく寒冷な地域で

      は増エネ&増コストになり易い。

ミッコさん:その感覚はよく分かる。再生可能エネを増やさな

      いといけない。

山本   :お恥ずかしい・・

ユンニさん:北海道では世界中の木で家を作るのか?

山本   :はい・・森林資源は豊富でも地域材活用は遅れて

      いるのも残念ながら実情です。この家も柱はオー

      ストリアから梁はフィンランド、合板はEUから入ってきています。


その他・・色々・・話題山盛りで楽しめました・・ 

アテンドいただいた坂口先生、森先生、サウナワーラ先生、

素敵な交流をありがとうございます。国は違えど・・北国同士、不思議に話が合いました。またぜひ北海道にお越しください。

今日は日本でもおなじみのフィンランド民謡なんていかが